まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2025.11.17
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冬晴の牌楼龍の顎昏し 帰路寒夜バスに異国の香ほのか 月冴えて塔の光を曳く屋形 日の近き富士五合目や秋高し 寒暁の浅草車夫見習の湯気 冬の海工場の吹き流し揺蕩う 冬帝や路地の隙間のスカイツリー
11月13日のプレバト俳句。
今回はチャンピオン決定戦「はとバス杯」です。




フルポン村上。
冬晴の牌楼 ぱいろう 龍の顎昏し


まあ、
形式上の欠点はないのだけど、
あいかわらず「だから何?」って句よね。

多くの読み手は、
龍の顎が暗いことに、

村上の場合は何もないからね…(^^;

陽光の当たらぬ裏側が暗いことに、
はたして詩情があるといえるのかしら??



千原ジュニア。
寒暁の浅草 車夫見習の湯気


強いて順位をつけるなら、
この句がいちばんよかったかな。

ただし「車夫見習」ってのは、
行為なのか人物なのかが不明瞭だから、
寒暁の浅草 見習い車夫の湯気

と書くべきだろうと思いますが。




冬の海 工場 こうば の吹き流し揺蕩 たゆた


京浜工業地帯の夜景です。

通常、
吹き流しは揺蕩うものなので、
この動詞は不要とも思えるし、
「吹く/流す/揺蕩う」の動詞3連打に見えるのが、


ちゃんと「夜」の情報も加えれば、
冬浜の工場夜景と吹き流し

のように的確な写生も出来るはず。

…とはいえ、
あえて動的な印象を強調したところが、
原句の個性なのかもしれません。



清水アナ。
冬帝や 路地の隙間のスカイツリー


映像のない季語を詠嘆しつつ、
じつは「冬の皇帝」みたいな隠喩的なイメージを、
スカイツリーに重ねてるあざとさが見えますw

まあ、
それならそれで悪くないと思うけどね。

かりに、
季語を映像化するというセオリーに従って、
冬帝の路地や 隙間のスカイツリー

と書いたら、かえって二物の衝撃性が弱まるし。

でも、それ以前に、
類想句が多いと言われちゃ仕方ありませんが…。





梅沢富美男。
帰路寒夜 バスに異国の香ほのか
はとバスの帰路 八角の香さやか
(添削後)

読点を1音分ととらえて、
「香、ほのか」「香、さやか」
で5音分と見なす…という技法なのね。

もちろん、
「香のほのか」「香のさやか」でもいいわけですが、
リズムに面白さが生まれるってことでしょうか。

なお、
添削について一言いえば、
「ほのか」と「さやか」では意味が違います。

梅沢は、
バスの車内に紛れ込んだ残り香の意味で、
あえて「ほのか」と書いたわけだけど、

添削句の「さやか」というのは、
秋の風を含意する季語なのだから、
バスの窓から吹き込んでくる中華街の香り、
…みたいな意味合いに変わります。

したがって、
これは添削でなく改作です。



中田喜子。
月冴えて塔の光を曳く屋形
月冴ゆや 塔の灯を曳く屋形船
(添削後)

この句は「屋形が (光を) 曳く」だけど、
かりに「屋形を曳く」だとすれば、
郡上踊りの屋形曳きみたいな誤解もありえるので、
やはり「屋形船」と明記したほうがいい。

もうひとつの問題は、
2種類の光の描写が重なってること。

添削では二句一章にして、
「月の光」「塔の光」のカットを分けてますが、
そもそも2種類の光を描くことで、
主題が散漫になるし、詩情の焦点もぼやけます。

やはり季語は「月」以外のものを選ぶべきでしょ。

たとえば、
秋彼岸 塔の灯を曳く屋形船

のようにすれば、
光ってるのは「塔」だけになる。



かたせ梨乃。
日の近き富士五合目や 秋高し
陽や強 こわ き富士五合目の秋高し
(添削後)

高いものを、
「太陽」「富士」「秋空」と3つ並べたうえで、
富士の五合目まで来たら、
太陽は近づいたけど秋の空は高い…とのこと。

結果的に、
何が高くて何が低いかよく分からないのよね…(^^;
それは添削句でもさほど変わらない。

季語を変えて、
秋爽や 富士五合目の陽は強し

のようにすれば、
高いのは「富士」だけになって、
陽光の強さに焦点がしぼられます。


▽過去の記事はこちら
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12



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最終更新日  2025.11.17 08:00:06


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