わたしのブログ

わたしのブログ

2014.01.05
XML
テーマ: 法律(495)
カテゴリ: 法律

A63-3. 裁判所の判断

派遣先が派遣受入期間の制限や雇用解約申込み義務に違反している場合、派遣先との間で雇用契約が成立していると主張できるでしょうか。

この点、付添婦紹介契約に基づき病院に付添婦が派遣された事例(安田病院事件)で、派遣先の人的、資力的支配に服し、その指揮命令の下で労務が提供され、実質的に使用従属関係が認められることから客観的に推認されるとして黙示の労働契約の成立を認めた原審(大阪高判平10.2.1労判744号63頁)の判断を是認した最高裁判例(最判平10.9.8労判745号7頁)があります。

一方、近時、テレビ部品製造会社(供給先)から生産業務を委託されていた会社(供給元)に雇用され、供給先の工場における業務に従事したいた労働者が、供給先に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めた事案(松下プラズマディスプレイ事件)で、労働者・供給先間の実体関係(使用従属関係、賃金支払関係、労務提供関係等)から労働契約が客観的に確認されるとして黙示の労働契約の成立を認めた原審(大阪高判平20.4.25労判960号5頁)の判断を是認できないとし、1.供給先は供給元による労働者の採用に関与していたとは認められない、2.労働者が供給元から支給を受けていた給与等の額を供給先が事実上決定していたといえるような事情もない、 3.供給元は配置を含む労働者の具体的な就業態様を一定の限度で決定し得る地位にあった等の事情を総合すると、供給先・労働者間に黙示の雇用契約が成立していたものと評価することはできないと判示した最高裁判例(最判平21.12.18労判1000号5頁)もあります。

松下プラズマディスプレイ事件の最高裁判決が出た後は、派遣先が派遣受入期間の制限や雇用契約申込み義務に違反している場合であっても、派遣先との間で雇用契約が成立しているとの主張を訴訟で認めてもらうことは困難になったといえます。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2014.01.05 21:42:12コメント(0) | コメントを書く
[法律] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: