acでの通信には5ギガヘルツ帯の周波数を使う。従来の無線LANで使っていた2.4ギガ帯は既に多くの無線LANの電波が飛び交い、電子レンジや無線マウス、コードレス電話などが発する電波とも干渉する。そのため、電波を占有しにくく通信速度低下を招きやすかった。5ギガヘルツ帯は原則無線LAN専用に割り当てられた帯域で、利用中の無線LAN機器も2.4ギガ帯に比べ少ないため混雑しにくい。
acを使った高速無線LANが普及してくれば、自宅で光回線につないでいるときしか使えなかったアプリも外出先で気軽に利用できる。たとえば、ハイビジョン画質の動画や「ドラゴンクエスト10」のようなオンラインゲームのように、膨大な量のデータを長時間にわたって受信し続けるものだ。通信会社はこれまで携帯電話網の負荷分散を狙って公衆無線LANを整備してきた。だが、思ったように利用者を誘導してこられなかったのが実情だった。
「LTEの方が速いのにメリットがあるのか」「中途半端に電波をつかみ、ネットが遅くなる」「接続時にログインが必要で面倒」--。こんな悪評が利用者の間ではささやかれていた。
acの導入と並行してドコモやKDDIは、こうした不評を改善するための工夫もしている。例えば利用者の近くに公衆無線LANのアクセスポイントを発見したら、利用者を待たせないよう2~3秒で即座につなぐ。一方で、遠くにある電波の弱いアクセスポイントは、仮に発見できてもつながない。「快適なacの世界を実感すれば、電波の種類の違いを気にせず公衆無線LANを使いたくなるはず」(KDDI)。公衆無線LANの利用者が増えれば結果として携帯電話の混雑が解消され、利用者側のメリットにも結びつく。
20年に東京五輪開催が決まり、外国人観光客への「おもてなし」に昨今注目が集まっている。日本は海外に比べ、外国人観光客が公衆無線LANを気軽に使える環境が整備されていないことが指摘されている。ac対応を機に、高速無線LAN環境を生かして動画などで東京を街案内すれば、ほかのどの国より先進的な日本のIT(情報技術)の強さを伝える好機になるだろう。
出典: http://www.nikkei.com/article/DGXBZO65560200Q4A120C1000000/?n_cid=DSTPCS003
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