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小説「ゲノムと体験が織りなす記憶」 第 14 話
用を終えて先ず青木氏が、続いてリョウが戻ってきた。
「さて、では続けますね」
「うむ、お願いする」
周りを、特にマリを見ると彼女も楽しみにしてくれていたのか、リョウが口を開くのを待ち構えている様子だ。
「今度の歴史上の人物は、江戸時代末期とグッと近代になりますがネームバリューは引けを取りません。勝海舟と坂本龍馬が主体となるのですから。
幕末の日本の国事における課題を議論することを朝廷より認められた「参預会議」なるものが設けられましたが、そこへ長崎にいたフランス軍艦が下関を砲撃するらしいという情報が入り、徳川慶喜公がこれを阻止するために勝海舟を差し向けた。勝海舟と坂本龍馬とその一行は幕府の軍艦長崎丸にて神戸操練所を出港、翌日、豊後の佐賀関に着きました」
「豊後とは今の大分県だね」
「はい、私たちは今朝がたまで当時の豊後の国にいました」
そこで青木氏が大きく頷いた。
「陸路なら14~15日を要すのに翌日に着いたことを一行は驚き海路の認識を新たにしたのですが、そこで彼らは私の故郷に形ある足跡を残すことになりました」
「形ある?」そう言うと青木氏は身を乗り出した。
「はい、私の故郷で船を降りたのはその後を、陸路でということですが、あの当時は未だ、ちゃんとした宿の無い漁村でしたからあるお寺に草鞋を脱いだわけです。そして、お寺を辞する際にお礼にとお布施を施した。そのお寺では・・・もうその頃には勝海舟、坂本龍馬の名は全国に流布していたのでしょうか? ま、とにかくお寺さんは記念にとそのお布施で法衣(僧侶が身に纏うもの)を新調した。それは代々お寺の宝物となり・・・なりますよね」
「そりゃそうだろう!日本の大転換期に多大な貢献を成し遂げた、偉人のお二方なのだよ。それは立派な宝物ですよ・・・ん?まさか君は・・・」
「はい、拝見させていただきました。テレビでも取り上げられたことがあるくらい有名な話です、これは」
「うーん、歴史好きな私には、垂涎ものの物事を君はいくつも見聞きしているんだねえ」
軽くため息をついた青木氏は座席の背面に上体をあずけると、首を回し窓の外を見ながら、「ここはどの辺だろう?」と言い、ケンさんが「もうすぐ岡山です」
「もう、そんなに進んだのか?休憩してる時間はありそうかな?リョウ君」
「もうそろそろお昼ですから、腹ごしらえはしておきたいですね。なあに、私の話はあと一つ二つで終わりますから大丈夫、間に合うと思いますよ」
「そうか・・なら、弁当にするか・・・ケン」
「はい、只今」
「私たちのも今用意しますから」
そう言ってマリは立ち上がった。
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