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カルテ番号 も・6(16)婦人は優しい笑顔で言った。「もちろんです。私、社交的でないから他人とほとんど話はしません。長く引きこもりをしていましたから・・・友達とかもほとんどいません。それでも、その先生を紹介するのは2人目ですの。人を紹介するのは、とても私には荷が重い。でも、その先生の紹介なら、自信があります」茂木滋は、基本的に他人を信用しない。紹介されても、信用しているわけではない。人でも物でも、期待するほどの事はめったにない、と知っている。期待はしないが・・・興味はある。仕事を引退してから、興味が起こったのは初めてかもしれない。いや、今までの仕事、会社での知り合いの中でも興味はなかった。会社や自分の利害という土俵で相手を判断していただけだ。それは、時には研究対象ではあったが、興味ではなかった。婦人は自分の名前を名乗ってくれた。そして、その治療院の場所と連絡先を教えてくれた。茂木滋も、婦人に自分の名前と電話番号を伝えた。礼儀として、その先生に会ったら経過報告はしておこうと思った。場所は、少し不便なところにあるようだ。(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/31
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カルテ番号 も・6(15)人の運命を左右するかもしれない相談に対する答え。それが・・・勘、か・・・面白い。久々に、面白い話を聞いた。通常なら、無責任な、と感じるだろう。だが、茂木滋は、戦後の混乱期から幾度も危機があった。時には、命の危機さえ、数度あった。会社にしてからも、幾度もあった・・・茂木滋はワンマン経営者だ。孤独な経営者でもある。危機的状況は、迷う時ばかりだった。そして、決定するのは、己の勘だった。勘が正しいとは思わない。それは・・・運なのだ。何かが味方をしてくれているのだと感じていた。こんな、ろくでもない人間にも、運はある。勘で、重大な事柄を決めるには、とても大きな決断がいる。その治療者は・・・もしかしたら、何かを持っているのかもしれない。そして、そんな話を聞けた自分も、まだ運があるのかもしれない。そう思えるのも・・・勘、だ。「よかったら、その先生とやらを、紹介してくれるかね。先日は、断ったが、気を悪くしないでください。その、勘の話で、とても興味をもったようです」(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/30
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カルテ番号 も・6(14)婦人は何とも幸せそうな顔をした。「本当に運が良かった。何しろ外に出られなかったのですから。そして、誰も私の世話をしてくれる人もいなかったのですから。病院でうつ病がどこまで回復できるのかわかりません。回復するにしても、簡単ではないでしょう。うつ症状を抑える薬はあるようですが、回復ではありません。そんな私に、自宅で出来る回復法として太極拳を薦めてくれたのです。でも、可笑しいの。その先生、太極拳の指導しているわけでもない。御自分でも、そんなにしていなかったようです。医療気功といって、太極拳のような健康法とは別な仕事らしいです。それなのに、ふと思いついて太極拳を薦めてくれたらしいです。そして、自己流に意味がある、っておっしゃるから続けられたの」茂木滋は言った。「う~ん。よく解らないですな。何故、その先生は貴女に太極拳を薦めたのですかな?」婦人は笑った。「やっと、最近、その先生と会えたのです。会えるまで10年かかりました。そして、私も訊ねました。そしたら・・・勘、ですって・・・」(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/29
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カルテ番号 も・6(13)「貴女の太極拳、ですか、実に見事ですなぁ。見ているだけで気持ちが安らぐ気がする。先日、病から立ち直る為に始めた、とおっしゃっていたが・・・もうすっかり良くなったのですかな?」婦人は明るく答えた。「自分では、生まれ変わったような気がします。身体も心も、以前の私ではないみたいです」茂木滋はそれを聞いて思った。たかがゆっくり身体を動かす程度で、そんなに変われるものなのか?そんな茂木の不審げな顔を読んだのだろう。婦人は静かに話し出した。「もう10年以上前です。私はうつ病で外にも出られなかったのです。そして夫を急に亡くして、もう絶望の中でした。といって、自分で死ぬ事もできない」そこで婦人はお茶を飲んだ。「何とか抜け出たい。でも病院にも行けない。インターネットには、いろいろなサイトがあります。うつ病の事も載ってはいるのですが、実際には役に立たない。それに・・・何だか信用できない所も多いように感じて・・・そんな中、メールでの相談を受けるところがあったのです。そういうサイトも多いのですが、何故か、メールしたくなって・・それが、太極拳を薦めてくれた先生だったのです」(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/28
