レムリアからの転生旅行者

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神坂俊一郎

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Sep 22, 2025
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テーマ: Paris/パリ(891)
カテゴリ: 世界の中の日本



さて、第4回です。

例年凱旋門賞翌日の月曜日開催と決まっているパリ会議当日は、 6 時に起きて、昨日の感想のコメントを英文に直したりしていたら 7 時近くになり、雨も降っていたため、少し慌ててホテルを出ました。

それでも、 20 分ぐらいでホテル・スクリブに着きましたが、今回は珍しく 2 番手でした。

会議は、例年どおり慌しく進行しましたが、今回は一般受けする楽しい発表が多く、特に広報関係の発表は、大変興味深くかつ楽しめるものでした。

その中でも、フランスのレオ・ヴィジョン社による未来に向けての映像は、「実際に競馬場で見るよりも臨場感のあるものを」の宣伝文句通りであり、未来の映像の見本として、撮影、放映された昨日の凱旋門賞のハイビジョンによる映像は、ゲート内や、飛行船からの撮影も利用した、全方向からの精細な映像で、臨場感だけでなく、ディープインパクトが負けるとわかった時の日本人観客の落胆ぶりまでが伝わってくる、本当に素晴らしいものでした。

会議の懸案であった、裁決関係の方針統一は、イギリスは結果(入線順位)重視、フランスは被害者救済重視で両者全く譲らず、両者とも統一は難しいと言い出したため、アメリカが、それを調整するためのパリ会議だろうと怒りだす一幕がありました。

降着制度一つをとっても、各国間の考え方の差は決して小さくなく、イギリスは、加害馬が着順で有利になったこと、被害馬は、その被害がなければ加害馬よりも先着できたと考えられること、加害馬の騎手の責任が明白であることの三つの条件全てが満たされないと降着はしないのです。

フランスは、比較的日本に近いのですが、その馬の能力を重視する考えがあり、加害馬被害馬の関係で確実に逆転できたと判断できなければ、やはり降着はしません。

エリザベス女王杯のカワカミプリンセスの降着は、海外の裁決委員からは、被害馬が加害馬に勝てるとは到底思えず、非常識な降着であり、観客や馬主がよく黙っていたなと、非難轟々でした。

世界的には、特にマスコミ関係者の間では、降着制度は加害馬を降着したところで、被害馬の権利が回復されることはなく、着順変動で混乱させるだけだと不評であり、廃止すべきとの意見も根強いのです。
 この降着制度問題、結論は先延ばしされたのですが、年明けのドバイで開催されたアジア競馬会議でも、更に混乱する事態になりました。

コーヒータイムと昼食の休憩では、前年かなり会話したモーリシャスの代表や、シンガポールターフクラブのバイスプレジデントのテオ・キムヘン氏、イギリスから来た通訳の日本人女性等と歓談できました。

興味深かったのは、テオ氏から聞いた、シンガポールが導入して昨年話題になった税金ダンピングの話題でした。
 シンガポールでも、競馬の売り上げには課税するのですが、本来課税すべきところをランダムに非課税とし、その分違法業者よりも控除率を下げる施策でしたが、効果てきめんで、インドネシアの業者2つを廃業に追い込んだのです。

しかし、シンガポールの国内法では、課税が定められており、日本同様、それに応じて控除率が定められているものですから、部分的に非課税扱いすることは限りなく違法に近いものであり、違法インターネット賭業者に対応するため、厳格で定評のあるシンガポール政府が、法をフレキシブルに解釈したところに、シンガポールでも競馬のステータスは大変高いことがうかがえました。

当時シンガポールで開業していた、日本人の高岡・仁岸両調教師のことを聞いたところ、JBBAが馬を寄贈してくれたので、両調教師を含む 7 人の調教師に配分し、馬主から受け取った馬代金は、チャリティーに寄付したとのことでした。

