A60-2. 派遣先による時間外労働命令等の前提
派遣先の時間外労働等の命令が適法といえるには、次の各事項を満たしている必要があります。
(1) 三六協定
時間外、休日、深夜労働を命じるには、前提として、いわゆる三六協定を締結し行政官庁に届け出ていることが必要です。
労働者派遣においては、この三六協定の締結・届出は、派遣労働者の雇用主である派遣元が行う必要があります。派遣元において三六協定が締結、届出されていなければ、派遣先は、時間外労働等を派遣労働者に命じることはできません。また、派遣元において三六協定が締結・届出されている場合、その協定の枠内でしか、派遣先は時間外労働等を命じることができません。これに違反した場合、派遣元が処罰されますが、使用者である派遣先も処罰の対象となります。
(2) 労働契約(雇用契約)、派遣元の就業規則
派遣元において三六協定の締結・届出がなされていても、それだけで派遣労働者に時間外労働等を命じることができるものではなく、個々の派遣労働者の労働契約(雇用契約)上、残業に応じる義務が認められていることが必要です。この義務は、派遣元と派遣労働者との労働契約(雇用契約)や派遣元の就業規則により定められているものです。
なお、派遣元は、派遣労働者に対して「就業条件明示書」により労働条件を明示することとなっていますので、時間外労働に応じる義務がある場合は、その旨や時間外労働の上限が「就業条件明示書」により通知されていることが必要です。
(3) 派遣先と派遣元と派遣契約
さらに、派遣先と派遣元との派遣契約において、派遣労働者の就業条件として、時間外労働等を命じ得る旨が定められていること、時間外労働の上限時間が定められていること等が必要です。派遣先による時間外労働命令等は、派遣先と派遣元との派遣契約に定められた範囲内で行われることになります。
Q70. 非正規労働者の組合 2014.02.02
Q70. 非正規労働者の組合 2014.02.01
Q69. 労働組合とは 2014.01.31