低コストで電子機器を生産できる海外EMS/ODM(機器の受託生産サービス・相手先ブランドによる設計・生産)企業の利用を真剣に検討する企業が増えてきた。ある大手電機メーカーは電子機器の新製品全てについて、生産開始前にEMS/ODM企業への生産委託を検討することをルール化した。従来は自社生産が当たり前だったハイエンド機器も例外ではない。長引く円高などの影響で、海外EMS/ODMでの生産の有利さが際立ってきたためだ。電子機器に加えて、自動車に搭載する電子装置も対象になってきている。EMS大手の米ジェイビルサーキットの日本法人、ジェイビルジャパンによれば「最近、国内で特に車載機器関係の引き合いが強まっている」(木村正雄・営業本部本部長)という。不具合がクルマの安全性に直接影響を及ぼす重要保安部品は別としても、それ以外のカーナビゲーションシステムやカーオーディオ、キーレスエントリー・システムなどで海外EMSへの生産委託の検討が進んでいる。
パイオニアは2012年9月中旬、インドネシアのEMS企業と提携し、13年春をメドに現地でカーオーディオなどのカーエレクトロニクス製品の生産を始めることを発表した。インドネシアは自動車市場の大きな伸びが期待できるうえ、同国で造られる自動車の大半が日系メーカーの製品であるため、進出を決めた。自社の海外工場ではなくEMSを選んだのは、労務管理上のリスクを避けるためである。
海外EMS/ODMを使いこなす上で重要なことの1つが、「相手を指導できるくらい、生産技術面での実力を持つこと」(ソニー)。ソニーはパソコン「VAIO」のノート型機の最上位機を国内で生産し続けており、生産技術を維持していることから、「相手の言いなりになることなく、適正なコストと品質で調達できる」(同)という。ただし、ソニーは最上位以外の機種の生産を全てEMS/ODM企業に委託している。生産量は、自社生産分よりもEMS/ODMへの委託分の方がはるかに多い。
ここで、生産技術面での実力を持つことと並んで、「対等なパートナーとして位置付ける」ことが重要だという指摘がある。これまで国内大手メーカーの多くは、海外のEMS/ODM企業と「下請け」的意識で付き合ってきたことから、あまり上手に使いこなせていなかったというのだ。計画的に生産を依頼するよりは、急な需要増大や突発的な事故発生などの事情のある際に急きょ発注する、といった使い方が少なくなかったという。
海外メーカーは日本のサプライヤーを下請けと見る習慣がなく、対等なパートナーとして処遇する。国内メーカーの下請け的意識が抜け切らないようだと、国内サプライヤーはやがて海外メーカーに取られてしまう危険がある。出典: http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD1204A_S2A111C1000000/
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