携帯電話の世界シェアはこの2年で大きな地殻変動が起きた。2009年の調査で日本企業が上位10社中4社入っていたが、11年は1社だけ。その代わりに韓国サムスン電子が台頭し、ほかの中韓台メーカーも上位に食い込む。国内シェア1位のNTTドコモの主力端末も今はサムスン電子の「ギャラクシー」シリーズだ。
09年のランキングに入っていたシャープ、NEC、パナソニックの3社は業績低迷で大幅な人員削減を実施。シャープに至っては台湾の電子機器製造受託サービスの鴻海(ホンハイ)精密工業と資本提携するなど経営環境が激変している。
白書ではガラケーの敗因について、パソコンと同じレベルのウェブ閲覧機能をスマホが保有している点を挙げる。国内メーカーがスマホの投入に出遅れたのは、通信会社主導の日本市場にとらわれたためだと指摘。ここでグローバル市場を視野に入れた端末開発と販売提供の発想があった中韓台メーカーと大きな差が出たとみている。スマホのインターフェースは米アップルの「iPhone(アイフォーン)」が飛躍的な技術革新を起こしたと評価。戦略性の高い製品や領域を絞り込んだ高水準な研究開発投資の結果が端末の魅力を生み出し国内メーカーと大きな差が出たと指摘している。
総務省の上級幹部は「日本企業はこれまでの失敗を認めてグローバルな経営戦略を持たないとさらに取り残される」と危機感を募らせる。総務省としては、スマホやタブレット端末の普及でICT市場は世界規模で拡大するとみており、この成長を取り込んでほしいという思いが強い。
現在、スマホの登場で端末やネットワークだけでなくコンテンツ・アプリケーションも巻き込む形で生態系のように複数のレイヤーの企業が協調して市場が世界規模で拡大する"エコシステム(生態系)"が形成されている。「スマホを軸に事業構造の変化が起きている。日本企業にはこの変化を先取りした経営戦略を持ってほしい」(磯室長)。今後はスマートテレビやコンテンツ・アプリなどの上位レイヤー市場などの拡大が予測される。「日本のブロードバンドやモバイルネットワークは世界最先端と言える。その強みを生かせる場面は多く、総務省としてもこのような側面から日本企業の海外展開をサポートしたい」(別の総務省幹部)と話す。
国内端末メーカーはガラケーでグローバルな経営戦略を欠き、携帯電話の世界シェアで中韓台メーカーと差がついた。アップルやサムスン電子の成功から学ぶ点も多い。ICT市場はまだ成長過程にあり、シェアを取れる分野はこれから多く出てくる。これまでの失敗をどう生かすかが日本企業にとってこれからの成長のカギになりそうだ。
出典: http://www.asahi.com/digital/nikkanko/NKK201208170007.html
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