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カルテ番号 も・6(12)長生きがしたいとも思わない。とはいえ、もう死にたいとも思わない。疲れるだけだから、旅行をしたいとも思わない。食事も質素が一番楽だと気づいた。外食は苦手になっていた。趣味もない。自分は、何をしたいのだろうか?茂木滋は、相変わらずの日々を過ごしていた。ただ、散歩の最後には、必ずあの公園に寄る。そして、ベンチに座っている。あの婦人が、また来ないかと、期待している自分がいる。まだ話し足りない、と感じている自分がいる。自分が求めているものが、あるのか、ないのかも判らない。だが、あの婦人の自信に満ちた表情にヒントがあるような気がしてならない。そして今日、またあの婦人が太極拳をしていた。やがて先日と同じように、婦人は隣のベンチにやってきた。「こんにちは。また会いましたね」婦人はニコニコとして、バッグからお茶を取り出した。当然のように、茂木滋に渡す。「やぁ、ありがとう」茂木滋もニコニコと受け取った。(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/27
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カルテ番号 も・6(11)今更誰かに教えを受けるなど、気が進まない。相手は茂木滋よりも確実に年下だろう。何十年も偉そうに構えているセンセイとやらに会ってきたのだ。センセイというのは、自分が俗物だという事を自覚していない連中だ。偉そうにしないだけ、仕事の出来ない社員の方がマシだった。それでも商売と割り切って、偉そうな言葉に頷いてきたのだ。「どうにも、この歳になると先生というのが苦手でしてな」そう言って、紹介されるのを暗に断った。「先生といっても、治療師の方だからですわ。治療しながら、いろいろお話をしてくれるだけ。押し付けがましい事はないし、心地良いだけですよ。でも、人は縁ですものね。何か必要に感じたら、紹介しますね。私は、周に幾度かはこの公園に来ていますから」婦人があっさり引き下がると、返って心が揺れる。何か大切なチャンスを逃したような気がしてきた。それでも、素直になれず、そのまま礼を言った。婦人は軽く汗を拭いてから、軽やかに引き上げた。茂木滋は、そのまま、しばらくベンチに座っていた。自分は、どこに向かいたいのだろうか?(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/26
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カルテ番号 も・6(10)婦人は少し考えてから話し出した。「私に上手く説明できるか判りませんが・・・要は、何の為に太極拳をするのか、という目的でした。人前で見せるなら、キチンとした動きがいいのかもしれません。まして、大勢で動作を合わせるなら、自己流はダメでしょう。ですが、私は自分の病を克服する為でした。自分専用の為にするのですから、自己流に意味がある、と。自分の生命を活性する為ですから、自己流でなければ意味がない、と」茂木滋は、それを聞いた時、何かが見えそうな気がした。婦人の言った意味は、何となく解るような気がする。だが、太極拳の話には興味がない。そうではなく、生命の活性という言葉に何かを感じた。最近の沈みがちな心に、さざ波が起きている。自分は、もう何も求めていない、と思っていた。それが、揺らいで、震えるものがあった。「貴女の言葉には、何かがあるようです。ぶしつけで申し訳ありませんが、もう少し話をしていただけますかな」それに対して婦人は首を横に振った。「いえ、違うのです。これは、私の言葉じゃないのです。受け売りの言葉ですが、これ以上は、上手に話せません。よろしければ、この言葉を教えてくれた先生を紹介しますわ」(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/25
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カルテ番号 も・6(9)「ありがとう。とても美味しいお茶ですね」婦人は笑って答えた。「あら、嬉しいわ。それ、私が炒って淹れてきた玄米茶ですよ。」茂木滋は改めて婦人を見た。女性の歳はわからない事が多い。50代後半くらいだろう?主婦という感じがしない。「先ほどのあれは、太極拳ですかね?実に見事な舞というか、動きだったと思いました」婦人の笑顔は淑やかであるが、明るい。「ええ、太極拳です。ですが、自己流なのですよ。ある人から、自己流に意味がある。自己流でなければ意味がない、といわれましたので」自己流に意味があるのは、茂木も理解できる。自己流が無い連中など、ただの駒にすぎない。だが、自己流でなければ意味がない、というのは解らない。「それは、どういうことですかな?どうも私には、難しすぎて・・・」婦人はまたも、微笑んだ。「そうですよねぇ。私も初めて聞いた時、何故だかわかりませんでした」(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/24
