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A70-2. 上記2.の場合 一般的には、店長は管理職だから労働組合に入る資格がないと思われがちですが、あなたが「店長」という肩書きで仕事をしていても、給料収入によって生活をしていれば、労組法上の「労働者」であることには変わりはありません。そして、あなたが「店長」という肩書きで仕事していたといても、実際には店舗に所属するアルバイトやパート労働者の採用や解雇について実質的な権限がなく、部下と同様の勤務態様が労働時間の大半を占めているような場合などには、以前の記事で述べた「使用者の利益代表者」にあたらないので、組合に加入することは可能です。また、店長だけで労働組合を作ることもできるし、あなたが一人で地域のユニオンに入ることもできます。労働組合員として法律上の保護が受けられないということにはなりません。管理職ユニオンに加入したマクドナルドの店長が、未払残業代支払請求訴訟を提起した件で、平成21年、東京高裁で、店長の肩書きがあってもその実態から管理職には該当しないことを前提に、多額の未払残業代の支払いを認めさせる和解が成立しています。
2014.02.02
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1.私は、パートで勤務していますが、労働組合に入ることができるのでしょうか。2.私は、飲食店で「店長」という地位にありますが、労働組合に入ることができますか。3.私は、他の従業員と同じ仕事をしていますが、使用者と私の間の契約は雇用ではなく、請負になっています。労働組合に入ることができますか。 A.労働組合は、労働者を主体とするものでなければなりません。労働法上の「労働者」とは、「職業の種類を問わず賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」をいいます(同法3条)。法律上は、労働者が主体となって団体を組織すれば、労働組合として認められます。ただし、どのような労働者を組合員にするかは、その労働組合自身が決めることができます。また、会社の役員、人事に関し直接の権限を持つ者( 使用者の「利益代表者」といいます)は、労働組合の加入を認めると、労働組合の自主性を欠くという理由で、労働組合員としての法律上の保護を受けられません(労組法2条1号)。 A70-1. 上記1.の場合 あなたが、パート労働者やアルバイトであっても、給料等で生活をする者にあたるので、労組法上の「労働者」に該当し、労働組合に加入することができます。ただし、あなたの職場の労働組合が、組合員資格を正規従業員に限ると定めていた場合には、パート労働者のあなたには、職場の労働組合に加入する資格がないということになります。そのような場合は、Q69.で説明した、あなた1人でも加入できる「ユニオン」という会社・職場単位ではない労働組合に加入することができます。
2014.02.01
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A69-3. ユニオン あなたが、自分で労働組合を作ることが難しい場合や、とにかく急いで使用者に労働条件の改善を求めたいと考えている場合は、あなた一人でも加入できる「ユニオン(合同労組)」という会社・職場単位ではない労働組合があります。ユニオンは全国各地にあり、東京都であれば労働相談情報センター、他県であれば労政事務所にユニオンの一覧表が置いてあり、労働相談情報センターや労政事務所に相談すれば、あなたの近隣地域のユニオンを紹介してくれます。そして、ユニオンに加入すれば、ユニオンが、使用者に対し、あなたと一緒に労働条件の改善に向けて交渉をしてくれます。また、あなたが、職場に労働組合を結成したいという気持ちがあったとしてもその手続きがわからないときなどは、ユニオンが労働組合結成に向けて、指導もしてくれます。
2014.01.31
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A69-2. 組合の結成 では、あなたの職場に労働組合がなかったらどうしたらよいのでしょうか。まず、あなた自分が労働組合を作るということが考えられます。労働組合を作るためには、何の届出も許可も必要ではありません。また、労働組合を作るということを使用者に対して通告することも不要です。2人以上の労働者が主体となって、労働条件の維持改善を目的とする組織を作れば、労働組合と認められます(労組法2条)。しかし、実際に労働組合を作るには、その結成に向けて、労基法などの学習会を開くなど一定の準備とその期間が必要です。
2014.01.29
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私の勤務先は、残業が多いし、給料も安く、他のところに勤めている友人に話を聞いても労働条件が悪いようです。私の同僚達も労働条件について不満を抱えています。働く上で、勤務先にいろいろ改善をはかってもらいたいのですが、一人ではどうしていいのか分かりません。どうすればいいのでしょうか。 A69-1. 組位の意義 一人の労働者が、勤務先に対して、残業を減らしたい、給料を上げて欲しいなど、労働条件、賃金などの問題の改善を求めることは、大変勇気がいることです。また、仮に、一人の労働者が使用者と話し合いをしたとしても、なかなか解決することができないのが通常です。そこで、労働者の要求を実現するために、労働者が一致団結して使用者と交渉することが必要となります。使用者に対抗して、労働条件を向上させるために結成された団体を労働組合といいます。労働者が労働組合を作る権利は、憲法で保証されている権利です(憲法28条)。まず、あなたの職場に労働組合があれば、そこに加入して他の労働者とともに、あるいは労働組合の代表者を通じて、使用者に対し労働条件の改善を求めることができます。あなたが労働組合に加入したとしても、使用者はあなたに対して嫌がらせをしたり、賃金のカット、昇格の延期、解雇などの不利益な取扱いをすることはできません(労働法7条1号)。
2014.01.26
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A68-4. 労働審判 以前記事のとおり、起訴手続きには少なからぬ費用と時間がかかるといわれていたために、労働者が泣き寝入りしたり不本意な解決に甘んじることも多々ありました、そこで平成18年4月から労使紛争を解決する新しい裁判所の制度として、労働審判の手続きが設けられました。労働審判は事業主と個々の労働者との労働関係に関するトラブルを、そのトラブルの実情に即して迅速、適正かつ実効的に解決することを目的としています。労働審判の特徴は1.原則として3回以内の期日で審理を終えること、2.期日では話し合いによる解決(調停)を試み、調停による解決に至らない場合には審判を下すこと、3.審理を行い判断を下すのは、裁判官である労働審判官1名と裁判官ではないが労働関係に関する専門的な知識と経験を有する労働審判員2名の、計3名で構成された労働審判委員会であることです。3回以内の審理で手続きを終えるため従前の起訴手続きからすると解決までのスピードが格段に速まりましたが、審理が集中して行われるために主張や証拠の準備は充分になされる必要があり、弁護士をつけることが望ましいとされています。あなたが個人で申立てをすることも可能ですが、少なくとも弁護士に相談の上、手続きを行った方がよいでしょう。申立は地方裁判所(本庁及び一部の支部)に行います。当事者が裁判所で合意をした調停及び労働審判委員会の下した審判は、判決と同じ効力があり強制執行が可能です。ただ、審判に対していずれかの当事者が2週間以内に審議の申立てを行うと、審判は失効し訴訟手続きに移行することになります。
2014.01.25
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A68-3. 支払督促・調停 個人で簡単に利用できる裁判所の手続きとしては支払督促と調停があります。どちらも簡易裁判所で手続きを行います。支払督促は未払い賃金、残業代の請求等金銭の支払いだけを求める場合に利用できます。支払督促申請書に必要な事項を書いて提出すれば、裁判所はとりあえずあなたの言い分だけで支払督促を出してくれます。これに対して相手方から異議が出されなければ支払督促は判決と同じ効力を持ち、強制執行も可能となります。異議が出されてしまうと起訴手続きに移行します。調停は相手方に話合いを求めるための手続きで、調停申立書を出すと裁判所が相手方を呼び出し、調停委員と裁判官がお互いの言い分を聞いて、合意ができるよう調整してくれます。合意ができれば合意内容は調停調書にまとめられ判決と同じ効力を持つのですが、合意ができない場合には手続きが打ち切られ裁判所が強制的に何かを命じたりすることはできません。
