mikusukeの赤石お散歩日記

mikusukeの赤石お散歩日記

2007年05月28日
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不思議な声に導かれ、アルテミスは現実の世界へと再び降り立った。
そこは小さな部屋、小さな机とその上に小さな明かりと花が一輪。
冷たい石の壁には小さな花の絵が掛けられている。
アルテミスは上と下がある世界を確かめるように両手で床を何度も確かめる。

「やぁまた会ったね」

部屋の片隅から聞き覚えのある声がする。
アルテミスは振り返るとそこにはメイヴィの姿があった。しかし、アルテミスの知っているメイヴィとは
明らかに違う。そう若すぎるのであった。

「メイヴィなのか?」



若すぎるメイヴィに問いかけた答えは想像した通りであった。

「それよりお姉さんは誰なの?何故、私の名前を知っているの?」

「ん?『また会ったね』ってメイヴィから言ったんじゃなかった?」

それもそのはず、この世界は過去。当然アルテミスがメイヴィに会い、このフランデル大陸にやってくる前の世界。
そもそもメイヴィがアルテミスを知っている事のほうがおかしい。
アルテミスは首をかしげた。

「私はお姉さんに挨拶したんじゃないのよ」
「お姉さんの中にいる子、その子に挨拶したの。それよりお姉さんは何故、私のこと知っていたの?」

ここで初めてメイヴィの言った意味が理解できた。メイヴィはアルテミスの中で今は眠っているあのレッドストーン
に対し話しかけたのだ。そしてアルテミスは軽率にもメイヴィの問いに答えた自分の失敗を悔やんだ。
この過去の世界に干渉してはいけなかった。そして前々回、前回よりもかなりこの世界に馴染んでいる自分を実感した。


(メイヴィは適正者だからなのか?いやこの感覚は多分他の人間にも影響がある気がする)

「メイヴィ、あなたさっき私の中の子に叫ばなかった?『そっちはダメー』って」

「ええ、言ったわ。とても危険な感じがしたんですもの」
「どんな感じとかって聞かないでよ。それはとても凄く嫌な感じなんだけど説明なんて出来ないから」

「ええ、そうねメイヴィ。私の名前は言えないの。ただ赤い旅人ってだけ」



大人びたメイヴィの口調はアルテミスを少し馬鹿にした感じではあったが、それ以上この話題を続けるのをアルテミス
は嫌がった。

「ねぇメイヴィ。少しだけ聞かせてもらっていいかな?ここが何処とか・・・」
「そう、何故あなたが此処にいるとか」

「此処が何処か知らない人がどうして私が此処にいる理由を知りたがるの?可笑しなお姉さんだね」
「まぁいいわ。取り敢えず此処はザードフィルのお城みたいなとこね」
「そして私はトリーシャを助けるために此処に来たの。まぁつれて来られたってのが本当なんだけど」

メイヴィの口からザードフィルとトリーシャの名前が出た事に安堵を覚えたアルテミスであったが、メイヴィの口調
に少し違和感を覚えた。トリーシャを助けたあのザードフィルからトリーシャを救うとはいったどういう意味なのか
メイヴィを質問攻めにしたい気持ちを抑え、メイヴィの話の続きに耳を傾けた。

一時間位の時が過ぎた。メイヴィの話はアルテミスに現状を理解させるのに充分であった。
そして、メイヴィの方からアルテミスに対し質問が始まろうとした時、突然部屋の入り口が開かれ会話が途切れてしまった。

バタン。

扉を開ける衛兵。咄嗟に身を低くし衛兵の足元へ滑り込むアルテミス。
衛兵は声を上げる間も無くアルテミスの突き出した弓で顎を上へ弾かれ、次の瞬間には背後からの手刀で後頭部を殴打
され地面に倒れ気を失っていた。

「さぁ、どうしようか」

「お姉さん、馬鹿ね。もう逃げるしかないじゃない」

咄嗟に体が反応してしまったアルテミスは少し反省したが現状ではメイヴィの言う通り逃げるしかなかった。
二人は横たわる衛兵の部屋の奥へと運び、急いで部屋を後にした。

赤石物語
(Blackworld and Redstonestory)

~古都の南風 傭兵の詩~


時は、ザードフィルの「祭り」が始まる数時間前、sakezukiはある男と一緒にいた。

青空に響く太鼓の音、正確なリズムは機械的ではなくむしろ歌声のようにも聞こえる。
その音の主がいる部屋へsakezukiは足を進めた。その後ろに一人の僧侶を伴って。

「シャッフルな、いいサウンドでしょ、太史慈ちん」

「ああ、とても優しい音だな、彼らしいよ」

「ん?タケは優しいだけじゃないさ、見てみなグリップを変えたフルストロークが来るよ」

タン!