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カルテ番号 も・6(8)急に考え事をし始めた茂木に、婦人が声をかけた。老人が寂しそうに悩んでいる姿に見えたのだろう。「あの~、よろしかったら、お茶を召し上がりませんか?温かいですよ」茂木滋は、その言葉に労りの気持ちがある事に気づいていた。どうやら、心配をかけてしまっているようだ。「ありがとう。では、いただきましょう」お返しは、後ですればいい。借りはつくらない。借りをつくると、結局は損になる。経営者として、そういう生き方をしてきたのだ。新たなコップに注いでくれたお茶を、頭を下げていただいた。美味い。先ほどの素直がまだ残っていたのか。親切心に素直に従うと・・・味も素直になれるのか。損か得か・・・借りとかお返しとか、つまらない気持ちだったと思えた。(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/23
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カルテ番号 も・6(7)人は死期が近づくと素直になれる、と聞いた事がある。腹の中の探り合いや表面の取り繕いばかりの生き方だった。自分は素直になど、決してなれないと思っていた。計算しての態度や表情や言葉だった。生きていく、というのは、そういうものだと思っていた。尊敬だとか愛だとかいっても、その底には計算がみえる。本人が気づいてないから、本気で言っているだけだ。それが、素直に返礼したお辞儀一つで、茂木滋の中の何かが開いた。人間なんて・・・人は皆・・・そう決めつけていた事が揺らいだ。例外としての素晴らしい人はいるだろう。腹の中も表と変わらない人もいるだろう。だが、それは例外だと思っていた。もしかしたら・・・違っていたのかもしれない。自分のような人間にも、あるのかもしれない。もっと楽に生きられるのかもしれない。誰でも、持っているのかもしれない。そうだとしたら、どうしたら、素直のままで生きられるのだろうか?今更、この歳になって、と揶揄する気持ちもある。80歳から、生き方が変えられるか、という気持ちもある。あるが・・・変われるかもしれない、という思いが強くなっていた。(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/22
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カルテ番号 も・6(6)一通り動作が終わって、婦人は隣のベンチに来た。そこには婦人のものであろうバッグが置いてあった。バッグから水筒と簡易コップを取り出した。どうやらお茶のようだ。そして、コップに注いでから、茂木滋の方を見て、少し礼をした。それは、見知らぬ人ではあるが、近くで飲食する時の礼であった。今の日本には廃れてしまったマナーでもあった。そうだった。マナーも道徳も時には法さえも無視して生きてきた。だが、混乱期の日本でも、そういった心配りはいたるところにあった。日本は戦争も敗戦も混乱も動乱もあったが、心配りは染みこんでいたのだ。それがどう評価されるかは立場によって違うだろう。茂木滋のように、ほぼ無法で生きてきた人もいる。それでも、その心配りは美しいと思った。今なら、充分解る。茂木滋は、それに対して、深くお辞儀を返した。その心配りにお礼をしたかったのだ。商売上で深くお辞儀をすることは幾度もある。心の中で毒付きながらも、深く頭は下げられる。逆に社長という立場の茂木に、深く頭を下げる人。お金を持っているという事で、頭を下げる人も日常茶飯だった。腹の中は茂木と同じようなものだったろう。そういうお辞儀とは、全く別のお辞儀が自然に返せた。その事に、茂木は軽く驚き、そして、自分はもう長くないのかとも思った。(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/21
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カルテ番号 も・6(5)会社で働いている時、死という事を意識した事はなかった。会社を離れ、毎日が自分一人の時間になってからだ。自分が老齢だと思うようにもなった。それが寂しいとは思わないが、身近にあるような気がする。老齢とは、幾つからだろう。おそらく、年齢で線引きするのではない。意識し出した時から、かもしれない。特別に運動をしてはいないが、歩くのは好きだった。好きというよりも、歩いているほうが楽になれる。とはいえ、街の喧騒は疲れる。やはり公園や土手を歩く。そして、日本は四季が美しいと感じるようになった。今まで、四季の美しさに心が反応してなかったのだろう。一通り歩くと、公園のベンチで休む。時には喫茶店も入るが、公園のベンチの方が落ち着く。ある時、その公園でゆっくり体を動かしている婦人がいた。おそらく、あれは太極拳だろう。見ていても、その婦人が気持ち良くしているのがわかる。自分の世界に入り込んでいるのもわかる。そして、優雅でもある。(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/20