 こういう点でも、海外は、フレキシブルに解釈して対応しますから、日本よりも融通が利くのです。

会議を終えてのフェアウェルディナーは、例年の如くシャンゼリゼ通りのカフェ・フーケ(向かいのルイ・ヴィトン本店と並んで、凱旋門賞スポンサーのルシアン・ヴァリエールの所有です。)で行われましたが、スクリブ集合が 19 35 分なので、 19 時にゆっくりホテルを出たら、また早めに着きました。

ホテル周辺をうろついてみましたが、また恐ろしく場違いな服装の日本人ばかり目に付きました。

しかし、今年の日本人のディープインパクト狂想曲、 1 万人近い日本人が、お土産を買いまくったため、パリの経済に大きく貢献したと報道されましたし、フランス人には日本人について今までとはまた違った印象を与えたようでした。

今年は、フェアウェルパーティー前のカクテルパーティーでも、シンガポールターフクラブの参加者や、香港のサニー氏と話しました。

去年は、日本でも異端の私はあぶれもの集団でインド、アフリカ、フランスギャロ混合になったディナーの席でしたが、今年はサニー氏が招くので同席すると、一風変わったヨーロッパ小国軍団と一緒になり、大変興味深い経験をすることができました。

最初は、もっぱらサニー氏と私が仕事の話をすると、私が競馬関係だけでなく、彼の専門であるIT関係の映像伝送ネットワーク構築も担当していることを知って大変驚かれました。

海外では、競馬は競馬の専門家が専任で担当し、映像伝送ならサニー氏のようなITの専門家(彼は、シリコンヴァレーのIT企業出身。)を、国際折衝は、ドミニク氏のような、語学に堪能な、接遇の専門家を、ヘッドハンティングしてきて担当させ、原則としては業務間の異動はないのが常識なのです。

ですから、私のように両方わかるし担当している人間は驚異的ですから、スーパーマンと呼ばれたわけです。

海外だけでなく、国内でも、社外では国際関係と競馬の裁決委員、IT関係を兼職しているスーパーマンと思われていましたが、社内ではその能力と希少性が理解されていなかったのが皮肉です。

それで、最初はサニー氏と専門であるIT分野の話をしました。

内容としては、今後は馬券発売も場内及び専用場外中心から、インターネット中心に移行すること、そのためにも、映像伝送手段が重要となり、日本では光回線によるIP通信を採用したこと、電話投票も携帯が主力になること、香港では映像伝送は衛星通信を利用し、ネット接続は CDMA 方式の携帯電話中心であること等結構専門的な話でした。

ちなみに、プライベートの話も少ししたところ、私の愛車はメルセデスベンツなのですが、サニー氏も同じでした。

私は、サニー氏とスウェーデンのビヨルン氏の二人と主に話していたのですが、他のチェコ、スロバキア、スロベニア、クロアチアの参加者たちは、我々の話をただただ不思議そうに黙って聞いていました。

私は、何故彼らがほとんど話さないのか不思議だったので、彼らに話題を振って話を聞きに回ったところ、クロアチアの参加者が代表して東欧の国内事情を話してくれて、彼らが黙っていた謎が解けました。

まず、東欧では競馬自体は伝統的に継承されて行われているものの、経済事情により、満足な賞金を出すことができず、サラブレッドの血統書も存在はしているものの、本当にその馬の血統書なのかどうかさえわからないのだと、悲惨な現状を話してくれました。

そして、自分たちは、本当は競馬の心配よりも子供たちが安全に暮らせることを心配しなくてはいけないのだと続きました。
 確かに東欧では、いまだに小規模な内戦が続いていて、難民も発生している状況ですから、まともに競馬を開催していられる状況にすらない彼らにとっては、私とサニー氏の専門的な会話の内容は、まさに異次元の出来事だったのです。

サニー氏と私は、何と言ってよいかわからず黙ってしまったのですが、その辺は同じヨーロッパのビヨルン氏は一枚上手で、「ディッファレント カントリー ディッファレント プロブレム」の一言で収拾してくれました。

