A67-3. 調停会議による調停
調停委員(弁護士や学識経験者などの専門家)が、当事者である労働者と事業主双方から事情を聴き、紛争解決の方法として超提案を作成し、当事者双方に調停案の受諾を勧告することにより紛争の解決を図る制度です(均等法18条、育介法52条の5、パート法22条)。
調停会議の名称は、男女均等取扱い等に関するトラブルについて「機会均等調停会議」、育児・介護休業等に関するトラブルについて「両立支援調停会議」、パート労働者の差別的取扱い等に関するトラブルについて「均衡待遇調停会議」となっています。
(1) 調停の対象となる者及び紛争
調停の対象者は、援助の対象者と同様、紛争の当事者である男女労働者及び事業主で、労働組合等紛争の当事者以外の第三者は対象とはなりません。
調停の対象となる紛争も概ね前記事(1)記載の援助の対象となる紛争と同じですが、男女均等取扱い等に関するトラブルについて、労働者の募集及び採用についての紛争は調停の対象となりません。
また、援助の対象とならない紛争については調停の対象にもなりませんが、調停の場合には、申立てに係る紛争がすでに司法的救済又は労働局長の援助以外の行政的救済手続きに係属している場合であっても、当事者双方がそれらの手続きよりも調停を優先する意向がある場合には調停の対象となります。
(2) 申立ての方法及び手続きの流れ
調停の申請をするには、都道府県労働局雇用均等室へ調停申請書を提出します。申請用紙は、厚生労省のホームページからダウンロードすることもできます。また、インターネット上の「電子政府の総合窓口」から電子申請を行うこともできます。
管轄違い、調停対象事項からの逸脱等がなければ調停申請書は受理され、調停を開始する必要がないと判断された場合を除き調停開始が決定されます。
調停会議は非公開で行われます。調停では調停委員が関係当事者からの事情聴取等を行い、調停案を作成し、調停案の受諾勧告を行います。当事者双方が調停案を受諾すれば調停は終了します。
調停案について当事者双方が受諾して成立した合意は民法上の和解契約となり、当事者の一方が義務を履行しない場合は他方当事者は債務不履行として訴えることができます。ただし受諾された調停案には強制力はないので、これをもって強制執行をすることはできません。
当事者の対立が著しく強く歩み寄りが困難である場合、当事者が調停案を受諾しない場合等には調停は打ち切られます。その場合に当事者がなお紛争解決を求めるときは裁判所に起訴を提起することとなります(起訴手続き等についてはQ68参照)。調停が打ち切られた場合、当該調停の申請をした者が調停の打ち切りの通知を受けた日から30日以内に調停の目的となった請求について訴えを提起したときは、時効が調停の申請時(申請書が現実に都道府県労働局長に提出された日)に遡って中断されます(均等法24条、育介法52条の6、パート法23条)。
Q70. 非正規労働者の組合 2014.02.02
Q70. 非正規労働者の組合 2014.02.01
Q69. 労働組合とは 2014.01.31