まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2026.09.29
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NHKの100分de名著を見ました。
今回はオルダス・ハクスリーの「すばらしい新世界」。

◇

現代社会はハクスリーの世界に近づいてるかも。

飼い慣らされて選択の余地がない社会は、
キリスト教的にはディストピアかもしれないけど、
仏教的にはどうなのかしら…?

すくなくとも、
「外部世界を変えずに苦しむ人間のほうを変える」
「愛や家族への執着を捨てて性を自由化する」

…みたいな発想は仏教に近いと思う。


家族を「愛と責任」の単位と見なすので、
性の自由化も忌避されるでしょうけど。

◇

ちなみに、
マルクスの共産社会は階級の揚棄を目指すし、
フィジカルAIが人間労働を代替する未来でも、
労働階級が消滅する可能性はある。

ところが、
なぜかハクスリーの世界では、
人間労働が残ってて階級も固定されてます。

これって、

わざと階級を再生産してるんじゃないかしら?

◇

ひとつには管理上の都合かもしれないけど、

もしかしたら、
優生思想にもとづいて人間を均質化するよりも、

むろん多様性を認めてるわけじゃなく、
限定的な多様性を国家が設計してるわけですが…(^^;

実際、未来社会において、
「人間を均質化するのが平等か?」
「不均等な人間を階級化するほうが平等か?」

…みたいな葛藤が生じる可能性はある。

かりに人間労働が揚棄されて、
経済的な関係から解放されたとしても、
労働しない人間どうしの階層は生まれるかもしれないし。

◇

ハクスリー的な世界では、
管理や階級に不満を抱かないように、
非生殖のフリーセックスと合成麻薬で欲望が吸収され、
生老病死の苦しみが除去される反面、
哲学や科学や芸術などの批評・探求活動は抑圧されます。

苦しみは除去するけど、
自由を最大化するわけじゃなく、
自由を要しない人間を作ってるわけですね。

仏教でも「欲望を捨てろ」とはいいますが、
そのためには個人の苦行が必要になるし、
現実的にそれが出来る人はごく限られるし、
解脱する人間を「自由」と呼べるのかどうかも謎。

その点でいえば、
ハクスリー的な世界のように、
欲望と自由を人工的に捨てるほうが簡単なのよね。

◇

家族にかんしては、
それを「愛と責任」の単位ではなく、
むしろ「支配と労働と執着」の単位と見なすなら、
マルクスも仏教と同様に揚棄すべきと考えるはず。

とくに妊娠・出産・子育ては、
創造的活動として選択されることはあっても、
女性の労働としてなら揚棄される可能性が高いし、
むしろ非生殖のフリーセックスのほうが、
ある種の創造的活動として全面化するかもしれません。

ただ、ハクスリーの場合、
フリーセックスを自由の拡大としては描いてない。
じつは「自由にセックスしてる」ように見えて、
むしろ「セックスしない自由」がほぼない感じw

選択しないことも含めて選べるのが自由なら、
ハクスリー的な快楽世界はやはり不自由ってこと。

◇

マルクスの場合は自由を否定しませんから、
人間は哲学や芸術などの批評活動に耽ることになるし、
フィジカルAIが労働を代替する世界でもそうなると思う。

幸福だけど不自由なのがハクスリー的な世界で、
自由だけど苦しいのがマルクス的な世界ってこと?

仏教: 苦を感じる人間のあり方を変える
ハクスリー: 苦を感じない人間を人工的に作る
マルクス: 苦を生む社会関係を変える
フィジカルAI: 苦を生む労働を機械に代替する


不幸になる権利って、
究極的には「ナウシカが墓所を破壊する」みたいなことよね。



◇

でも、
ハクスリーが階級を固定したもうひとつの理由は、

人間に「選択する自由」を与えて、
その創造性と多様性が全面化してしまうと、
社会の持続可能性や生態系の上限を超えてしまうから、
…ってのがあると思います。

そのために、
人間をあえて4つの階級に閉じ込め、
一定の労働と消費の循環のなかで生活させ、
そのことに不満を抱かないように、
合成麻薬と非生殖のフリーセックスで快楽漬けにし、
アンチエイジング医療によって老病の苦しみを取り除く。

◇

実際、
核融合による無限大のエネルギーで、
人間の創造性と多様性が全面化した場合、
社会と生態系の持続可能性を超えるリスクがあるし、

その意味でこそ、
ハクスリー的な管理社会の未来像には現実味がある。

たとえばミニマルな空間と資源のなかで、
人間の創造性をバーチャルに解放する方法もあるけど、
たとえバーチャルな世界でも、
擬似的な他者性や相互性は担保しておかないと、
人間の経験や感覚がどんどん遊離したあげく、
現実世界との接地を失ってしまうリスクが出てきます。

なので、
バーチャル世界でも他者性を消去せずに、
身体や老化、自然環境や物質的な希少性、
重力や距離や有限な時間、他者との偶然の出会いや利害衝突

…みたいな現実と接地する余地は残さなきゃいけない。

◇

有限な惑星上で人間の自由をどこまで拡張できるか、
…みたいな問題はすでに現実味を増してます。

どんなに核融合エネルギーが無限大になっても、
鉱物、淡水、空気、
土地、生態系、生物多様性、
廃棄物処理能力、他者の時間

…などには別の制約が残ります。

ハクスリーの第二次大戦後の著作にも興味が湧きました。


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最終更新日  2026.09.29 07:20:03


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