確かに、アジアの我々が同情してもどうにもならないことですし、彼ら自身が考えて行くしかない問題なのです。

スウェーデンで面白かったのは、サニー氏がビヨルン氏に、スウェーデンで一番大きな企業は何かと聞いたので、スウェーデンだから航空機と車で有名なサーブ・スカニア社か、車のボルボ社かなと私が考えていたら、ビヨルン氏の答えは何と、ソニーの現地法人だとのことでした。
ソニーがそんなに国際的な企業だったとは、本家の日本の私も知りませんでした。(もしかしたら、ビヨルン氏は、企業ではなく競馬の最大のスポンサーと考えて答えたかもしれません。)


 有意義なフェアウェルディナーを終えて、カフェ・フーケを出ると、又もいました名物物乞いおばば。

彼女、パリでは有名人で、真っ赤なピエロのような服を着て、頭にも赤い布を巻き、顔には入れ墨を入れているジプシーの婆さんなのです。
 ここでいうジプシーは、流浪の民と呼ばれるロマ民族の意味です。
 海外でジプシーと言うと、難民が、盗賊や強盗となって悪行に耽った(そうせざるを得なくなった)ことから、盗賊、強盗の意味になってしまうので、注意してください。
 この本家ジプシーのばあさん、自分と同じように真っ赤な布を巻いた犬を連れてやってきて、「金をくれ。」とせびるのです。

フランス人は慣れたもので無視しますが、通りかかったアメリカ人の観光客は、金を渡して記念撮影したりしていました。
 私は、去年はまともにつかまったので小銭を渡しましたが、今年はうまく逃げました。

スクリブ経由でホテルに戻ると、前夜祭ほどではありませんが、 12 時半でした。

それから少し荷物の整理をして、シャワーを浴びて寝ましたが、交通機関のゼネストがあった 2005 年と違って、明日は空港行きの交通手段の心配がないので、安心して眠れました。
 翌朝ホテルをのんびり出発して
RER で空港まで行きましたら、キャセイ便はターミナルが2Aですから、駅から見れば最も遠い場所なのです。

同じ空港内で大した距離ではないのですが、案内板を見たら、ターミナル 2A は無料のシャトルバスを利用しろと書いてあったため、時間は十分あるし、試しに乗ってみました。

バスに乗るまでは順調だったのですが、スタートしてしばらくしたら、ターミナル間の道路でバスとトラックの接触事故があり、2車線しかない道を占拠したもので、全く動かなくなってしまいました。

日本なら、軽微な事故ですし、まずは交通の妨げにならないよう車を移動させることを優先させるところですが、お互い自分の責任ではないと言い張って動かしもしないところが、如何にもフランス的です。

私が乗っていたバスの運転手は、こんなことはよくあることなのか、ターミナルEで止まって、急ぐ人は降りた方が早いよというので、みな降りて歩いて行きました。

来た時はバスに乗ったりしなかったわけですから、そのままスーツケースを引きずって行ったところ、直ぐに着きました。
 わざわざ1階上のバス乗り場まで上がって、更にバスに乗り降りすることを考えれば、そのまま行った方が、面倒もなくてよいと思います。

チェックインまでは少し時間があったのですが、キャセイの係員が既に用意にかかっていたためか、何人か並んで待っていましたから、私もまずは荷物を預けて身軽になろうと後ろに並びました。

すると、やはり日本人でキャセイ搭乗予定の者が何人か続いて来て、それを見てつられたのか、日本人のおばんの団体客がどっと押し寄せてきました。

私としては、早く荷物を預けたいから並んだだけだったのですが、日本人、群集心理なのか、他の人と同じでないと落ち着かないのか、他人と同じことをしようとするのは困ったものです。

私の前にいたのが、香港経由でアメリカに帰るというアメリカ人と、香港経由でインドネシアに帰るというインドネシア人だったのですが、彼らの会話(英語です。)も面白いものでした。