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カルテ番号 も・6(4)金と地位がある時、人はやたらと近づいてくる。会社が経営不振の時だった。それまで力になる、と言っていた人達が来なくなった。蜘蛛の子を散らすように、という表現通りだった。そして、好調になると、とても親切で寄ってくる。そういう人達ばかり相手にしてきたのだ。もちろん、自分も同じだった。もう充分だった。そういう関係の人達と関わるのは嫌になっていた。だから、会社からは縁を切った。自分で作ったとはいえ、もう未練はなかった。案の定、訪れる人はいなくなった。まぁ、自分で蒔いた種でもある。いや、自分で種を蒔かなかったということか・・・社長をしていても孤独だったのだ。今更一人きりでも、殊更寂しいとも思わない。趣味というほどの事もない。読書は好きだが、近ごろはさすがに目が疲れる。それなりに衰えてはいるが、特に病ということもない。だが、死というものを意識するようになった。(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/19
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カルテ番号 も・6(3)世の中、建前がある。綺麗事を言いたがる。正論を言いたがる。特に公の場で話す人は本音など話さない。地位のある人が、金で傾くのは常識だと思っている。もちろん、どんな事でも例外がある。茂木滋は家庭の事情で中学校だけしか出ていない。その中学校も、ほとんど通っていない。食べる為に働くのが優先だった。それでも、読書だけは好きだった。そして、わからない事はどんどん質問していった。自分で調べた。いつの間にか、茂木は物知りといわれるようになっていた。5年前に社長職を退いた。会長職にもならなかった。それまでの働きで、一生暮らせるだけの財産はある。だが、結婚しなかったから、身内はいない。家もさほど大きくはなかったが、一人には広すぎた。家政婦が2日に1度くるが、基本的には一人きりだった。(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/18
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カルテ番号 も・6(2)思い出したくない仕事もした。生きる為には仕方がない、と思っていた。親も兄弟もいない。仲間はいたが、友達ではなかった。それでも商才があったのだろう。次第に金回りがよくなっていった。気がつくと、小さいながらも会社経営者だった。日本は、もっと景気が抑揚していった。高度成長期とかいわれた。敗戦直後の食べ物の為だけに仕事をしていたのが変わった。金を増やす為の仕事になった。そして、会社は大きくなった。それなりに、遊びも覚えたが、いつも不満だった。金も地位もある立場になった。だが、どうしても家庭を持つ気持ちになれなかった。女には不自由しない。金があれば、ほとんどの事に不自由はしないものだ。全員ではないが、心は金で傾く事を充分に知っていた。極少数の例外がいる事は知っていた。(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/17
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カルテ番号 も・6(1)茂木滋は80歳になった。まさか自分が80歳まで生きるとは思わなかった。日本が戦争に負けた時、10歳だった。敗戦ショックというものはなかったが、とにかく大変だった。何しろ、食べ物が無い。毎日、腹を空かせていた。父親は知らない。召集令状で南の島に行ったきり帰ってこない、と聞かされた。茂木滋は、その父の顔さえしらなかった。写真もない。母は父親の事を話したがらなかった。大人になってから、こっそり調べてみた。どうやら通常の結婚ではなかったらしいと推測できた。それ以上、調べようとはしなかった。滋を育てる為、母はとても無理をしていたのだろう。43歳で逝った。滋は22歳になっていた。日本は復興に向けて、急成長と混乱の最中だった。仕事はあった。何でもあった。怪しげで、儲かる仕事も沢山あった。(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/16
