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小説「ゲノムと体験が織りなす記憶」 第 12 話
つい先程まで、どんなふうに話を始めようか?
考えていた・・・良く思われたい気持ちが心の中を占めようとしていた。
悪い癖だ。
よし、知っていること、それが真実かどうかはさておいて、知っていることをありのままに伝えれば、それでいいのだから。
それより、目の前でじっと待ってくれている青木氏をこれ以上待たせてはいけない。
「はい、それではお話をさせて頂きます。実は、私が生まれたあの町には恐ろしく古い歴史を持つ神社がありまして。 なんと創建は紀元前667年なんです・・・」
「君、それは!それが本当ならば日本の始まりである皇紀よりも古いことになるぞ!」
「はい、ご存知のように、日本の歴史は神武天皇が即位された年で、西暦では紀元前660年ですから、かの神社の創建は皇紀より7年も古い、そういう事になります。
神社の制札に記された縁起によれば、紀元前667年に即位前の神武天皇が海路豊予海峡に差し掛かったおり、急に船が動かなくなり難儀していたところ、地元の海女姉妹が海底深く潜り、海を治める大蛸が持っていた神剣を取り上げたところ、海が静まり。海女姉妹は剣を神武天皇に捧げた。
その剣を神武天皇が御神体として祓戸(はらへど)の神を奉り、建国を請願した。とされています」
「・・・何とも、それは・・・是非ともその神社を訪れてみたい。
何時とは言わないが、リョウくん、また案内を頼みたい・・・
君の都合のつく時で構わないから・・・そんなことなら今回・・・
実に惜しい事をした」
(会長はそれほど歴史に強い関心をもたれていたのか・・・。俺こそ知ってさえいたなら・・・)
「分かりました。いずれなるべく早いうちに実現させましょうか」
「どうか私の我儘を許して欲しい」
そう言って青木氏は深々と頭を下げたのだった。
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