2014.01.23
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A68-2. 仮処分 あなたが不当に解雇されたり、配点を命令されたり、ひどい退職強要を受け続けているなど、今現在急迫した状態に置かれている場合に、これを起訴(もしくは労働審判)の結論が出る前に暫定的に解消する手続きが仮処分の手続きです。例えば解雇に対して地位保全及び賃金仮払い仮処分の決定を取れば、労働者の地位があるものとして賃金の仮払いが受けられます。緊急の手続きであるため短い期間で結論ができますし、手続きの中で和解が成立し紛争が解決することも多い有効な手続きです。ただ個人で申し立てるのは難しいため、弁護士に依頼する方がよいでしょう。
2014.01.22
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裁判所ではどのような手続きを取ることができるのでしょうか。労働審判とはどのような制度ですか。 A68-1. 起訴手続き 裁判所の判断(判決)は当事者に対して拘束力があり、強制執行が可能です。あなたと使用者の主張が全く食い違い、また使用者があなたの求めに応じようとしない場合、あなたが請求内容を実現させるためには裁判所に判決を求める手続き(起訴手続き)をとることによって終局的な解決を図ることが可能です。起訴手続きでは判決を得るまでの手続きに時間を要することがあり、また法的な主張立証を行うために費用をかけて専門家である弁護士に依頼せざるを得ないなど、時間的、経済的、精神的な負担が生じることがあります。ただ、強制力のない行政機関の手続きで、事実関係や責任の所在を争いながらやみくもに時間をかけるよりは、起訴を提起することの方が早道の場合もあります。起訴手続きを通じて裁判所で早期に和解が成立することも多く、この和解には判決と同じ強制力があることから、紛争解決に当たっては起訴提起も検討すべきです。法的な手続きですので検討に当たっては弁護士に相談することをお勧めします。
2014.01.21
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A67-3. 調停会議による調停 調停委員(弁護士や学識経験者などの専門家)が、当事者である労働者と事業主双方から事情を聴き、紛争解決の方法として超提案を作成し、当事者双方に調停案の受諾を勧告することにより紛争の解決を図る制度です(均等法18条、育介法52条の5、パート法22条)。調停会議の名称は、男女均等取扱い等に関するトラブルについて「機会均等調停会議」、育児・介護休業等に関するトラブルについて「両立支援調停会議」、パート労働者の差別的取扱い等に関するトラブルについて「均衡待遇調停会議」となっています。 (1) 調停の対象となる者及び紛争調停の対象者は、援助の対象者と同様、紛争の当事者である男女労働者及び事業主で、労働組合等紛争の当事者以外の第三者は対象とはなりません。調停の対象となる紛争も概ね前記事(1)記載の援助の対象となる紛争と同じですが、男女均等取扱い等に関するトラブルについて、労働者の募集及び採用についての紛争は調停の対象となりません。また、援助の対象とならない紛争については調停の対象にもなりませんが、調停の場合には、申立てに係る紛争がすでに司法的救済又は労働局長の援助以外の行政的救済手続きに係属している場合であっても、当事者双方がそれらの手続きよりも調停を優先する意向がある場合には調停の対象となります。 (2) 申立ての方法及び手続きの流れ調停の申請をするには、都道府県労働局雇用均等室へ調停申請書を提出します。申請用紙は、厚生労省のホームページからダウンロードすることもできます。また、インターネット上の「電子政府の総合窓口」から電子申請を行うこともできます。管轄違い、調停対象事項からの逸脱等がなければ調停申請書は受理され、調停を開始する必要がないと判断された場合を除き調停開始が決定されます。調停会議は非公開で行われます。調停では調停委員が関係当事者からの事情聴取等を行い、調停案を作成し、調停案の受諾勧告を行います。当事者双方が調停案を受諾すれば調停は終了します。調停案について当事者双方が受諾して成立した合意は民法上の和解契約となり、当事者の一方が義務を履行しない場合は他方当事者は債務不履行として訴えることができます。ただし受諾された調停案には強制力はないので、これをもって強制執行をすることはできません。当事者の対立が著しく強く歩み寄りが困難である場合、当事者が調停案を受諾しない場合等には調停は打ち切られます。その場合に当事者がなお紛争解決を求めるときは裁判所に起訴を提起することとなります(起訴手続き等についてはQ68参照)。調停が打ち切られた場合、当該調停の申請をした者が調停の打ち切りの通知を受けた日から30日以内に調停の目的となった請求について訴えを提起したときは、時効が調停の申請時(申請書が現実に都道府県労働局長に提出された日)に遡って中断されます(均等法24条、育介法52条の6、パート法23条)。
2014.01.20
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A67-2. 都道府県労働局長による紛争解決の援助 都道府県労働局長が、労働者と事業主との間のトラブルについて公正・中立な立場から当事者双方の意見を十分に聴きとり、双方の意見を尊重しつつ、必要な具体策の提示(助言・指導・勧告)をすることにより解決を図る制度です(均等法17条、育介法52条の4、パート法21条)。 (1) 援助の対象となる者及び紛争援助対象者は紛争の当事者である労働者及び事業主で、労働組合等紛争の当事者以外の第三者は対象となりません。援助の対象となる紛争は以下のとおりです。 確定判決が出されている場合、すでに司法的救済又は労働局長による援助以外の行政的救済手続きに係属している場合、集団的な労使紛争にからんだものである場合、事業主の措置が行われた日又は措置の内容が終了した日から1年以上が経過している場合等は援助の対象となりません。 (2) 申立ての方法及び手続きの流れ援助の申立は都道府県労働局へ赴くほか、電話での申立ても可能で、申立書等の文書の提出は必要ありません。都道府県労働局長は、申立者、被申立者及び必要な場合には第三者に対して事情聴取をし、問題の解決に必要な援助(助言・指導・勧告)を実施し、これが当事者双方に受け入れられた場合には紛争解決となります。援助の申立てが取り下げられた場合、被申立者が非協力的で事情聴取に応じない場合、対立が著しく強く歩み寄りが困難な場合等には援助の手続きは打ち切られます。この手続きが打ち切られた場合でも、必要に応じ下記3.の調停会議による調停を申し立てることができます。
2014.01.18
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1.セクハラにより退職に追い込まれた、2.育児休暇をとらせてもらえない、3.パートタイマーではあるけれど正社員と同じように働いているのに、正社員と比べて賃金に著しい差がある等、職場でのトラブルを解決するためにはどのような方法がありますか。 A67-1. 相談窓口 ご質問にある1.は労働者と事業主の間の男女均等取扱い等に関するトラブル、2.は育児・介護休業等に関するトラブル、3.はパート労働者の差別的取扱い等に関するトラブルです。このような職場でのトラブルは、事業主との間で自主的に解決されることが望ましいとされていますが(均等法15条、育介法52条の2、パート法19条)、職場での解決が困難な場合は、各都道府県労働局雇用均等室が相談窓口となりますから、雇用均等室に相談してみましょう。事業主の自主的解決は努力義務ですので、この手続きが踏まれていなければ雇用均等室に相談できないということはありません。雇用均等室では、上記1.から3.のような職場でのトラブルの解決のために「都道府県労働局長による紛争解決の援助」と「調停会議による調停」という二つの手続きを設けています。労働者がこれらの手続きの申立てをしたことを理由として、事業主がその労働者に対し不利益取扱いをすることは禁止されています。