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カルテ番号 め・3(60)誰かの本だった。女は50歳過ぎてからが、女になれる。女の花が開く。そして、その先は、ずっと花がある。もちろん、本人次第だろう。だが、自分が60歳になって、意味が解る気がする。「裕子さん、私達、これからなのね」「そうよ。今までがあって、これからがある。新たな、これからがあるのよ」社会の中で生きてきた。これからも社会の中で生きていくのは違いない。でも、社会の固定概念からは自由に生きられる。裕子は言った。「こういう話、あの先生としてみたいね。今度は一緒に行ってみる?」礼子も微笑んで答えた。「それもいいわね。お話会、みたいな感じで予約してみましょう。もちろん、お互い、それぞれが行く時もね」(登場する人物・組織・その他はフィックションです)(過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/15
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カルテ番号 め・3(59)三木裕子も頷いた。「私も、とても素直になれている。この30年間、気張って生きてきた。30歳からだから、いろいろお誘いもあったわ。でも、異性なんて興味なし、という態度だった。実際、一人で娘を一人前にする決心だったし。酷い結婚生活だったから、結婚なんてこりごりだった。上手くいっている、他の夫婦も、うらやましいとは思わなかった」でもね、心の底から男性が嫌いかというと、そんな事はなかったわ。結婚ではなく、時々のパートナーが欲しい時もあった。もちろん、肉体的にもね。でも、こんな話、本当に初めて口にするわ」そう言って、三木裕子は照れたように笑った。年齢じゃない。そんな話を聞いて、礼子は、つくづくそう思う。むしろ、娘を一人前にして、やっと自由に考えられるのではないか。結婚は、家庭を持つ為にする。社会的に協力し合って、暮らす為にする。だから、社会的に適合している事が優先だ。子供が出来れば、一人前まで育てる。出来なくても、お互いが助け合って暮らす為の家庭だ。(登場する人物・組織・その他はフィックションです) (過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/14
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カルテ番号 め・3(58)三木裕子は社交的で積極的な生き方をしてきた。母子家庭を意識して、そうせざるを得なかった。礼子とは、かなり違う性格だった。でも、とても気が合う。構えていた分、気持ちをさらけ出すなんてなかった。それが、礼子といると、自然に何でも話せる。「礼子さんが男性だったら、結婚してもいいな」「裕子さんは、まだ結婚願望があるの?」「う~ん・・・。どうだろう・・・そうねぇ・・・今更家庭は持ちたくないけど・・・何だか、一人きりで寂しい気持ちもあるわよ」今まで、決して言わなかった言葉だ。今までなら、絶対結婚なんてしない、と言ってきた。礼子は改めて考えた。そんな事は考えた事が無かった。夫に先立たれ、子供はいない。これからは、一人で暮らすしか道は無いと思っていた。それに、もう60歳も過ぎている。新たな異性と結婚なんて、夢にも思えなかった。でも、ほぼ同い年の裕子の言葉で気づいた。「私は、全く考えた事もなかった。というよりも、そんな道は無いと思っていた。でも、違ったのね。選択できる道は沢山ある。今は、とても他の人と暮らしたいとは思わない。けれど、それは選択できる道の1つなのね。今までと表面は変わらないけれど、大きく変わっているわ。私、とても自由になっている」(登場する人物・組織・その他はフィックションです) (過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/13
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カルテ番号 め・3(57)悲しい事や辛い事は、勝手にやって来る。でも・・・愉しい事は作り出せる。そして、大切なのは、どちらにもしがみつかない。巡らせる事・・・今まで、暗く、閉じこもっていたのだ。それは、自分で動こうとしなかったからの受け身。ならば、明るく、愉しく生きられる。「裕子さん、こちらこそ、ありがとう、です。今のお話、私にとって、とても大切。私、閉じこもっていたでしょ。自分で受け身だけだったのね。辛い事、悲しい事をしっかりつかんでいたのね。そして、愉しい事や嬉しい事も待っていた。いつまでも来ないと嘆いていた。でも、愉しい事や嬉しい事は自分で作り出すもの。待っているのは、間違い。自分で動いて、見つけるものなのね。ならば、これからの未来、とても期待できるわ。悲しい事や辛い事は勝手にやって来るから、あるかもしれない。でも、嬉しい事や愉しい事を沢山作り出せは、楽になれる」(登場する人物・組織・その他はフィックションです) (過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/12
