うたたねの店

うたたねの店

2003/12/19
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カテゴリ: カテゴリ未分類
昨日の夜は私が帰ってから、すこししてから父が帰ってきた。

「いいことがあったんだ。」高潮した様子。

私は背中を向けて話を聞く。
新聞を読んでいた。
後ろでガサゴソと紙袋の音。
「あててみてよ。」と言われても後ろを向いていた。
姉が何かを言って、「間違い」と言われる。
私ははっとひらめいて、振り返って

「当たり~!!」
私は父が言いたいことが、言う前からわかる。
父が悲しいのは何故悲しいのかもわかる。
何故嬉しいのかもわかる。それも具体的に。
一緒に住んでいるからなのかもしれないし、勘である。
それ以前に、父とは通じ合うものがあるからだろう。

父は無名俳人である。
俳句を始めたのは5年前。ある投稿雑誌に送ると、その次の号で入賞した。それから独学で勉強して、現在ある俳句のグループに所属している。
父の句が載っていたのは『愛と死の夜想曲』(河出書房新書)~二十世紀名句手帖~という本である。
たまたま、本屋に立ち寄って「いい本があるじゃないか」と手に取ったら、一緒に俳句をしている人の名前が出てきた。
(もしかして、俺の名前・・・あるわけないか)と思いながら

すると後ろの索引に、なんと自分の名前が載っていたのだという。
目が飛び出んばかりに驚いて、本屋の人に頼んで在庫も出してもらって5冊買い占めた。

『二十世紀名句手帖』という本は全国の何万冊からもの俳句の雑誌から、筆者が選び出した句を載せたものだというものだそう。有名・無名問わず。
しかし父には何の連絡もなかった。
その句は去年のもので、先生に初めて誉めていただいたものだったそう。その先生の句はもちろん、たくさんその本に載せられていたようだ。


父を見ていると、私も何か出来るのではないかと思う。
その父には感性を誉められることがあり、
私も時々その気になることもある。
でも父のように実際に行動にしなければ芽も出てこない。

興奮した父は一人でお酒を飲んでいた。
焼酎を美味しそうに飲んでいた。
私は9時半くらいまで一緒に話をした。
母が帰ってきて、父が報告をしたが母は無反応だった。
母は父のしていることをあまり理解していない。
そんなズレがあっても上手くいっている夫婦。
私は不思議に思う。

姉が「『冬のソナタ』が始まる。」と言って、急ぎ足で家の中を歩き回る。私以外の家族がテレビの前に一列に並ぶ。
私はメイクを落とそうと思って、洗面所へ向かう。
ドラマに興味がないので観ないほう。
『冬のソナタ』はそんなにいいのだろうか。
それよりも。
父はよく眠れるだろうか?と心配した。

*
父の祖母は俳人だった。
もしかして、血かなと思う。
昨日本屋に行こうとしたのは
祖父母が教えてくれたのかもしれない。

人生捨てたものじゃないですよ。





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最終更新日  2003/12/19 09:48:22 AM
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