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月に一度のお茶会が始まり、地域は少しずつ活気を取り戻していた。美代子たちが中心となり、近所の人々を招いて家庭の味を持ち寄る場は、いつの間にか世代を超えた交流の場へと変わっていった。
ある日、美代子たちは、地域の子どもたちも一緒に参加できるようにと、手作りのワークショップを企画することにした。冬にぴったりな「みかんジャム作り」である。
お茶会当日、会場となった公民館には、さまざまな世代の人々が集まった。
美代子が音頭を取り、子どもたちは持参したみかんの皮をむき、大人たちはその様子を手伝いながら和気あいあいと作業を進めた。
「こうやって一緒に何かを作るのって楽しいわね。」
昭三は小学生の少女、夏希が手にしたみかんを上手にむく様子を見て、思わず笑みを浮かべた。
「おじいちゃん、私、これ全部むけたよ!」
「おお、上手だな。じゃあ次は、果肉をつぶすのを手伝ってくれ。」
子どもたちの明るい声が響く中、参加者たちは互いに助け合いながらジャム作りを楽しんだ。鍋から立ち上る甘い香りが部屋中に広がり、まるで冬の寒さを忘れるような温かい空間が生まれていた。
ジャム作りが終わり、完成した瓶をテーブルに並べたとき、美代子はみんなに提案した。
「これを少しずつ分け合って、帰りにお土産として持ち帰ってもらうのもいいけれど、もうひとつ提案があるの。地域でお世話になっているけれど、最近会えていない人たちにこのジャムを贈るのはどうかしら?」
その提案にみんなが賛成し、それぞれの心当たりの人に贈り物を届けることにした。
昭三が選んだのは、昔の教え子だった青年、山下悠真だった。
悠真は今や立派な社会人だが、多忙のため地元の行事にはなかなか顔を出せなくなっていた。昭三は彼をよく知っており、「彼にもこの温かさを届けたい」と思ったのだ。
翌日、昭三は悠真の家を訪れた。ピンポンを押すと、少し驚いた表情の悠真が出てきた。
「先生!どうしたんですか?」
「これ、昨日みんなで作ったジャムだ。お前もよく頑張っているだろうから、ちょっとした応援の気持ちだよ。」
悠真は受け取ったジャムの瓶を見つめ、その手のぬくもりにじんとしたものを感じた。
「ありがとうございます。先生に会うのも久しぶりですし、こうやって気にかけていただけるなんて……。」
その日、昭三は悠真と久しぶりに長話を楽しんだ。昭三の昔話や、悠真の仕事の話が飛び交い、ふたりの絆は再び深まった。
悠真もまた、そのジャムをきっかけに、仕事で忙しい日々の中に「感謝の気持ちを伝える時間」の大切さを思い出した。
「最近、祖母にも顔を見せられていないし、このジャムを持って遊びに行こうかな。」
悠真は週末に実家を訪れ、久しぶりに祖母と過ごす時間を作った。その日、彼が贈ったジャムを囲んで家族が団らんを楽しむ様子は、何気ない日常の中に隠れていた幸せそのものだった。
地域で生まれたお茶会と贈り物の輪は、次々に新たな出会いと絆を生み出していった。それぞれの世代が感謝の気持ちを贈り合い、その温かさが日々の生活に活力をもたらしていったのである。
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