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カルテ番号 め・3(56)理屈は解らないが、太極拳での感覚がある。太極拳は、一所に留まる事が無い。常に動いている。陰陽という概念を入れると・・・いつの間にか、陰は陽に移っていく。陽もまた陰になる。そうして、円を意識して動いていく。陰を悲しい事、陽を嬉しい事に当てはめる。すると、あの先生の言う意味が理解できるような気がする。つい、嬉しい事、愉しい事を溜めてしまいがち。悲しい事、辛い事を排除しようとする。でも、巡らせば、それらに振り回される事は・・・無くならないかもしれないが、楽にはなるに違いない。三木裕子はまた話し出した。「いろいろお話してくれたけれど、こうも言っていたわ。今の嬉しい事や悲しい事に関してだけど・・・悲しい事や辛い事は、勝手にやってくる。自分は受け身側。嫌だけど、突然ぶつかってくることもある。でも、嬉しい事や愉しい事は、自分で作り出せる。つまり、自分で歩いて近づける」(登場する人物・組織・その他はフィックションです) (過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/11
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カルテ番号 め・3(55)三木裕子は笑顔で言った。「礼子さんには感謝しているわ。不思議な縁だと思っている。それで、いきなり扉が開いた感じよ。私は、良い事、嬉しい事、愉しい事は沢山溜めればいい、と思っていた。悲しい事、辛い事は、忘れるようにすればいいと思っていたわ。どうしたら幸せになれるか、なんて本にはそう書いてあったし・・・でも、あの先生と話してから、そんな言葉がとても薄いと判った。本の言葉は心地よい言葉だけど、中身が薄いのよ。だから本など読んでも、幸せにはなれない。そういうセミナーなどは、表面だけの言葉。建前だけの言葉だから。私達、毎日いろいろな事に会って、生きているのね。当たり前だけど。ショックだったのは、嬉しい事、愉しい事も溜めない。生命は巡らすところにある、って言葉だった。目が覚めたような気がしたわ。不思議ね。嬉しい事、愉しい事にこだわらなくなると・・・悲しい事、辛い事も無理して乗り越えなくても薄くなるのよ。これからの人生、楽に生きられる自信になる」そう言って、三木裕子は礼子に向かって頭を下げた。(登場する人物・組織・その他はフィックションです) (過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/10
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カルテ番号 め・3(54)三木裕子は思い出しているようだった。「あの先生に会った時、何だか期待外れと感じたわ。今はよく判る。あまりにも力みが無かったから、物足りないと思っていたのね。それよりも、私の方が力みがあるのが普通の生き方だったわけ。でも、気功をし始めたら、いきなり涙が出て・・・それから、理解はできなくても素直になれた。いろいろお話をさせていただいた。教わった事は、幾つもあるのだけれど・・・例えば健康に関することなどで、それまでの常識とは全く違った。食べ物には気を配ってきた。何しろ身体が第一。寝込んだら、誰も代わりがいない。稼いでくれる旦那もいない。だから、食べ物には気を配っていた。気を配るっていっても、良い材料にこだわった。それは間違いではないのだけれど、根本が解ってなかったのね。健康って、生命を活かしたり、養うって事だったのね。そして、生命は、良い悪いとか善悪とかよりも優先する事があった。それは、巡らす、って事だった。氣を巡らすっていっても、よくわからない。でも、いろいろを留めない、ってことなら納得できる」(登場する人物・組織・その他はフィックションです) (過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/09
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カルテ番号 め・3(53)三木裕子は、礼子のその言葉を反芻していた。「礼子さん、私は違う事を教わったわ。私が求めていたのは、これからの事だった。健康が一番だけど、その方向が見えなかった。ありきたりの食や運動やサプリメントではないもの。礼子さんを初めて見た時、太極拳が新鮮だったの。それで、その先生がヒントになるかと思って紹介していただいたのよ」今度は礼子が黙って聞いていた。礼子は静かに話を続けた。「若い頃離婚して、娘を育てるのに必死だった。夫や娘にとっての父親がいない事をハンディだと思わせないように・・・今思えば、世間に対して身構えて生きてきたのね。母子家庭は、とても不利な事が多い。でも、必要以上に厚い鎧のような生き方だったわ。幸い娘は私よりも自然体で、結婚も上手くしているみたい。会社でも、男に負けないように、と思っていたわ。そして、定年退職。これからは一人で生きていく。自立心は離婚した時からだから、気負いはなかったわ。その為には、いろいろな事を楽しむ人生にしたい。でも、基本はなんといっても肉体的な健康。そして、連絡したら、来なくてもいい、というような対応。でも私って、勝気な性格でしょ。そう言われたら、押しかけてでも、っていきなり訪問したわ」(登場する人物・組織・その他はフィックションです) (過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/08
