これまでも両社は風力発電設備のビジネスで提携関係にあった。富士重工がブレード(羽根)や動力伝達機構の供給、設備の組み立てなどを担当し、日立は得意の発電システムを担当していた。一方、営業・販売面は日立が一手に引き受け、後発ながら国内シェアを徐々に高めてきた。今回、日立は買収によって事業のスピードを一気に加速しようともくろむ。「製販一体になったことに加え、風力関連の技術者が1つの部隊になったことで、開発スピードも上がる。本格的に風力発電事業に打って出る体制ができた」(日立製作所電力システム社の発電システム本部の大和田政孝チーフプロジェクトマネージャー)。買収が完了して間もない7月12日、日立は出力5000kWの洋上風力発電設備の開発に着手したことを発表した。
日立は、このダウンウインド型が、洋上浮体風力発電で強みを発揮するとみている。洋上浮体風力とは、海水に浮かべた設備の上に風車を設置する方式。水深が40m以上だと海底に基礎を据える「着床式洋上風力」よりもコスト面で有利とされる。遠浅の海域が少ない日本では浮体風力が主力になると見られている。実際、プロジェクトが動き出した福島沖は水深100mにもなり、選択肢は浮体式しかなかった。
洋上では、風は海面と平行に吹いている。ところが浮体式の場合、強い風に押されるとタワーがやや風下側に傾く。このため、アップウインド型だとブレードの回転面は水平よりも上方を向いてしまう。しかしダウンウインド型なら、かえって風と正対するように設定でき、風のエネルギーを電気エネルギーに変換する効率を上げられる。洋上風力の稼働率は、地上風力に比べて10ポイント前後も高い。このため、わずかな効率向上でも発電量のかさ上げに大きく貢献する。
洋上風力発電は、まず欧州を中心に着床式が稼働している。回っている風車はシーメンスなどすべて欧州メーカー製だ。日本が費用対効果の高い浮体式風力事業に成功すれば、日本製風車を中心に国内市場が拡大し、欧州を逆転できる可能性もある。現在、洋上風力のプロジェクトはアジアでも目白押しだ。洋上風力の発電コストが下がり、市場が世界的に広がれば、着床式以上に浮体式の潜在的な市場は大きい。
日本が先行した太陽電池では、技術的な差別化が難しく、中国勢のコスト競争力の前に苦戦を強いられている。風力発電で、同じ轍(てつ)を踏まないためには、他社にまねのできない技術的な差異化戦略を徹底することが求められている。
出典: http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK25033_V20C12A9000000/?n_cid=DSTPCS003
AIが侵食し始めた日米の若者雇用 ブルー… July 17, 2026
欧州の防衛ドローン企業が日本に製造拠点 … June 23, 2026
「足りている」のにナフサ不安 政府説明… June 18, 2026
PR
コメント新着
キーワードサーチ