ユビキタスモバイルの夢

July 30, 2016
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アップルが厳しく販売現場を管理する先進国では考えられないが、インドでは一部のiPhoneは実店舗で正規価格より1割近く値引き販売されている。ネットでも値引き販売は珍しくない。複数の通信会社と契約し、端末は量販店や通販で買うインドではアップルが得意とする通信会社を通じた厳しい流通管理も通用しない世界だ。

 26日の電話会見ではクックCEOは「我々はインドに(直営の)小売店を開く計画だ」と語気を強めた。専売の直営店ならアップルが厳しく現場を管理できる。だが、インドにアップルの直営店はない。直営店で売る商品は、価値の30%以上をインドで調達しなければならない規制があるからだ。

 印モディ政権は製造業育成策「メーク・イン・インディア(インドでつくろう)」で自国生産を奨励する。アップルが値ごろ感を出すため中古再生品を販売するのにも認可がいる。クックCEOは自ら訪印し、トップ外交で規制緩和を求めているが、政権の根幹となる政策と矛盾する要求を実現するのは容易ではない。

 頼みの綱はiPhoneの印生産を検討する生産委託先、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による現地生産。だが、インド市場では価格が高すぎるアップルに対応する優先順位は低く、立地もなかなか決まらない。

 一方でホンハイは販売シェアを急激に伸ばす小米(シャオミ)、オッポなど中国勢の生産受託は印南部ですでに始めている。こちらの生産台数はうなぎ登りだ。

 「インドのほぼ半分の人がアップルを知らない」――。

 米金融大手モルガン・スタンレーが4月下旬にまとめた調査では、アップルの認知度はスマホメーカー中10位で50%強にとどまった。80%強の首位韓国サムスン電子に大差をつけられ、中国のレノボ・グループをも下回る。アップルがインドの中間層へのマーケティングにこれまで本気で取り組んでこなかった結果だ。

 インドは17年にも米を抜き、中国に次ぐ世界第2のスマホ市場になる。中国販売が減速するなか、アップルはインドを次の巨大市場と位置づける。だが、インドは通信網もマーケティングも地域ごとに大きく分かれている。設備の更新や市場への浸透には時間がかかる。庶民とは無縁の高級ブランドと位置づけられるアップルの印スマホ市場におけるシェアはわずか2%程度にすぎない。

 「インドの長期的な成長性を楽観的にみている」。クックCEOは最近、決算発表のたびに中国とインドを並べてこう強調する。だが、規制緩和に向けた政府との折衝、生産委託先の整備、マーケティング。アップルがインドで抱える課題はどれも時間がかかるものばかりだ。今のところ楽観的にみてもアップルのインドビジネスが中国とならぶ事業の柱になる規模に到達するには相当な時間がかかると考えざるをえない。





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最終更新日  July 30, 2016 10:53:27 AM
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