西山公(徳川光圀・水戸黄門)随筆 一巻 序」
本書は、その内容を、一紙、憚氏、山川地理、士、婦女、信孝の六項に分ち、公の懐抱せる意見を記注せるものにして、その忌憚なき記述は、識見の非凡なるを窺ふに足る。士の條に、
「元禄十年(1701)四月十二日、龍雲公三回御忌、於浄鑑院法會御執行、西山公御参詣之時、御鞘ヲ不直、此時流仰也。」
との附記あるによりて考ふるに、後人の記述に係るものなるべし。所収所数本は、内閣文庫蔵本の寫本に
著者徳川光圀は、水戸の藩主、頼房の三子、幼名長丸、また千代松丸、字は徳亮、一ノ字は観之、後に子龍と改を。また日新斎、常山人、率然子、梅里等の凱あり。私に謐して義公といふ。世に水戸黄門、西山公と称す。寛永十三年(1636)元服を加へ、従四位下に叙せらる。正保二年(1645)初めて史記伯夷傅を漬み、慨然として修史の志あり八明啓二年二月、大刊本史の編纂に着手す。寛文元年(1661)封を襲ひ、二年参議となる。元禄三年(1690)十月十四日致仕し、十五日権中納言に任す。十二月水戸に録り、翌年五月久慈郡太田郷西山に葬る。五年楠公の碑を湊川に建つ。十三年庚辰(1700)十二月六日薨ず。年七十。久慈郡瑞龍山に葬る。天保三年(1832)勅じて従二位大納言を附られ、明治二年(1869)更に従一位を附らる。
著書は
大日本史、
禮儀類典、
扶桑拾借唱、
新編謙介志、
参考 源平盛衰記、
参考 太平記、
参考 保元物語、
参考 平治物語、
常山文集、
常山詠草
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