2014.01.17
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A66-4. 労働委員会によるあっせん、調停、仲裁、不当労働行為の審査 労働委員会は労働組合と使用者との間の争いを解決したり、使用者による不当労働行為があった場合に労働組合や組合員を救済する機関です。これらの紛争については、労働組合等の申請によりあっせん、調停、仲裁、不当労働行為の審査の手続きがとられ救済がはかられます。原則として個人と使用者との争いを解決する機関ではないのですが、各都道府県に設置されている労働委員会によっては個別労働関係紛争のあっせん手続きを取り扱っているところもあります。
2014.01.16
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A66-3. 労働局の雇用均等室 均等法、育児・介護法、及びパート法に関するトラブルについては労働局の雇用均等室が窓口になって、1.労働局長による援助、2.専門の調停委員による調停の紛争解決手続きが設けられています(Q67参照)。なお、均等法、育児・介護法に違反している企業が厚生労働大臣(都道府県労働局長)の是正指導に応じない場合には、企業名公表制度の対象となりますし、厚生労働大臣(同)から報告を求められたにもかかわらず、事業主が報告をせず、又は虚偽の報告をした場合は、20万円以下の過料が課されます。
2014.01.15
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A66-2. 各都道府県の労働局に設けられている個別労働紛争解決制度 近年労基法違反の紛争に限らず個々の労働者と事業主との間の労働紛争(個別労働紛争)が増加しています。これらについて裁判手続きによらないで円満解決を図れるようにと設けられた制度が「個別労働紛争解決制度」であり、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づき各都道府県の労働局に三つの無料解決援助サービスが設けられました。 (1) 総合労働相談コーナーでの相談・情報提供労働局は、ワンストップサービスとして総合的な労働相談窓口を設けています。これは単に法令や判例を知らなかったり誤解していたりすることから労働紛争が生じていることも少なくないからです。この総合労働相談では法令や判例を案内するにとどまらず、適切な解決機関や解決方法を案内してくれます。 (2) 労働局長による助言・指導上記労働相談窓口において労働局長による助言・指導の申出をすると、労働局長が労働条件・労働関係の紛争の問題点を指摘し、解決の方向を示唆して紛争当事者による自主的な解決を促します。この助言・指導は、紛争当事者に対して強制力を持つものではありません。また労働者が助言・指導の申出をしたことを理由に、使用者が労働者を不利益に取り扱うことは禁止されています。 (3) 紛争調整委員会のあっせん上記と同じく労働相談窓口に労働問題についてのあっせん申請をすることにより、労働局が労働者と使用者との話合いの場を用意し、専門の相談員が間に入って調整を行ってくれます。このあっせんについても、あっせん申請があったことを理由に使用者が労働者を不利益に扱うことは禁止されています。
2014.01.14
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行政の紛争解決機関を利用した手続きにはどのようなものがありますか。 A. 当事者同士の話し合いで解決ができそうもない場合や、話合いをすること自体がためらわれる場合には、公的な機関を通じて解決を図る必要があります。労働紛争を扱う公的な機関としては各都道府県の労働局、労働委員会、そして、裁判所があります。また労働局には労働基準監督署、雇用均等室という部署があり、これらも独自に紛争解決機関としての機能を有しています。労働基準監督署、雇用均等室、労働局、労働委員会は行政機関であって、その紛争解決手続きには一般的に強制力はありませんが公的機関が介入して解決を図るという点で実効性はあり、また裁判所の手続きに比べ比較的簡易に手続きを取ることができますので弁護士をつけなくても個人で利用することが可能です。行政の紛争解決機関を利用した手続きには次のものがあります。 A66-1. 労働基準監督署に対する申告 労働基準監督署(以下、「労基署」といいます)は労基法違反を監督是正する権限をもっています。そこで不当解雇、賃金不払い、サービス残業強要、休みが取れないなど、労基法に反する使用者の違法な待遇について、労働者は労基署に対し労基法違反であることを申告し是正を求めることができます。違法な労働問題に直面した個人が無料で利用できる手続きです。使用者は労基署の是正措置を重く受け止めるのが一般で、ある程度の実効性も期待できます。また悪質なケースについては労基署が使用者を刑事告発することもあります。ただし労基署の判断に強制力はなく、また労基署の法的な認定には限界がありますので、使用者が違法性の有無を争う場合、最終的には裁判所で判断してもらうしかありません。
2014.01.13
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A65-3. 職場に対して申入れ、話合いをしてみる 職場内の紛争については、まずは使用者や上司に申入れを行い話し合いを行うことが最も穏便な解決方法です。特にあなたが引き続きその職場で勤務を継続したいと望むのであれば、できる限り話し合いで自主的解決を目指すのが妥当でしょう。セクハラ問題については、使用者が苦情・相談に適切に対応する体制を整備しなければならないことになっています。職場内に相談窓口があれば利用してください(Q34、Q35参照)。なお、話合いをする場合には念のためやりとりの内容を録音したり、メール・手帳などの記録に残したり、申し入れの事実と内容、使用者の対応状況を証拠として残すことを心がけておきましょう。あなた自身での対応に限界があるということであれば、職場の労働組合に相談して労働組合に使用者との交渉を行ってもらうという方法もあります。職場に労働組合がなければ仲間を募って自分たちで組合を結成することもできますし、地域の労働組合に1人で加入することも考えられます(Q69、Q70参照)。また、費用がかかりますが、弁護士に事件として交渉を依頼することもできます。依頼を受けた弁護士は、使用者ないし相手方に対して、書面で通知を行った上で話合いを試みるのが通常です。依頼を受けてくれる弁護士に心当たりがない場合には弁護士会の法律相談センターの相談、法テラスの相談を通じて弁護士に依頼することが可能です。法テラスには弁護士費用の立替払制度があり、利用にはその人が実際に得ている収入が一定の金額以下であることが必要となりますが、分割払いで依頼をする事が可能で、経済的に困窮している人に対しては償還免除もあります。
2014.01.12
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A65-2. 証拠収集の重要性 早期に事実の裏付けなる証拠を確保しておくこともとても重要なことです。法的な紛争では、後にその元となる事実関係が争いになる場合が少なくありません。どのような事実があったのかについて、その裏付けとなる証拠をそろえておかなければ事実自体が認められないことがあります。事件に関連しそうなものはできるだけ保管を心がけてください。例えば残業代や賃金の未払いのケースであれば、出勤日及び出退勤の時間の記録が重要な証拠になります。具体的には職場に置いてあるタイムカードや出勤簿などがその証拠となりますが、後日紛争が表面化した際に使用者によって改ざんされたり破棄されたりするおそれがあります。原則としてこれら職場の証拠書類を勝手に持ち出すことは許されませんので、内容を書き留めておいたりデジタルカメラで撮影しておくことが考えられます。解雇のケースでは会社側が解雇の理由を何と言って説明していたかが問題となり、また退職強要のケースでは労働者の自発的な退職なのか使用者からの圧力があったのかが問題となります。その場合使用者と労働者の間のやりとりについて言った言わないの争いになることが多く、証拠がなければやりとりがあったとは認められにくいものです。