まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2024.08.18
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カテゴリ: NHK朝ドラ
NHK朝ドラ「虎に翼」。

第19週では、
寅子と航一が、
《永遠を誓わない、だらしのない愛》

に向かいました。

ただ、寅子の中では、
この恋愛がなかなか結婚に結びつかないらしい。

もしや、
戦後憲法の「婚姻規定」との整合性に悩んでるとか?
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
(日本国憲法第二十四条第一項)




《永遠を誓わない、だらしのない愛》

を確認しあった背景には、
いろんな事情があるのだと思います。

モデルになった三淵嘉子は、
下宿人の男性と恋愛結婚をしましたが、
死別したあとは他の男性と再婚したのよね。

この再婚が不誠実とも思われかねないので、
ドラマでは、史実に反して、
寅子の恋愛結婚という設定ではなく、
優三の一方的な片思いという設定に変更した。

つまり、最初の結婚において、
優三への恋心はなかったわけですね。




とはいえ、
結婚生活をとおして愛を育んだのだから、
「死別したら再婚」という選択は、
やっぱりちょっと薄情なものに見えかねません。


「伴侶を亡くした者どうしの不誠実な愛」であることを、
あえて寅子と航一に自覚させる脚本になってる。


アンチ虎つばの人たちは、
この不誠実な愛を批判してましたが…

そもそも「永遠の愛」なんてものは、
馬鹿なキリスト教徒の幻想であって、

そんなものを安易に誓うほうが、
よっぽど偽善的で不誠実だというべきです。

永遠の愛を誓えるのは死者に対してだけでしょ。

生きてる人間はお互いに変わっていくのだから、
だらしのない愛でも十分で上等だと思います。

まして、
いちどは生きる希望をなくした人間が、
生きるために恋愛するなら、それは肯定されるべきです。



優未・花江・涼子様の後押しや、
優三の書き残した手紙 (=遺言) も、
寅子の恋愛を肯定することになります。

寅子の一度目の結婚は、
優三の一方的な片思いにすぎなかったので、
そこに寅子の能動的な恋愛はありませんでした。

だからこそ、優三は、
「もし自分が死んだら、こんどは誰かと本当の恋愛をしてほしい」
と書き残したのですね。

トラちゃん。もしトラちゃんのもとに帰ることができなかったら。そう思って、この手紙をしたためています。僕の望みは前に話したけれど、もう一つだけ望みを増やしてもいいですか? 弱音を吐くことができる人、正しくないトラちゃんも好きでいてくれる人を見つけてください。できれば心から恋して、愛する人を見つけてください。でも、見た目とか、甘い言葉をささやく相手にだまされちゃいけない。トラちゃんと優未をスンッとさせる相手は駄目。トラちゃんと優未を縛る相手は駄目。トラちゃんと優未の笑顔を奪う相手は駄目。トラちゃんを心底愛せない相手は駄目だ。でも、その人を前にして、胸が高鳴ってしかたないのなら、その人が好きなら、今書いたことも、僕も、全て忘れてその人のもとに飛んでいってほしい。トラちゃん、自分を信じて。そんなトラちゃんを僕は信じる。優未もお母さんを信じて。優未のことをずっと見守っているよ。2人のことを、誰よりも、何よりも、一番愛しています。

これはもちろんフィクションだし、
寅子の再婚を肯定するための一つの仕掛けだけれど、

寅子の幸せを願う優三の遺志こそが、
ドラマ全体を貫く通奏低音になっていて、
それを 「You are so amazing」 という曲が象徴してます。

これこそが『虎に翼』のメインテーマなのですが、
実質的には《優三のテーマ》だといえる。

この曲のメロディが聞こえるたびに、
優三の想いで包み込まれるように仕掛けられてます。


You are so amazing
作詞・作曲:森優太/歌 : Stuart Murdoch(Belle & Sebastian)


You have walked along in the rain
And may feel like the world's holding you back
But now you're facing forward

Some have lost their dreams on the way
And some have found their dears
All the little lights will warm the other lives

Every pain and every hope of your life will shape your step
And the rains will fall and fade
The silence will come

It's ok that you cry
There will be sleepless nights
But you will walk the way of your life

Every smile and every tear on your face will make you kind
And the clouds will float and fade
The rainbows will shine

You have walked and reached far away
And I see all your life's bright like the sky
I know your heart is brave

Every step and every choice of your life will make you shine
And the clouds will float and fade
The sunset will come

It's ok that you cry
There will be greatful nights
You can be so proud
'couse you are so amazing
あなたは雨の中を独り歩いてきた
世界があなたを押し留めていると感じるかもしれない
でも、あなたは前を向いている

途中で夢を失った人もいる
大切な人を見つけた人もいる
すべての小さな光が他の人生をあたためる

すべての痛みとすべての希望があなたの歩みを形作る
やがて雨が落ちて消えて
静寂が訪れる

泣いてもいい
眠れない夜もあるだろう
でも、あなたは人生の道を歩いていく

すべての微笑みとすべての涙があなたの顔を優しくする
やがて雲は漂い消えて
虹が輝く

あなたは歩いてきて遠くまでたどり着いた
私にはあなたの人生全てが空のように眩しく見える
私はあなたの心が勇敢だと知っている

すべての歩みとすべての選択があなたの人生を輝かせる
やがて雲は漂い消えて
夕日が訪れる

泣いてもいい
幸せな夜もあるだろう
あなたは強く誇ってもいい
だって、あなたはとても素晴らしいから

太平洋戦争の死者の遺志が、
英語の曲に象徴されてる形ですが、

これは、ちょうど、
カムカムの「明るい表通りで」を思わせるところもある。

この曲に象徴される戦死者の遺志こそが、
戦後を生きる人々の幸福を願うドラマの根幹をなしてる。




一方、第20週では、
航一と3人で遊ぶ海のシーンでも、
「You are so amazing」のメロディが流れましたし、
新潟を去るときの送別会のシーンでも、
明るい編曲でこの曲のメロディが流れました。

今後は、この曲の意味合いが、
徐々に変わっていくのかもしれません。

東京では、
よねの弁護士合格を祝う場面でもこの曲が使われたし、
ほとんど優三とは関係なくなってる感じ…。



それから、
航一が寅子に語りかける場面では、
米津玄師の主題歌のピアノインストが流れてました。

この曲が劇中に使われたのは初めてじゃないかしら?

あいみょんの曲が寿恵子のテーマだったように、
これはもしかすると《航一のテーマ》になるのかもしれません。


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最終更新日  2024.08.19 18:34:50


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