アメリカなら直行便でもっと便利な便があるだろうに何故キャセイなのか、とインドネシア人がアメリカ人に尋ねると、(私も同じ疑問を持ちました。)彼の答えは、「キャセイの方がサービスがよい。特に食事は一番よいからキャセイを選んでいる。」とのことでした。

私は、パリ行きは最初からキャセイを使ったので、他との比較はしにくいのですが、 12 年前のJALやブリティッシュエアラインと比較すると、確かに彼の言うこともわかりました。

キャセイの食事は、日本人の私にもあっていて、不満はありませんでしたから。

インドネシア人の彼も同感だったらしく、「私もキャセイの食事が一番いいと思う。」と答えていました。

私の後ろに並んだのは若い日本人女性の二人連れで、一人は見送りだったらしくしばらくしたら帰ったのですが、会話が耳に入ってしまったので、免税手続きは、出国手続き前にしないといけませんよと注意してあげました。

それで話してみると、彼女もロンシャンに凱旋門賞を見に行っていたとのことでしたが、さきほどまでいた友人に引きずられて行ったもので、競馬にはあまり興味がないとのことでした。

それで、少し話した後、搭乗手続きの順番が来たので私はさっさと手続きして荷物を預け、出国手続きも済ませて免税店巡りをしたのですが、今回最初に指示された登場ゲートは 16 番で、ターミナル2Aの中でも一番端で、カフェテリアのある 3 階まであがってまた降りなくては行けない場所でした。

去年は確か最初 43 番で、途中から 40 番に変更になったんだったよなあ、と考えながら、売店でサラダを買ってベンチに座り、スーパーで朝食用に買ったものがまだ残っていたパンとプッチンプリン風栗デザート(これ、安くて意外にうまい。)とマルシェで買ったミカンで昼食を済ませました。

同じ便に搭乗予定の車いすに乗った年配の日本人女性と付き添い 2 名の客がいて、階段上り下りをどうやって来たのかわかりませんが、しばらくしたら私の近くのベンチにやって来たので見るともなく見ていたら、キャセイの係員が来て彼女に何か伝えていました。

なんだろうと思っていると、その係員、私にもキャセイ便香港行の搭乗者かと聞くので、そうだと答えると、搭乗ゲートが 43 番に変更になったので、そちらに向かってくれと言われました。

ありゃありゃ、今年も途中で変更か、と呆れましたが、海外ではよくあることで、アナウンスだけではなかなかわかりにくいので、出発案内のビデオモニターを度々確認する習慣をつけることをお勧めします。

ところで、フランスの空港の免税店ですが、決して安くもない上に、店によって使えるクレジットカードの種類が違っていたりもします。

帰国してから聞いた話ですが、JRAのM氏、クレジットカードを 1 枚しか持っておらず、それでホテルの宿泊料を払おうとしたら、ICチップ付きだったために暗証番号を入力しろと言われたのです。

忘れたと答えたところ、それでは使えないと拒否されたため、仕方なく他のJRA職員から現金を借りまくって払って帰ってきたとのことでした。

2005 年は、ICチップ付きカードが一部の店では使えず、「昨日香港では使えたぞ。」と抗議したところ、「フランスは遅れているんです。」との答えが返ってきたのですが、 1 年たってICチップ付きが使えるようになったと思えば、暗証番号(ピンナンバー)の入力が必要になるは、駅の券売機はカードが使えなくなったり(よくよく画面の表示を読むと、国外発行のカードは使えなくなったのでした。)、進歩したといえるのかどうか、判断に苦しみました。

私はキャセイの会員のため、車いすの老夫人一行とともに優先搭乗で先に乗せてもらえたのですが、乗り込んでみると、今回は、日本人の人数こそ多かったものの、目立ちませんでした。

目立ったのは、 10 1 日の建国記念日休日を利用して旅行に来た中国人の若者たちでした。

香港映画に出てくるちゃらちゃらした若者たちは、それまでは大げさな演技だとばかり思っていたのですが、映画そのものの若者たちをこの目で見ると、演技ではなく地であることがわかりました。
2005 年には韓国のソウルでアジア競馬会議があったので、韓国語の勉強のためと国情を知る参考にと、韓国映画を見まくってから行ったのですが、韓国人も、韓国映画と全く同じでした。

