続々・絨毯屋へようこそ　トルコの絨毯屋のお仕事記

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今回のオヤ旅はエラズーのハイマナ女性組合に協力していただいた。
ブルサに暮らすエラズー出身の女性の口利きでたどり着き、組合長と3か月間に渡り、やり取りを繰り返し今回のオヤ旅のプログラムを組んだ。

私たちにオヤを教えてくれるのは、エラズーのイーネオヤの数少ない作り手の一人であるファットマさん。
本人はオヤを作ることはもちろん、3000点に及ぶエラズーのイーネオヤを収集しているコレクターでもあった。
そのコレクションで近日中に展示会を開催する予定だと聞いた。

私も手元にエラズー出身の女性たちから譲り受けた古いイーネオヤスカーフをたくさん持っていてある程度の知識はあったが、エラズーに来て驚いたのは、私が見たことのないモチーフがまだまだあったことである。

エラズーに滞在中に、地元マスコミの取材が殺到したこともあり、私たちがエラズ-のイーネオヤのために来ていることを知った女性たちが自分たちが持っているエラズーのイーネオヤを見せに来てくれた。
それらは素晴らしいものばかりで、ただ基本的には売る気はなく、大切に保管していたものの一部であり、もし宝くじでも当たったら女性たちの言い値で全て買い占めたい気持ちはあるものの、これらは地元の女性が持って後世に伝えていくのが本来の姿だとも思う。

他の地方と比較しても、地元の女性たちが自分たちでこれだけの伝統的なイーネオヤを持っていることは非常に珍しい。

そしてそれらを手放さず、大切に持っていたことに感動した。

現在作っている女性たちは、過去にシルク糸を扱ったことがある人はほんの一握りで、一度もシルク糸で作ったことがないという人も多く、ナイロン糸やポリエステル糸で同様のスカーフを製作している。当然であるがエラズー独特のシルク糸のホロっとした感じはなく、またモチーフもナイロン糸の場合はこういう風にするのよ、という独自のバージョンがあり、シルク糸で作られるものとは異なるモチーフになっていた。
使用する糸の変化で作られるモチーフが変るのは仕方がないことであるが、エラズーオヤの魅力はなんといっても、甘撚りのシルク糸による質感と、それを最大限に活かしたモチーフであることは間違いない。

ファトマさんは、普段は市販のボビンのナイロン糸、ポリエステル糸を使用しているそうだが、以前はもちろんシルク糸で作っていたというので、今回はエラズーの伝統のイーネオヤを習うという観点から、持参したタウシャンル仕様の未撚りのシルク糸で撚り方からお願いすることにした。エラズーのイーネオヤを作るには、現在手に入るものとしてこのタウシャンル仕様のシルク糸が一番近い。

ファトマさんも伝統のイーネオヤをシルクで作ることの重要性を十分理解されていて、エラズーで再びシルク糸を生産するプロジェクトを考えているという。
それが叶えば、エラズーでシルク糸作りからイーネオヤまで全て習得できる日も訪れるかもしれないと楽しみができた。

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