
秋川雅史/威風堂々
日本の声楽におけるクロスオーヴァーの第一人者となったテノールの貴公子、秋川雅史の第3弾(テイチク移籍第2弾)は、クラシックやカンツォーネ以外に、新井満や美空ひばりの曲を加え、新境地をみせている意欲作。
このアルバムは、のちに社会現象ともなる大ヒット曲「千の風になって」が初めて収録されたアルバム(シングルカットされる前)として、日本の音楽史においても非常に重要な作品です。
Pride~威風堂々
イギリスの作曲家エドワード・エルガーの行進曲『威風堂々』第1番の中間部のメロディ。イギリスでは『希望と栄光の国』という第2の国歌として愛されている気高き旋律です。作詞家・松井五郎さんが日本語詞を書き下ろし、アルバムの幕開けにふさわしい、誇り高く壮大な人間賛歌へと昇華されています。
津軽のふるさと
1953年に発表された美空ひばりさんの名曲(作詞・作曲:米山正夫)。津軽の美しい自然と切ない郷愁を描いた演歌・歌謡曲の傑作です。秋川さんが歌うことで演歌特有の「うなり」や「こぶし」ではなく、イタリア歌曲のようなベルカント唱法による、地平線が見えるかのようなスケールの大きな楽曲に生まれ変わっています。
タイム・トゥ・セイ・グッバイ(duet with 半田美和子)
盲目のテノール歌手アンドレア・ボチェッリと、ソプラノ歌手サラ・ブライトマンのデュエットで世界的大ヒットを記録したクラシカル・クロスオーバーの最高峰です。実力派ソプラノ歌手・半田美和子さんを迎え、小杉まりささんの美しいヴァイオリンの音色と共に、本場ヨーロッパに引けを取らない圧巻の男女デュエットを聴かせてくれます。
ヴォラーレ(Volare)
1958年のサンレモ音楽祭で優勝したドメニコ・モドゥーニョのイタリア歌曲。原題は『青く塗られた青の中で(Nel blu dipinto di blu)』。後にジプシー・キングスなどがカバーし、世界中で誰もが知るポップ・ナンバーとなりました。クラシックの厳かさから一転、秋川さんの突き抜けるような明るい高音とパッションが炸裂する、非常にエネルギッシュで爽快なトラックです。
カルーソー(Caruso)
イタリアのシンガーソングライター、ルチオ・ダッラが1986年に発表した名曲。伝説の天才テノール歌手エンリコ・カルーソーの最期の愛の日々をオマージュした、非常にドラマチックで哀愁を帯びたバラードです。パヴァロッティら多くのオペラ歌手にも愛されています。静かな語り口から、サビに向けて感情が激しく爆発していく秋川さんの表現力、卓越した歌唱技術が堪能できる隠れた名唱です。
千の風になって
作者不詳の英語の詩(A Thousand Winds)に、新井満さんが日本語詞とメロディをつけた楽曲。前述の通り、このアルバムへの収録がすべての始まりでした。「死者を悼む曲」でありながら、秋川さんの力強くも包み込むような声によって、残された人々への「生きる希望の光」となる名曲として誕生しました。
グラナダ(Granada)
メキシコの作曲家アグスティン・ララが1932年に作った、スペインの古都グラナダを讃える不朽のラテン歌曲。世界の三大テノール(パヴァロッティ、ドミンゴ、カレーラス)が必ずコンサートのハイライトで歌う、テノール歌手にとっての“魅せ場”と言える難曲です。秋川さんの真骨頂である、圧倒的な声量と輝かしいハイトーン、そして情熱的なリズム感がダイレクトに味わえる、聴き応え抜群の一曲です。
歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲~アネモネ
ピエトロ・マスカーニ作曲のオペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』の中で演奏される、クラシック音楽史上最も美しいと言われる高潔な「間奏曲」です。美しいオーケストラの旋律に、松井五郎さんが切ない失恋と追憶の歌詞(タイトル:アネモネ)を付けました。胸を締め付けられるような繊細なレガート(滑らかに歌う技術)が見事です。
いい日旅立ち
1978年にリリースされた山口百恵さんを代表する名曲(作詞・作曲:谷村新司)。日本の原風景や孤独な旅路を描いた国民的ソングです。オリジナルの寂寥感ある雰囲気から、テノールの響きによって「未来への一歩」を踏み出すような、どこか神聖で希望に満ちた賛歌のようなアレンジになっています。
君と旅立とう(「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」ソロバージョン)
トラック3の原曲である『Time to Say Goodbye』は、もともとアンドレア・ボチェッリがソロで歌っていた『Con te partirò(君と旅立とう)』というイタリア語の楽曲が原曲です。デュエット版とは異なり、秋川さん一人の声でじっくりと構築される世界観。ソロだからこそ引き立つ、声の伸びやブレスのコントロール、一人の男としての力強い決意が伝わるバージョンです。
ここに君がいれば(歌劇「イーゴリ公」~だったん人の踊り)
ロシアの作曲家アレクサンドル・ボロディンの歌劇『イーゴリ公』の第2幕で演奏される高名なクラシック名曲『だったん人の踊り(韃靼人の踊り)』のメロディ。哀愁を帯びた異国情緒あふれる美しいメロディに松井五郎さんが日本語詞をのせました。どこかファンタジックで、遠い記憶を呼び起こすようなノスタルジックな世界観を、丁寧に歌い上げています。
Pride~威風堂々(duet with 半田美和子)
トラック1のアルバム表題曲を、ソプラノの半田美和子さんとのデュエットバージョンとしてアルバムのラストに再配置。ソロ版の力強さにソプラノの華やかさが加わることで、アルバム全体のフィナーレにふさわしい、より立体的で感動的なエンディングを迎えます。
秋川雅史(テノール)
半田美和子(ソプラノ)
小杉まりさ(ヴァイオリン)
IMPERIAL RECORDS(テイチクエンタテインメント) TECI-1107
発売年月日:2005年9月21日
:2007 年 8 月 30 日 (CD クラブ )
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