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カルテ番号 め・3(52)二人は顔を見合わせて笑った。「この歳になって、やっと素直になれることもあるのねぇ。辛い事、悲しい事、大切な思い出。それらは、手放せなかったり、離してはいけないと思っていたわ。でも、そうじゃない、って思えるようになった。毎日を生きている。だから、忘れても放してもかまわない。というか、自分がしがみついていたのね。悲しい事も、辛い事にも、思い出にも・・・必死に、力を入れて握っていたのね。それが、もっと楽にすればいい、と気づいたの。あの先生といると、もっと自然でいい、と気づいた。無理して忘れる事でもなく、しっかり握りしめる事でもない。素直に反応すればいいだけ。泣きたかったら、泣いてもいい。でも、いつまでも自分を悲しめるのは、自然じゃない。どんなに悲しくても、お腹は減るのよ。そして、毎朝、その日が始まる。いつでも、始まっているのに、過去を離さないのは素直じゃない。うまく説明できないけど、そんな風に感じてきたわ。僅か、1日の出来事だったのにねぇ」(登場する人物・組織・その他はフィックションです) (過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/07
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カルテ番号 め・3(51)礼子は思い出しながら言った。「やっと会えた人だったでしょ。あの先生のお陰で回復できた。外に出られるようになった。人と話せるようになった。私が変わる、とても大事な言葉が沢山あると思っていたわ。だから、真剣に聞き逃さないようにしていたの」そして礼子は笑った。「ところが意気込みが強すぎたのね。心がいっぱい、いっぱいになっていたの。そして、すぐ涙が出てしまうような状態。でも、ゆっくり待っていてくれて、次第に落ち着いたわ。そして、多分、沢山の教えがあると思うのだけど・・・とても一度には理解できない。それでもいいのだと、今日になって感じたわ。理解などできなくても、キチンと私の中に入っている」三木裕子は頷いて言った。「そうなのよねぇ。私は礼子さんと違って、最初はハズレだと思った。だって、電話しても来る必要が無い、と言うんだもの。会っても、特に何も感じなかったのね。でも、気功を受け、涙が出てから、どんどん素直になったわ」(登場する人物・組織・その他はフィックションです) (過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/06
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カルテ番号 め・3(50)礼子の話を聞く三木裕子も嬉しそうだった。二人とも独身の60代。同世代には、おばあちゃんといっていいような人もいる。それは見た目ではなく、生き方。子育てが終わったら、役目もする事も無いと勘違いしている人達。それとは逆に、これから本当の自分の人生を始めようとする人達。その生き方の違いは、見た目、雰囲気に現れてしまう。女は50歳から。誰かが言っていた。そして、女としての一生花を咲かすことが出来る。この二人は、そういう生き方をしている。そして、それには、それまでの生き方、意識から変わる必要がある。長年染みついた社会、会社、世間の常識からの脱却だ。変わるというよりも、手から放すだけなのだが・・・三木裕子は興味津々である。「ね、あの先生の太極拳って、礼子さんから見てどうなの?」礼子は笑った。「私が判断できるような相手ではないわよ。とても、自由な太極拳だったわ。目からウロコが幾度も剥がれ落ちたわ」(登場する人物・組織・その他はフィックションです) (過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/05