重要な話し合いについては直接ICレコーダーで録音をしておくとか、話し合いの後にやりとりの内容をメールや文書で確認しておくなど証拠化を心がけてください。解雇や退職強要に対して何も反論せずに長期間放置してしまうと解雇や退職を認めているものと受け止められ、その後にアクションを起こすのが難しくなってしまうことがあります。内容証明郵便という発信内容の記録が残る郵便で、早期に解雇の撤回を求めたり、退職強要により退職届提出を余儀なくされた事実を勤務先に対して通知しておくことが必要です。暴行や労災のケースでは、傷害を負った場合に医師にかかるまでもないと思われる程度のものであったとしても必ず医療機関を受診してください。また医師には傷害を負うに至った経緯なども説明してください。その事実は診療記録に残り、後日証拠とすることができるからです。セクハラやパワハラのケースでは客観的な証拠が揃いにくいものですが、ご自身で作成した記録も証拠となります。日記や手帳を証拠として出すことが可能ですので記録を心がけてください。後から都合よく作成したのではないかと言われそうな場合、事実の経緯を記載した文書を公証役場に持って行って確定日付を付与してもらえば、少なくとも確定日付より前に作成した書面であることは爭われません。メールのやりとりは貴重な証拠になることが多いので、証拠になりそうなメールは消去せず保護しておき画面を写真で撮影しておくことも有用です。セクハラやパワハラ行為によって心身にダメージを受けた場合には、必ず医療機関を受診してください。
2014.01.11
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職場でトラブルが発生した場合まずどうすればよいでしょうか。 A65-1. まずは相談を 各地の労働センターなどの公的な相談窓口や弁護士に相談することをお勧めします。労働組合に相談してもよいでしょう。いずれにしても問題を1人で抱え込まないで早く相談することが大切です。書籍やインターネット上で情報収集をすることにより、自分にどのような権利侵害が生じているのか、誰に対して何を請求できるのかをある程度把握することも可能でしょうが、これらは個別のケースに対応したものではないので限界があります。相談窓口としては、各都道府県の総合労働相談コーナー、弁護士会の法律相談センター、法テラス(日本司法支援センター)などがあります。
2014.01.09
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A64-2. 行政への相談 以上のような苦情処理の仕組みが派遣元・派遣先双方にあるはずですので、基本的には、その仕組みにしたがって受付担当者に苦情を申し立て、就労環境の改善や是正を求めることになります。そうはいっても、事業主によっては、苦情処理体制の整備を怠っていたり、体制があったとしても、まともに取り合わなかったりする場合があるかもしれません。このような場合には、行政に相談に行くことも考えられます。具体的には、どのような法律の違反に関する苦情であるかによって、相談場所が異なります。労基法上の違反が問題であれば、労働基準監督署に相談してみましょう。セクハラなど均等法違反であれば、雇用均等室が窓口となります(Q66、67参照)。もし、派遣法違反に関係すること(偽装請負、派遣禁止業務違反、直接雇用義務違反など)であれば、各地方の公共職業安定所に相談してみましょう(派遣法52条)。違反の内容や程度によって、指導・助言、勧告、企業名の公表、改善命令、事業停止命令、許可の取り消し等がなされることがあります。
2014.01.07
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派遣労働についての苦情を申し立てるには、どのような方法がありますか。 A64-1. 苦情処理体制づくりの義務 派遣労働は、派遣元に雇用されながら、派遣先で指揮命令を受けて働くという特殊な労働形態ですから、労働者が苦情を訴えたいときに、苦情処理責任の所在が曖昧になるおそれがあります。そこで、派遣先と派遣元は、労働者派遣契約を締結する際に、派遣労働者から苦情の申出を受けた場合における処理方法などについて、あらかじめ定めなければならないとされています(派遣法26条1項7号)。具体的には、派遣先と派遣元において、それぞれ派遣労働者からの苦情の申出を受け付ける担当者を決め、苦情を受けた場合の処理方法や、派遣先と派遣元相互の連携体制について労働者派遣契約で決めること、また、実際に苦情があった場合には、管理台帳に苦情の申出を受けた年月日、苦情の内容及び苦情の処理状況について、その都度記載するとともに、その内容を相互に通知することとされています(「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」平成11年労働省告示138号)。特に、派遣先に苦情の申出があった場合については、派遣先は、苦情の内容を派遣元に通知するとともに、派遣元との密接な連携の下に、誠意をもって、遅滞なく、苦情の適切かつ迅速な処理を図らなければなりません(派遣法40条1項)。また、派遣先は、派遣労働者の受入に際し、説明会等を実施して、苦情処理の方法について派遣労働者に説明することとされています(「派遣先が講ずべき措置に関する指針」)。なお、苦情を申し立てたことによる不利益な取り扱いは禁止されています(両指針)。
2014.01.06
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A63-3. 裁判所の判断 派遣先が派遣受入期間の制限や雇用解約申込み義務に違反している場合、派遣先との間で雇用契約が成立していると主張できるでしょうか。この点、付添婦紹介契約に基づき病院に付添婦が派遣された事例(安田病院事件)で、派遣先の人的、資力的支配に服し、その指揮命令の下で労務が提供され、実質的に使用従属関係が認められることから客観的に推認されるとして黙示の労働契約の成立を認めた原審(大阪高判平10.2.1労判744号63頁)の判断を是認した最高裁判例(最判平10.9.8労判745号7頁)があります。一方、近時、テレビ部品製造会社(供給先)から生産業務を委託されていた会社(供給元)に雇用され、供給先の工場における業務に従事したいた労働者が、供給先に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めた事案(松下プラズマディスプレイ事件)で、労働者・供給先間の実体関係(使用従属関係、賃金支払関係、労務提供関係等)から労働契約が客観的に確認されるとして黙示の労働契約の成立を認めた原審(大阪高判平20.4.25労判960号5頁)の判断を是認できないとし、1.供給先は供給元による労働者の採用に関与していたとは認められない、2.労働者が供給元から支給を受けていた給与等の額を供給先が事実上決定していたといえるような事情もない、 3.供給元は配置を含む労働者の具体的な就業態様を一定の限度で決定し得る地位にあった等の事情を総合すると、供給先・労働者間に黙示の雇用契約が成立していたものと評価することはできないと判示した最高裁判例(最判平21.12.18労判1000号5頁)もあります。松下プラズマディスプレイ事件の最高裁判決が出た後は、派遣先が派遣受入期間の制限や雇用契約申込み義務に違反している場合であっても、派遣先との間で雇用契約が成立しているとの主張を訴訟で認めてもらうことは困難になったといえます。
2014.01.05
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A63-2. 厚生労働大臣の指導等 厚労大臣(実際には都道府県労働局長)は、派遣先が派遣受入期間の制限や雇用契約申込み義務に違反している場合、指導又は助言(派遣法48条1項)、雇入れ勧告(同法49条の2第2項)、雇用契約申込みの勧告(同法49条の2第1項)をすることができます。
2014.01.04
