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先日、私が以前取締役を勤めていたベンチャー企業が破産の申立てをおこなったことを書かせて頂きましたが、その会社に最後の最後まで残っていた元同僚である元取締役の方と「夜お茶」をしました。
破産してしまったその会社のことや元社長のことを今更書いても何の意味もありませんので、そのことを書かせて頂こうと思っているわけではありません。
その方と話をしていて、一つだけ驚いたことがあるのです。
それは、昨年の1月からその会社では給料が支払われなくなったにも関わらず、昨年10月末に事実上会社を閉じるまで、ほとんどの従業員の方が会社に残っていたという話を聞いたからです。
これは、かなり驚くべきことです。
もちろん、遅配後、2ヶ月以内に転職した方もおられたようですが、かなりの数の方が長々と会社に残り、10ヶ月分もの給料をもらえることもなく、今も新しい就職先が決まらずに困っているというのです。
そのベンチャー企業は、ほとんど収益がなく、VCからの資金だけで生きていたのですが、一昨年末頃資金がショートしたにも関わらず、その後VCからの資金調達をすることができず、このような結果になりました。
残った方々は、社長や会社に魅力を感じていたわけではなく、VCからの資金調達ができそうだという話を信じて、長々と残っていたそうです。
しかし、この結果は、給料が貰えずに苦労をされておられる方々の認識の甘さというものにも原因があると思います。
元々、収益がほとんどなく、VCからお金がもらえなければ、一日も生きていくことができない会社であることは、それらの方々も十分認識していたわけですから、一度資金ショートをして、給料の遅配が始まれば、このような結果になることは当然予想できるからです。
元取締役の方は、遅配が決定的になった時点で、会社の状況はかなり危ないので、転職したい方はいつ辞めて頂いても構わないという話をされたそうですが、ほとんどの方は残ったそうです。
人間の心理というのは面白いもので、テレビで見るような悲劇は自分の身には降りかからないという、根拠のない自信を持っています。
交通事故にあうはずがない、俺俺詐欺に騙されるはずがない、マルチ商法に騙されるわけがない、泥棒にあうはずがない。
そして、猪型の経営者が必ず陥る罠。俺の会社がつぶれるはずがない。
私は、未成年の時に、信じられないような悲劇的な出来事で、父親を失い、最初に勤めた会社で会社の倒産ということを経験したためか、あり得ない悲劇というのは、実はいつも自分の身に降りかかってくるものだと言うことを嫌というほどわかっています。
だから、いつもリスクマネジメントについてくどいほど書かせて頂いているのです。
現実という凶器は、それが自分の身に降りかかった時は、テレビなどで見ているよりももっと恐ろしい結果を招きます。
あり得ないと思っていることが、現実に起こるのです。
さて、今日は、いつもとは違って、経営者の立場ではなく、従業員の立場から見た時の会社がつぶれる前兆というものを書かせて頂きたいと思います。
まず、一番分かりやすいのは、経理担当者、総務担当者が辞めるということです。
彼らは会社の中身をよく知っていますので、一番最初に泥舟から逃げようとします。
頻繁に経理が変わる会社というのは、社長がどんなうまい嘘をついても、理由は二つしかありません。
粉飾決算などの違法なことや犯罪をおこなっているか、台所が火の車かどちらかです。
私がよく知っている神戸の某会社は、その両方をやっています。
経理の責任者が1年以上勤めた実績がゼロという素晴らしい会社です。
次は、取引先とかの支払いが滞り始めるという現象です。
これは、別に経理担当ではない人でも気がつくと思います。
どんな種類の支払いにせよ、滞り始めれば、既に資金繰りがつまづき始めていますので、この状態から、正常な状況に戻ることはまずありません。
そして、最後は給料の遅配です。
一日でも遅れたら駄目です。
もっと正確に言えば、朝一番で振り込まれているはずのものが、少しだけずれて午前中に振り込まれても駄目です。
経営者は、給料だけは、約束の日に払いたいと思っています。
それが遅れるというのは、すでに会社は死に体になっているのです。
だから、なぜ、昨年破産申立てをしたそのベンチャー企業の従業員の方々が会社に残ったのか不思議に思ったのです。
その疑問は、元取締役の方と話をしていて、何となく理由がわかりました。
その会社の待遇は、会社の規模としてはかなり良かったですし、比較的給与の高い従業員が多かったので、同じような条件で転職しようと思っても出来なかったのだと思います。
ゼロよりもましだということで、勇気を持って転職をされていれば、何とかなったのでしょうが、条件の良い転職先もないからどうしようと思いながら、VCから資金調達が出来そうだという根拠のない希望にすがっているうちに、10ヶ月たってしまったのでしょう。
給料の支払いが、例え1時間でも遅れれば、お勤めの会社は、近いうちに必ずつぶれます。
勤めていても、給料が支払われることはありません。
口がうまい社長が何を言おうが、転職先のあてがなかろうが、すぐにその会社を辞めて、全知全能を使って、新しい就職先を探すべきです。
そうしないと恐ろしい悲劇が待っていますし、それまで偉そうにしていた社長に罵声を浴びせても、ない袖は振れないので、給料を取り戻すことはできません。
個人個人にもリスクマネジメントは必要なのです。
本当です。
-つづく-
※メールによる無料相談も承っておりますので、どうぞお気軽にお問合せ下さい。また、講演のご依頼も承っております。全国どちらへでも伺いますので、お問い合わせ下さい。
代表 経営コンサルタント
水野敦之
経営管理労務事務所 所長 社会保険労務士 小河美里 BLOG
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