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カルテ番号 め・3(49)礼子は昨日の事なのに、なんだか昔の事のように感じていた。「一言で・・・不思議だったわ。いろいろな事が・・・そして、とても安らげた。何年もの重しが、急に軽くなった気がしたわ。これで、変われる、そう感じたわ」三木裕子は、礼子の顔を見て言った。「あの公園でお会いした時よりも、とても明るくなったわ。何だか、とても良い事があったのね。それから、何があったの?」礼子は、心の内をどう話していいのか解らなかった。それは、礼子自身も解らなかった。でも、楽になれたのは事実。「気功を体験してね、電気みたいのを感じたわ。それから、念願の太極拳を見てもらった。褒めていただいたわ。その後、そうねぇ・・・あれはプレゼントなのかしら?あの先生が、太極拳を見せてくれたのよ。それが、とても濃い内容だし、幾つも重ねてあるし・・・ゆっくり思い出しながら、私なりに応用するのだけれど。とにかく、嬉しかった」(登場する人物・組織・その他はフィックションです) (過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/04
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カルテ番号 め・3(48)この女性とは長く深く付き合う予感がする。おそらく、二人とも同じように感じている。友達というよりも、同士、あるいは、魂の家族とでもいうのだろうか。一緒にいて、違和感がないのだ。楽なのだ。何でも、平気で話せる。「で?どうでした?10年越しの人と会って」三木裕子は、そんな風に笑って聞いてきた。「何て言ったらいいのか・・・感激というのではなくて、安心に近かった。でもね、何度も泣いちゃったのよ。泣く理由もよくわからないのだけど・・・とにかく、涙が出て、その後は気持ちいい」三木裕子は少し驚いた顔をした。そして、その理由を話し出した。「実は・・・私もなの。最初に気功をされた時、涙が流れてきたのよ。悲しくもないのに・・・そのうちに、声も出して、号泣。院長は、よくある事だって言っていたけど・・・そんな事、よくあるわけないわよね~」そう言って、笑った。(登場する人物・組織・その他はフィックションです) (過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/03
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カルテ番号 め・3(47)その夜、早速院長から教わった大周天をしてみた。今までと同じ動き、同じ呼吸でいい。でも、イメージを自分の内ではなく、外、周りにする。身の周りの空気と遊ぶ。身の周りの氣と遊ぶ。すぐには、しっくりとしない。でも、愉しい、愉しくなる、という予感がした。次の日、以前公園で出会い、あの院長を紹介した女性に連絡した。三木さんという彼女は、とても喜んでくれた。お互い時間は自由な二人だ。礼子の家に誘ってみた。他人を家に入れるのは、10年以上無かったことだ。だから、誘っていながら、自分に驚いてもいた。お昼頃に、三木さんが来た。若く見える彼女だが、更に若くなったようだ。彼女は二人で食べるランチを持ってきてくれた。「こんにちは」そう挨拶されただけで、旧知の親しみがあった。「楽しい話を聞かせてね」「こちらこそ」(登場する人物・組織・その他はフィックションです) (過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/02
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カルテ番号 め・3(46)院長は幾つもバージョンを詰め込んで太極拳をしてくれた。見ているだけでも、礼子の参考になることが沢山あった。そして、大周天という次の太極拳の方法。簡単には覚えきれないし、応用しきれない。礼子はこっそりと思った。しめしめ、これで定期的に訪れる理由が出来た。そして、他人に対して、そんな風に思えるようになった自分に驚いた。普通に外出できる。普通に人と話せるようにはなった。だが、元から社交的ではない。自分から他人に関わりたいと思うことはなかった。亡き夫との結婚だって、自分からではなかった。それが、自分から関わりたいと強く思えている。2週間後の予約をして、家に帰る車内で考えた。これまでの60年生きてきた性格が変わる?院長に会いに来る前の日までとは、違うのが判る。僅か1日・・・なのだ。人は簡単に変われる・・・のかも、しれない。新しい自分が始まる。新しい、日々が始まる。今までの、諸々の思い、考え方が、無くなったわけではない。薄くなったのだ。こだわりが、薄くなったのだ。その分、新たな事に意識が向くようになった。そういえば、ここを紹介した三木さんも変わっていた。帰ったら連絡しよう。沢山、話をしてみよう。多分、とても深く話せるような気がする(登場する人物・組織・その他はフィックションです) (過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・講演、お話会依頼、悩み相談受付中。日本中出張します。ブログで書いた「迷説般若心経」 「迷説恋愛論」 「迷説幸福論」誰か出版してくれぇ~18年間封印していた本物の「氣入れパワーストーン」を販売開始 「笑顔の雑貨屋Yakkoo」)
2016/01/01
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