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派遣先で継続して働き、いつか派遣先の正社員になりたいと思っていますが、可能でしょうか。 A63-1. 派遣先の雇用努力義務、雇用契約申込み義務 派遣法は、派遣労働者の雇用の安定を図るため、派遣先に対し、以下の場合の雇用努力義務、雇用契約申込み義務を課しています。 (1) 派遣可能(受入)期間が制限されている業務への派遣の場合1.派遣先が、1年以上の派遣受入期間以内の期間、同一労働者から同一場所の同一業務に継続して役務の提供を受けた場合で、当該派遣労働者から役務の提供を受けた期間(派遣実施期間)が経過した日以後、同一業務について新たに労働者を雇入れようとする場合、当該派遣労働者(派遣実施期間が経過した日までに、派遣先に雇用されて同一業務に従事することを希望する旨を派遣先に申し出て、かつ、派遣実施期間の経過した日から起算して7日以内に派遣元との雇用関係が終了した者)を優先的に雇い入れるように努めなければなりません(同法40条の3)。 2.派遣元は、派遣先及び派遣労働者に対し、派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日(抵触日)以後継続して労働者派遣を行わない旨を通知しなければなりません(派遣停止の通知、同法35条の2第2項)。派遣停止の通知を受けた派遣先は、抵触日以降継続して派遣停止の通知を受けた派遣労働者を使用しようとする場合、抵触日の前日までに、当該派遣労働者であって派遣先に雇用されることを希望する者に対し、雇用契約の申込をしなければなりません(同法40条の4)。 (2) 派遣可能(受入)期間の制限がない業務への派遣の場合派遣先が、3年を超える期間、同一労働者から同一場所の同一業務に継続して役務の提供を受けている場合で、同一業務について新たに労働者を雇い入れようとする場合、当該派遣労働者に対し、雇用契約の申し込みをしなければなりません(同法40条の5)。なお、派遣可能期間の制限を受けない業務は、従前は、26の業務が政令で定められていましたが、平成24年の改正により、規定の仕方がQ54末尾の表のように変わりました。
2014.01.03
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A62-2. 派遣元による解雇の効力 派遣先の派遣契約の解除に正当な理由がある場合、又は、正当な理由はないが派遣元が解除の無効を主張せずに解除を受け入れた場合、派遣元はそれだけを理由として派遣労働者を解雇することは認められません。 (1) 解雇制限まず、常用型派遣・登録型派遣を問わず、法律で個別に解雇が禁止されている事由がある場合の解雇は認められません(業務上の傷病による休業期間及びその後の30日間の解雇(労基法19条)、産前産後の女性が労基法65条によって休業する期間及びその後の30日間の解雇(同法19条)等)。 (2) 解雇権濫用等次に、常用型派遣・登録型派遣を問わず、解雇に関する一般的法規制である解雇権濫用法理(労契法16条)や、有期契約の期間途中解雇に対する法規制(同法17条1項)が適用されます(解雇権濫用法理や有期契約の期間途中解雇に対する法規制の詳細についてはQ16をご参照ください)。派遣元が、派遣労働期間中、派遣先から派遣契約を解除されたことだけを理由に派遣労働者を解雇することは解雇権濫用であり無効です。したがって、派遣元に対し、解雇の無効を主張し、労働契約上支給されるべき賃金全額の支払いを請求できます。また、派遣元が、派遣先から派遣契約を解除されたために従業員を削減する必要があるとして解雇する場合、整理解雇の4条件を具備する必要があります(整理解雇の4要件の詳細についてはQ17をご参照ください)。 (3) 解雇を受け入れる場合解雇の効力を争わない場合、解雇予告手当を請求できます(労基法20条)。
2014.01.02
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派遣先から派遣を打ち切られたことを理由に、派遣元から突然解雇を言い渡されました。どのように対処したらよいでしょうか。 A62-1. 派遣先による派遣契約の解除の効力 派遣元と派遣先は、労働者派遣の期間を定めて派遣契約を締結しています(派遣法26条1項4号)。派遣先は、この期間の満了前は、派遣元が債務不履行を行ったため法律上解除が認められる場合(民法541条・543条)や、派遣元と派遣契約を締結する際に合意した解除事由が生じた場合を除き、派遣契約を一方的に解除することはできません。また、「派遣労働者の国籍、信条、性別、社会的身分、派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたこと等を理由として」派遣契約を解除することはできません(派遣法27条)。派遣先が正当な理由なく派遣契約を解除した場合、解除は無効であり、派遣元は派遣先に対して解除の無効を主張し現状回復を請求できます。では、派遣先が正当な理由なく派遣契約を解除した場合、派遣労働者は、派遣先や派遣元に対し、派遣先での就労を請求できるでしょうか。この点について、派遣労働者は派遣元や派遣先に対して派遣先での就労を求めることはできず、派遣元に対して平均賃金の60%以上の休業手当(労基法26条)の支払いを求めることができるだけである、という見解があります。しかし、この見解では、派遣元が派遣先に対して解除の無効を主張しない場合、派遣労働者の保護に欠け、不当な結果となりかねません。派遣労働者は、派遣先や派遣元に対し、派遣先での就労を請求でき、そのような趣旨で交渉することになると考えます。
2013.12.31
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A61-3. 派遣元が講ずべき措置 なお、派遣元は、派遣先が派遣法又は前回・前々回記事の特例(同法45条~47条の2)により適用される法律の規定に違反しないように、また、その他派遣就業が適正に行われるように、必要な措置を講ずる等適切な配慮をしなければならないとされています(同法31条)。具体的には、派遣先を定期的に巡回すること等により、派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約の定めに反していないことの確認等を行うことともに、派遣労働者の適正な派遣就業の確保のためにきめ細やかな情報提供を行な等により、派遣先との連絡調整を的確に行うことや、関係法令の関係者への周知の徹底を図るために、説明会等の実施、文書の配布等の措置を講ずることとされています(「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」平成11年労働省告示137号)。また、派遣先に関係法令違反があった場合には、派遣元は、派遣を停止し、又は派遣契約を解除することができると定められています(同法28条)。
2013.12.28
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A61-2. 具体例 ~派遣先でセクハラに遭った場合~ Q33.のとおり、事業主には、均等法11条及び指針により、セクハラ防止の方針明確化、労働者への周知啓発、相談窓口の整備、事後の迅速かつ適切な対応等、必要な措置を講じる義務が規定されています。派遣労働者の雇用主である派遣元が均等法の適用を受けるのは当然ですが、現実にはセクハラ被害は、労働の職場で生じることが多いと考えられます。そこで、派遣労働者を保護するため、前回記事のとおり、派遣先も、セクハラに関する規定の適用を受けるものとされています(派遣法47条の2)。したがって、派遣労働者は、派遣元のみならず派遣先にも、セクハラを是正するよう適切な対応を求めることができます。具体的な方法については、Q33.~Q35.を、また、派遣先と派遣元との間での苦情処理体制についてはQ64.をご参照ください。
2013.12.27
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労働条件の最低基準を定める法律として、労働基準法があると聞きましたが、派遣労働の場合は、派遣元と派遣先と、どちらが労基法上の責任を負うのですか。 A61-1. 派遣元と派遣先の責任分担 労働者と使用者との間の労働条件の最低基準を定める法律として、労基法が定められています(Q4)。使用者は、労基法の基準を守らなければならず、同法に違反した労働契約は無効であり、同法で定める基準が適用されます。派遣労働の場合、このような労基法上の使用者の責任は、派遣労働者と労働契約関係にある派遣元事業主が負うのが原則です。しかし、派遣労働は、派遣労働者が派遣先において指揮命令を受けるという特殊な労働形態ですので、実態にあわせて派遣先事業主にも使用者の責任を負わせないと、派遣労働者の保護に欠けることになってしまいます。そこで、派遣法は、労基法の適用の特例を定め、労働時間、休憩、休日等一定の事項について、派遣先事業主に労基法上の使用者の責任を負わせることとしました(派遣法44条)。また、労基法以外にも、労働安全衛生法、じん肺法、作業環境測定法、均等法の適用について、特例が定められています(派遣法45条~47条の2)。