一晩中がたがたしていたその若者たちのせいで、全くといってよいほど眠れませんでしたが、帰りは、半分はパリの昼時間ですから、比較的楽でした。

香港のトランジットでは、またプレミアムラウンジで時間つぶしをしたのですが、無料インターネットで自分のブログを、英文で更新してみました。(今まで英文で更新したのは後にも先にもこの 1 回だけです。)

香港国際空港、免税店の規模では世界有数だと思います。

面白いのは、 60 番ゲート付近にあるドラッグストアで、化粧品や日用品とともに怪しげな薬品を売っているのですが、同じものが他の免税店より大分安いのです。

また、その近くにあるお菓子やちょっとした装飾品をまとめて買うと安くなるショップも、お土産を多量に買い込む人には便利なお店でした。

ここにはフランスのブランドショップもたくさんあり、円安ユーロ高の影響か、ロンシャンやルイ・ヴィトン等に限らず、同じものが、フランスの免税店よりもむしろ安かったように思いました。

ここのトランジット、 2005 年の帰りに出発時刻を勘違いし、私ひとりのために出発を 20 分遅らせる大失態を演じた苦い経験がありましたから、今年は用心して早めに搭乗口に移動してのんびり待っていました。

ここまで来るともう半分日本に着いたようなもので、乗客も、パリ便と違って大分空いて(とは言っても、昨年は半分ぐらいしか乗っていなかったのに対し、今年は 7 割ぐらいでした。)割と快適に過ごせました。

成田に着いて、荷物を受け取って、京成特急で上野に出て、東北新幹線に乗り換えて帰宅の途についたわけですが、海外から戻ってくると、何時も、しばらく味覚が狂います。

食事をすると、特に店で買ってきた総菜類に、素材そのものの味がなくて戸惑うのです。

幸い 2006 年は、我が家の農園が豊作で、自家製野菜が多く食べられましたから、この違和感を余り感じないで済みました。


 日本に戻って 2 週間後、ショッキングなニュースが飛び込んできました。

ディープインパクトの薬物陽性による失格のニュースだったのですが、このニュースに関して、私は、日本の報道関係者の知識と見識を疑いました。

まずは、フランスの陰謀説ですが、前夜祭の部分で触れたように、フランスギャロは、ディープインパクトを、勝利に最も近い馬として丁重に扱ってくれていましたし、日本人に特別対応までしてくれましたし、その日本人客のお陰で場内売り上げのレコード記録だったと感謝していたのです。

それなのに、そんなことを面白おかしく書き立てた良識を疑います。

また、ディープインパクトが薬物陽性となったことは、凱旋門賞の名誉を傷つける汚点であったことは事実なのですから、JRAが遺憾なことであったと謝罪的な発言をすることは、日本の競馬統括機関としては当然のことであり、私だって意見を求められたら同じことをします。
 それを、謝罪するとは何事かと非難したのですか、どうにも理解に苦しみます。

調教師の関係者が以前から薬物を投与しており、JRAが処分したことがあるとの週刊誌の記事についても、JRAの抗議により出版社がニュースソースを再確認したところ、提供者が雲隠れしたとかで、ガセネタをつかまされたものでした。
 情報の信ぴょう性の確認もせずに掲載したことについても、報道機関としての良識を疑います。

また、某スポーツ紙の複数の記者に至っては、俺にいわせろとかいって、海外の競馬制度や競馬の実情を全く知らなったとしか思えないような記事を書いていたことには呆れると同時に腹が立ちました。

如何におかしな記事だったかをもう少し解説しておきます。

まず一つ、凱旋門賞はフランスギャロが主催するレースであり、その処分権限、それに疑義にかかわる調査権限は、フランスの国内法及び競走規定に基づくものであり、主催者であるフランスギャロにしかないのです。