スネアの大きな張りのある音に合わせて、リズムが速くなる。それでも、メロディアスな感じは失われない。

「タムでもスネアでも音圧が変わらない、あの手首の強さと柔らかさがタケの強さの秘密さ」
「そしてこの正確なリズム感もね、マイク・ポートノイも真っ青さ」
 ※マイク・ポートノイはドリームシアターのドラムとして有名。3バスドラを使いこなすテクニシャン。

「リズムと剣士の強さは関係あるのか?」太史慈が聞き返す。

「大有りさ、見てみなあのパラディドル、左手のダブルから始まるところなんて左手剣を使う剣士向きでしょ」
「相手のリズムを崩し、自分のリズムに持ち込む。剣士同士の戦いはリズムを制した方が勝ちなのさ」
「そっちにもいたっしょ、あのデモとか言う運ダブクリ剣士さん」

「サモだ、サモ!確かにあの独特の間合いに引き込まれると大抵の奴は知らないうちに倒れているな」

「キャッキャッ、強そうだね。でもうちのタケもリズムじゃ負けないから対決すると楽しそうだね」
「ちなみに、腕の動きだけじゃないのよ左のハイハットも見て」

「ん?音もなっていないのに、パカパカしてるな?」

「そそ、常に左足もリズムを取ってるのさ。その足捌きがディレイの強烈な反復攻撃を可能とするんよね」

タケウマが二人に気づき、部屋中に溢れていた歌声のような音が鳴り止んだ。

「sakeさん、ドラムは唯の趣味ですよ。でもsakeさんみたいな人は向かないけどね」

「ちょータケちん、僕ちん凄く褒めてたのにー!」

「ドラムはあくまでリズムですから、自由気ままなsakeさんは舞台の前面でソロしてるのが似合いますよ」

「ああー馬鹿にして、名も無き塔にバディー・リッチがいると思って登ったら、火傷して帰ってきたことばらすよ」
 ※バディー・リッチはドラムの神様として有名

「おいおい、痴話喧嘩はよしてくれ。それより本題に入ろう」太史慈が呆れたように二人を止める。

三人は周りに誰もいない事を確認し、真剣な顔で相談を始める。
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「にわかには信じられん話だな」太史慈が首を捻る。

「確かにそうでしょ、でも事は急を要します」とタケウマ。

「取り敢えず、太史慈ちゃん・・・」とsakezuki。

「なんだ?」

「くぅちゃんといっちゃんを僕ちんのお嫁さんに」

バコン!
ドカッ!

二人の強烈な一撃がsakezukiを襲う。
sakezukiの頭は太史慈が出した鈍器とともに床に埋もれてしまった。

「ちょー、冗談だってば」
「しかし、タケチンはともかく太史慈ちんの鈍器・・・100tって書いてあるよ」

「おお、すまんすまん。ついノリでな。しかし噂に違わぬ不死身っぷりやな」

「慣れてますからねsakeさん。でもそんな事言ってるとまたアリアンで『sakeさんの浮気者ー!』って叫ばれますよ」

「そ、そんな事もあったねぇ」
「まぁいいさ、それより太ちゃん・・・ゴニョゴニョのゴニョって感じでゴニョなんだけど」

「ふむ、今回の戦での仲裁の件では借りが出来た。よかろうそれぐらいなら俺がなんとかしよう」

「ありがとうございます。この事はあのお方にもお伝えします」とタケウマ。

「さすが太ちゃん。奥さんには弱いが忠義に厚い男だね」

バコン!
ドカッ!

太史慈の鈍器がsekezukiの頭もろとも部屋の壁を突き破る。

「ううぅぅ、だから100tって・・・」

「ああ、ゴメンゴメン。ついついな」
「じゃ俺は早速段取りに出かける、一応気難しい奴もいるからなうちの奴らは」

久々の突っ込みに満足したのか太史慈は爽やかな笑顔を残し、二人を後にした。

「さすが、変わってないですねあの方は」

「ああ、記憶は無いだろうけどあの律儀な所は昔のまんまさ」

砂漠を照らす日は既に陰り、夕日は大地の風景を血の様に真っ赤に染めていた。
もう直ぐ、あの赤い月が昇りガラテア達がザードフィルの居城へとたどり着く頃であった。

<あとがき>

今回はタケさんにちょいとドラムを叩いてもらいました。
sakeさんが目立ち過ぎてるけど実は強いのだぞって感じなのです。
ちょいとドリームシアターとか出してるけど、ここのメンバーはテクニシャンで有名なので使いました。
ギターも7弦、ベースも6弦を使うちょっと異常な方たちですがドラムセットの多さが一番馬鹿げてますw
興味のある方は聞いて見るのもいいかもです。





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最終更新日  2007年05月28日 17時37分57秒
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