2013.12.26
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A60-3. 本問の場合 本問の場合にも、派遣元における三六協定の締結・届出等、上記の条件を満たす場合には、その範囲内で派遣先から時間外の労働等を命じられた場合には、これに応じる必要があります。なお、時間外労働等を行った場合には、所定の割増賃金が派遣元から支払われます。
2013.12.24
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A60-2. 派遣先による時間外労働命令等の前提 派遣先の時間外労働等の命令が適法といえるには、次の各事項を満たしている必要があります。 (1) 三六協定時間外、休日、深夜労働を命じるには、前提として、いわゆる三六協定を締結し行政官庁に届け出ていることが必要です。労働者派遣においては、この三六協定の締結・届出は、派遣労働者の雇用主である派遣元が行う必要があります。派遣元において三六協定が締結、届出されていなければ、派遣先は、時間外労働等を派遣労働者に命じることはできません。また、派遣元において三六協定が締結・届出されている場合、その協定の枠内でしか、派遣先は時間外労働等を命じることができません。これに違反した場合、派遣元が処罰されますが、使用者である派遣先も処罰の対象となります。 (2) 労働契約(雇用契約)、派遣元の就業規則派遣元において三六協定の締結・届出がなされていても、それだけで派遣労働者に時間外労働等を命じることができるものではなく、個々の派遣労働者の労働契約(雇用契約)上、残業に応じる義務が認められていることが必要です。この義務は、派遣元と派遣労働者との労働契約(雇用契約)や派遣元の就業規則により定められているものです。なお、派遣元は、派遣労働者に対して「就業条件明示書」により労働条件を明示することとなっていますので、時間外労働に応じる義務がある場合は、その旨や時間外労働の上限が「就業条件明示書」により通知されていることが必要です。 (3) 派遣先と派遣元と派遣契約さらに、派遣先と派遣元との派遣契約において、派遣労働者の就業条件として、時間外労働等を命じ得る旨が定められていること、時間外労働の上限時間が定められていること等が必要です。派遣先による時間外労働命令等は、派遣先と派遣元との派遣契約に定められた範囲内で行われることになります。
2013.12.23
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派遣先から、繁忙期には時間外労働や休日労働などをして欲しいと頼まれます。応じなければならないのですか。 A60-1. 派遣労働者に対する時間外・休日・深夜労働命令の主体 派遣労働者に対しては、派遣先が直接指揮命令を与えて派遣先の業務に従事するため、派遣労働者を指揮命令する派遣先が、労基法上の「使用者」とみなされます。そこで、時間外労働命令も派遣先が直接、派遣労働者に対して行うことになります。したがって、派遣先の命令が適法なのである限り、派遣労働者はその命令に従う必要があり、派遣労働者が使用者である派遣先の業務上の命令に従わない場合、業務命令違反ということになります。ってことは、派遣先も労基法に気をつけて派遣労働者を使うということですね。
2013.12.22
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A59-4. 待遇に関する事項等の説明 平成24年の派遣法の改正により、派遣元は、労働契約締結前に、派遣労働者として雇用しようとする者に対し、次の各事項を説明することが義務づけられました(派遣法31条の2)。 1. 雇用された場合の賃金の見込額、その他の待遇に関する事項。2. 事業運営に関する事項。3. 労働者派遣に関する制度の概要。
2013.12.21
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A59-3. 明示の方法 就業条件の明示は、原則として書面の交付等その他適切な方法によってなされることが義務づけられており(派遣法施行規則25条の2)、「就業条件明示書」という書面により明示されることが一般的です。他方、雇用契約は、できる限り書面によるものとされており、「雇用通知書」、「雇用契約書」等の書面によりなされることが一般的ですが、労働者派遣においては、就業条件の明示書と雇用契約書を一体化させて作成されている場合も多いようです。なお、派遣元事業主が、就業条件の明示義務に違反した場合は、罰則(30万円以下の罰金)が設けられています。
2013.12.20
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A59-2. 雇用契約に示すべき事項 雇用契約には、次の各事項を示すものとされています(労働法15条1項)。1. 労働契約の期間に関する事項。2. 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項。3. 就業場所、従事すべき業務。4. 始業及び就業の時刻、残業、休憩時間、休日、休暇等に関する事項。5. 賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切及び支払いの時期、昇給に関する事項(解雇の事由を含む)。6. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)。7. その他、定めがある場合は所定の事項。
2013.12.18
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「就業条件の明示」や「雇用契約」、「待遇に関する事項等の説明」とは、どのようなものですか。 A. 「就業条件の明示」とは、労働者派遣を行う際に、派遣元事業主が、派遣労働者に対して、派遣先における就業条件を明示するもので、派遣法上、派遣元事業主に課された法律上の義務の一つです。「雇用契約」とは、使用者が労働者を雇用する際に、使用者と労働者の間で就業条件等を定めるために締結される契約です。「待遇に関する事項等の説明」とは、派遣元が、派遣労働者として労働者を雇用しようとする場合に、雇用された場合の賃金額の見込み等を説明するもので、派遣元に課された義務の一つです。なお、「労働者派遣契約」は、派遣先と派遣元事業主との間において、派遣労働者の就業条件等について定める契約です。 A59-1. 就業条件として明示すべき事項 派遣元事業主は、派遣労働者に対し、次の1.~14.の事項(就業条件)を明示することを義務付けられています(派遣法34条)。1. 労働者派遣をしようとする旨。2. 派遣労働者の従事する業務内容。3. 派遣労働者の就業場所。4. 派遣労働者を直接指揮命令する者。5. 労働者派遣の期間、就業日。6. 就業の開始及び終了の時刻、休憩時間。7. 安全及び衛生に関する事項。8. 派遣労働者からの苦情処理に関する事項。9. 労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項。10. 紹介予定派遣の場合、紹介予定派遣に関する事項。11. 派遣元責任者、派遣先責任者に関する事項。12. 休日労働、時間外労働がある場合はその日又は時間外労働時間数。13. 派遣労働者の福祉の増進のための便宜の供与に関する事項。14. 派遣期間に制限のある業務について労働者派遣をする場合は、派遣先が派遣期間の制限に抵触することとなる最初の日。
2013.12.17
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A58-4. 紹介予定派遣における派遣期間 紹介予定派遣においては、派遣期間は6ヵ月を超えてはならないとされています。紹介予定派遣は、正社員としての採用を目的とするものであるため、派遣期間が長期にわたると本来の制度趣旨からはずれてしまうことから、このような期間制限が設けられているのです。派遣労働者、派遣元及び派遣先の三者の合意があれば、派遣期間中であっても、途中で労働者派遣を打ち切り、派遣先に対して正社員として職業紹介をすることも可能です。また、派遣先は、紹介予定派遣により雇入れた労働者については、試用期間を設けてはならないとされています。