それなのに、JRAがフランスまで行って調査しないのはけしからんと書いたのは、無知としかいいようがありません。
 もしJRAが調査に行ったりしたら、それこそ越権行為であり、内政干渉であると国際的に非難されたことでしょう。

それから、フランスの陰謀説がありえない根拠ですが、諸外国には、ナチスドイツの頃のドイツや、ファーラップが毒殺された頃のアメリカならいざしらず、おらが国の馬との意識はありません。

 馬は、馬主のものであって、アイルランド産でも、フランスで調教されて、アメリカのケンタッキーダービーに出走するのが常識ですから、そもそもディープインパクトを応援しにパリまで行った日本人の方が、国際的には疑問だったのです。
 前年の凱旋門賞前夜祭で、フランスギャロの会長であり、ロスチャイルド家の当主であるエドゥアール・ロッチルド(ロスチャイルド家なのですが、実際の発音は、ロッチルドに近い)氏が、ニアルコスファミリーも、マクトゥーム家も、他のアラブ王族も、皆我々の競馬ファミリーの一員であると挨拶しています。

日本の馬主を含め世界中の馬主が、日本以外の国では、持ち馬を日常的に走らせているのですから、今時他国の陰謀なんてことを考えるのは、日本人ぐらいでしょう。

直接は関係ありませんが、アメリカのキーンランド協会が、日本の国際カタロギングスタンダードパート1国入りに最後まで反対したのは、日本が競走を海外に完全には開放していないことに加えて、アメリカの競走馬市場の最大かつ最良の顧客であるアラブの馬主たちを、日本国内の競走から締め出す嫌がらせをしていると考えたからなのです。

ディープインパクトの薬物陽性事件自体は、同馬が咳をするからと、フランスの獣医師を通じて問題の薬品イプラトロピウムを購入し、 1 週間以上前に、日本から帯同していた獣医師がその薬品を使って治療したところ、暴れて飛散した薬物が寝わら(海外は大抵麦わらです。)に付着し、たまたまその寝わらを、競走の前日以降に食べたことが原因らしいとの結果に落ち着きました。

フランスの場合、禁止薬物陽性は、競馬法で禁止されている日本と違って法違反ではなく、単なる競馬施行規定違反ですから、警察の捜査権限の及ばない事項であり、推定以上の結果を導き出すことは困難なのです。

フランスギャロは、薬物陽性が判明した時点で、同馬の治療記録等から、大体の事情はつかんでいた模様で、関係者にとっては、天文学的な確率の不運であり、気の毒としかいいようがないできごとだったことを認め、発表当初から恣意的なものではなく、ディープインパクトが天皇賞に出走しても問題はないとコメントしてくれていたのです。

それから、この事故ともいうべきできごとについて、フランスギャロの責任を追及すべきと書いた日本の記者もいましたが、これも無知としかいいようがありません。

フランスギャロが出走馬の管理について責任を負うのは、レース当日に競馬場の指定場所に集合してから、レースが終わって一定時間経過し、競馬場を退去するまでの間だけなのです。

競馬場に隣接した内厩舎あるいは競馬場の付帯施設としてのトレーニングセンターまで主催者丸抱えで管理している国は、世界中探しても日本だけです。

日本の常識、世界の非常識であることが結構ありますから、報道には注意し、責任を持ってもらいたいものです。





会議の日の雨のパリです。






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Last updated  Sep 22, 2025 02:28:48 PM
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Yoko@ Re:ヤマトタケル異聞1(09/21) ずうずうしくリクエストをしたYokoです。 …
Yoko@ Re:ヤマトタケル?2(04/19) 21日のご返信に気が付かず、ご返信せずに…
神坂俊一郎 @ Re[1]:ヤマトタケル?2(04/19) YOKOさんへ アメーバブログも確認したら全…
神坂俊一郎 @ Re[1]:ヤマトタケル?2(04/19) YOKOさんへ 既に発見されたかも知れません…

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