2013.12.16
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A58-3. 派遣労働者の特定 労働者派遣においては、厚労省が作成している指針により、原則として派遣労働契約締結に際して派遣労働者を特定することを目的とする行為(事前面接、履歴書の送付、若年者に限ること等)は禁止されていますが、紹介予定派遣においては、派遣労働者を特定することを目的とする行為を行うことができるとされています。もっとも、「派遣先が講ずべき措置に関する方針」では、性別による差別は禁止されており、また、紹介予定派遣を行うに当たっては、年齢を理由とする排除をしないこと、派遣労働者が紹介予定派遣を希望するにあたり求められる事項(職務の内容、労働者の適正、能力、経験、技能の程度等)をできる限り明示することが求められています。
2013.12.14
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A58-2. 派遣元及び派遣先に対して求められる措置等 (1) 事前の明示派遣元は、紹介予定派遣として派遣労働者を雇入れる場合には、あらかじめその旨を派遣労働者に明示しなければなりません。また、既に雇入れている労働者を新たに紹介予定派遣の対象とする場合には、その旨を派遣労働者に対して明示し、同意を得ることが必要です。 (2) 契約・就業条件明示書での明示派遣元と派遣先との労働者派遣契約には、紹介予定派遣に関する事項を定めなければならないとされています。 (3) 不成立の場合の理由の明示派遣先が、派遣就業終了後に職業紹介を希望しなかった場合や派遣労働者を雇用しなかった場合には、派遣労働者は派遣元に対して、派遣先に、書面、ファクシミリ又は電子メールにより理由の明示を求め、また、派遣先から明示された理由を、書面により開示するよう求めることができます(当該派遣労働者が希望した場合は、ファクシミリ又は電子メールで明示することもできます)。
2013.12.13
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紹介予定派遣というものがあるようですが、どのような派遣契約なのでしょうか。 A58-1. 紹介予定派遣とは 紹介予定派遣とは、派遣元から派遣先に正社員採用候補として派遣され、派遣労働者として就業した後に、正社員として雇用されるよう職業紹介を行うことを予定して実施される労働者派遣です。もっとも、派遣就業終了時に当然に正社員として採用されるのではなく、改めて、派遣元事業が、派遣先及び派遣労働者の求人・求職の意思を確認して職業紹介が行われるものですので、派遣先及び派遣労働者の意思により職業紹介が行われないこともあります。
2013.12.12
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A57-2. 特定行為にあたる行為 労働者派遣は、派遣元事業主が、派遣先の要望する技能や経験等の要件を満たすものを雇用して、労働者派遣を行うものです。派遣先が、技能や経験以外の外観や性別、年齢等を選考の材料とすることは、不当な差別につながるおそれがあり不適当です。派遣先が、派遣労働者の経歴書の提出を求めたり、事前面接を行ったりすることや、「35歳未満の者に限る」などの年齢制限を設けることは、派遣労働者を特定する行為として、厚労省の指針により禁止されます。また、性別による差別も上記指針により禁止されており、派遣先に対し、派遣元事業主との労働者派遣契約の締結に際して、労働者派遣契約書に派遣労働者の性別を記載してはならないとされています。他方、派遣労働者の希望によって、事前に派遣先の事務所訪問を行うことや履歴書を提出することは特定行為には該当しないとされていますので、派遣労働者が希望する場合には、これらの行為を行うことは可能です。しかし、上記の指針においては、派遣先や派遣元事業主は、派遣労働者に対して、これらの行為を求めないこととする等、派遣労働者を特定する行為の禁止に触れないよう十分留意することが求められています。なお、短期の派遣労働契約が締結され、派遣先が派遣労働者の役務の提供を受けたあと、派遣契約を更新して、派遣先が同じ派遣労働者を指名することも、特定行為にあたるものと解されています。
2013.12.11
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派遣先を紹介してもらう際に、年齢制限があって紹介してもらえなかったり、派遣先との事前面接が行われたりするのですが、このようなことは禁止されているのではないでしょうか。 A57-1. 労働者の特定を目的とする行為の禁止 労働者派遣に関し、厚労省は「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」及び「派遣先が講ずべき措置に関する指針」を制定していますが、これらの指針により、派遣先に対しては、労働者派遣に先立って派遣労働者の特定を目的とする行為を行うことが禁止されており、また、派遣元事業主に対しても、派遣先が派遣労働者の特定を目的とする行為を行うことに協力することが禁止されています(ただし、紹介予定派遣の場合を除く。Q58参照)。
2013.12.10
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A56-3. 現状と課題 非正規雇用の労働者数は平成20年度までは増加する傾向にありましたが、平成20年に起きたいわゆるリーマンショックといわれる米国の金融破綻をきっかけに、世界規模で経済状況が悪化し、我が国では非正規雇用の労働者が調整弁として大量に解雇される事態となり、平成21年度からは減少に転じました。その後再び増加傾向に戻っていますが、派遣労働者は、平成24年1月20日に厚労省が発表した集計結果によると、前年度に比較して約10.1%減少しています(厚労省による労働者派遣事業の平成22年度事業報告の集計結果)。なお、派遣労働者のうち、常用型労働者数の占める割合が増えてきているようですが、未だ54%は登録型にとどまっています。平成20年度の8時間換算の賃金を比較すると、常用型労働者は16068円であるところ、登録型は11792円とかなり低めに抑えられていることが判ります。派遣法の改正案では、派遣労働者の生活の安定を図るために、登録型を原則禁止とする内容が盛り込まれる予定でしたが、平成24年の改正では実現しませんでした。他方、常用型といっても、短期の有期契約を繰り返す実態があったり、派遣会社との雇用契約が中途解約されるケースもみられることから、どこまで効果的な改正できるか、疑問視する声も出ているようです。
2013.12.09
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A56-2. 派遣会社の事業の種類 派遣会社の事業には、一般労働者派遣事業と、特定労働者派遣事業の2種類があります(派遣法2条)。常用型の労働者のみを派遣する事業を、特定労働者派遣事業といいます。一般労働者派遣事業を行う者は、厚生労働大臣の許可を得る必要がありますが、特定労働者派遣事業を営む場合は、厚生労働大臣に届出書を提出するだけでよいとされています。この違いは、派遣労働者の保護の観点から、労働者にとって不安定な登録型派遣を行う派遣会社への監督を強化することにあると思われます。
2013.12.08
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派遣登録には登録型と常用型があるようですが、どのような違いがあるのでしょうか。 A56-1. 登録型派遣と常用型派遣 登録型派遣とは、派遣会社に登録だけしておき、派遣先が見つかって就労するときに、派遣会社と雇用契約を結んだ上で派遣されるものをいいます。契約期間は、通常、派遣先との契約期間と同じ期間とする有期雇用契約になります。賃金は、就労期間の間だけ支払われることになり、一旦派遣期間が終了すると、次の派遣先が見つかるまでは収入がない状態になってしまいます。そこで、複数の派遣会社に登録するなどして、生活の安定を図らなければなりません。これに対し、常用型派遣とは、派遣会社と雇用契約(期間の定めがない契約が原則と考えられますが、有期契約が締結されている場合もあるのが現状です)を結び、派遣先が決まると出向いて就労しますが、派遣先との契約期間が終了しても、派遣会社との雇用関係は続いています。賃金も、派遣会社との雇用契約が続く限り支払いを受けることができます。
2013.12.07
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派遣労働者と正社員・パートは、どこが違うのでしょうか。また、偽装請負や二重派遣、専ら派遣などはよくないことだと聞きましたが、どういうことでしょうか。 A.職場には、派遣労働者以外にも、正社員、パート労働者、アルバイトなど、様々な雇用形態で働く人がいますが、派遣労働の特徴は、労働者が派遣会社(派遣元)と雇用契約を結んでいることにあります。職場のある会社(派遣先)と直接の雇用関係はありません。これは、請負の場合に、労働者が請負会社と雇用契約を結んでいて、職場のある会社(注文主)とは直接の雇用関係がないことと類似しています。他方、正社員、パート労働者、アルバイト等の労働者は、職場がある会社と雇用契約を結んでいます。あなたの勤務時間や給料、職務の内容などは、派遣会社(派遣元)との契約で決まっています。社会保険、雇用保険、年休、育休などについても派遣会社との間で決めます。とはいえ、あなたは、正社員やパート労働者・アルバイトの人と同じように、派遣先の指揮命令の下で働いていますので、職場での安全衛生や健康管理などについては、派遣先会社にも基準を守る義務があり、それを怠っている場合は、派遣社員のあなたでも派遣先に改善を要請することができます(Q61,64参照)。先に触れたように、派遣労働と似たような労働形態に、請負という働き方があります。請負とは、仕事を完成させることを約束して、その仕事の結果に対して報酬が支払われる契約です。請負会社が仕事の完成までまるごと注文主から注文を受け、労働者は、雇用契約を結んでいる会社(請負会社)とは別の職場(注文主)に赴いて労働を提供します。その際、労働者は請負会社の指揮命令の下で働くのですが、実際には注文主の指揮命令下で働いていることがしばしば見受けられます。これがいわゆる「偽装請負」です。労働者派遣法の規制を潜脱するために、こういった偽装請負が横行します。派遣なのか請負なのかは、実態から判断されますので、職業安定法施行規則4条や厚労省が策定する「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」を参考にしてください。派遣法は、「二重派遣」や「専ら派遣」といった派遣形態を禁止しています。二重派遣とは、派遣先会社が、派遣されてきた労働者をさらに別の会社の指揮命令下で就労させるものです。使用者の責任の所在があいまいになったり、二重のマージンにより賃金が下がったりといった弊害があるために禁止されていますので、派遣先からこういった指示がある場合は、指示を取り消すよう要求できます。専ら派遣とは、特定の企業に労働者を派遣することを目的とする派遣のことをいいます。本来ならば直接雇用すべきところを、派遣労働を利用することによりコスト削減や雇用調整がしやすくなります。「専ら派遣」にあたるかどうかの判定基準があるのですが、あまり有効に機能しておらず、情報通信業、金融保険業などの大企業グループの間では、グループ内の派遣に偏った派遣事業者が存在しているのも実情です。そこで、平成24年の改正法には、関係派遣先への派遣労働時間の割合を制限する条文が設けられています。なお、違法派遣の場合の労働契約申し込みみなし制度については、Q2、Q53を参照してください。 セ
2013.12.06
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A54-5. 離職した労働者の派遣の禁止 平成24年の派遣法の改正により、派遣労働者が派遣先を離職した日から1年以内に、その派遣労働者を元の派遣先に派遣することは原則として禁止されました。ただし、60歳以上の定年退職者は禁止対象から除外されます。
2013.12.05
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A54-4. 日雇派遣の禁止 平成24年の派遣法の改正により、平成24年10月1日より、日々又は雇用期間が30日以内の日雇派遣は原則禁止となりました(同法35条の3)。日雇派遣は、派遣元、派遣先のそれぞれにおいて雇用管理責任が果たされておらず、労働災害発生の原因にもなっていたことから、原則として禁止されることになったのです。ただし、次の各場合には、例外として日雇派遣が認められます。 (1) 政令で禁止の例外と定められている業務下表の(1)と同じ業務が日雇派遣禁止の例外と定められています。 (2) 次に該当する人を派遣する場合1.60歳以上の人。2.雇用保険の適用を受けない学生。 3.副業として日雇派遣に従事する人(生業収入が500万円以上)。4.主たる生計者でない人(世帯収入が500万円以上)。
2013.12.04
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A54-3. 派遣可能(受入)期間の制限 派遣期間の制限については、業務の内容によって、制限の有無や制限の期間が異なっています(派遣法40条の2)。 (1) 原則一般的な業務については、原則として派遣可能期間は1年に制限されています。もっとも、派遣先は、就業場所ごとに正規労働者の過半数の代表者の意見を聴取するなどの一定の手続きを経ることにより、最長3年まで派遣可能期間を継続させることができます。 (2) 産前産後休業等を取得する労働者の業務産前産後・育児休業や、介護休業等を取得する労働者の代替業務の派遣期間は、育児休業者や介護休業者が復帰するまでとされています。 (3) 政令で定める業務政令で、派遣可能期間の制限を受けない業務と定められている業務(いわゆる、旧「政令26業務」)については、派遣可能期間の制限はありません。これらの業務は、業務の迅速かつ適確な遂行のために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務や、就業形態の特殊性から特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務で、労働者の職業生活の全期間にわたる能力の有効な発揮及び労働者の雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なわないものとして政令で定められています。従前は26の業務が定められていましたが、平成24年の改正により、規定の仕方が変わり、下表のように規定されました。もっとも、 専門的業務として派遣労働者を受け入れたにもかかわらず、実際には一般的業務も行わせるという事例が散見されることから、専門的業務としての派遣労働者が、このような付随的な業務に従事する時間が全体の10%を超える場合は、「複合業務」とみなされ、専門的業務ではなく一般的業務として取り扱われることとなり、派遣可能期間の制限を受けるものとされています。 (4) その他3年以下の有期プロジェクト業務や、日数限定業務(1ヵ月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ10日以下)についても、派遣可能期間の制限はありません。
2013.12.03
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A54-2. 派遣が禁止される業務 労働者派遣は、あらゆる業務について認められているものではなく、港湾運送業務、建設業務、警備業務や、医療関係の業務等については、労働者派遣が禁止されています(派遣法4条)。派遣が禁止されている業務について派遣を行った場合、派遣元は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の対象となります(同法59条)。また、派遣先も、指導や助言、勧告、企業名公表などの対象となる可能性があります(同法48条、49条の2)。
2013.12.02
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