Mの部屋ブログ

Mの部屋ブログ

PR

×

バックナンバー

2026年10月
2026年09月
2026年08月
2026年07月
2026年06月
2026年05月
2026年04月
2026年03月
2026年02月
2026年01月

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

輝絽リスト

輝絽リスト

サイド自由欄

設定されていません。
2009年08月22日
XML
     4 後

「? 州上、おまえ教えてなかったのか?」
「……いや、あの人がしゃべっているものとばかり……」
「確かに、嬉々としてしゃべりそうな気もするが……いや、問題なのは、ここでソレをしゃべっていいのか?」
「という事は、もしかして私の事も……?」
「え? 何、何のこと?」
「知らない可能性が高いな」
「……そうね。って! そもそも、なんであなたが知っているの? 一応機密になっているのに! どこまで知っているの?」
「州上家の複雑な関係、って事ぐらいかな?」

「と、ここまでほのめかしちゃったら、保持にしゃべらない事にはいけないよな?」
「……私が言うわ。あの人が故意に内緒にしていたのなら、ソレに反抗するのも面白いわ」
「そうそう、人間反逆精神を忘れたらダメだぜ?」
「言っていなさい」
 沙理菜は一度深呼吸をすると、つぶやくように告白を始めた。
「あの人……ネリュート・シュガーミは、代144代サンクロバ女王、セリューナ・シュガーミの第一王女。現段階で王位継承権第一位にいるわ」
「え? エェッ? ……あ、えっと、そ、そんな、そんな凄い人だったの?」
「もう一つ、いや、もう二つぐらいあるだろ、州上?」
「……言えばいいんでしょ、言えば! そしてその王女ネリュートは、私の……私のは……」
「お姉さんで~す」
『え?』

「なによォう! サリーまで驚く事ないじゃない」
「し、しかし……」
「私はあなたのお姉さん。違う?」
「……違いません」
「なら問題ないでしょ? ね?」

(確認というより、強制に見えるのは僕だけだろうか……?)
「ちょっと待ってください?」
「なぁに? 保持君?」
「えっと、州上さんの話では、ネリュートさん、いや、ネリュート様? 殿下?……」
「何を畏まっているの? いつものようにネリーって呼んで……」
「棚加君はそんな風に呼んでないでしょ!」
「いやねぇ、独占欲?」
「ち、ち・が・い・ま・すッ!」
「怒りっぽいサリーの事は放っておいていいからね。そんな事より、今まで通りでいいのよ。継承権一位の王女って言っても、一人の女なんだから……」
「そこは、人間って言うべきではありませんか?」
「サリーって、硬いわね。そんなんだと、おっぱいまで硬くなっちゃうゾ!」
「な……ッ!」
 沙理菜は顔を真っ赤に染め、怒ろうと思っているのだろうが、気持ちばかりが先走るのか、なかなか言葉にする事が出来ないようだった。
「そうだ! 硬くならないように、保持君にくんずほぐれつ、モミモミしてもらえばいいのよ」
「――ッ!」
 沙理菜がついに怒鳴ろうとした時、イリーナの声がそれを阻んだ。
「敵艦発見!」
 ネリュートの表情が変わり、いままで沙理菜をからかっていた軽薄な顔から、軍人の顔に戻った。
「こちらの位置を感付かれた様子は?」
「ありません!」
「それなら、通信素子を射出!」
「了解! 通信素子射出!」
 発見の報告から、とんとん拍子に準備が整ってゆく。その様子を見る限り、美女ばかりのメビルスとはいえ、彼女達が容姿だけで選ばれていない事を証明している。
「あぁ、そうか、なるほどね」
「え? 九十九、何か分かったの?」
 といった保持自体、何か分かった所でどうにかなるものでもない。
「ローレライはそういう仕掛けだったのか」
「あら? ばれちゃった?」
「反射性のある素子をいくつか経由させて、艦の位置の特定を困難にしていたんですね。アルバールでも使う戦法ですが……そうか、反射させた際に減衰する信号を増幅する技術の開発……」
「一応これも軍事機密なんだから、誰にも言っちゃダメよ?」
「あの、そんな重要な事を軽く言われても……」
「技術なんていつか公になってしまうものよ。いつまでも秘密を守っておけるはずがないわ」
「ご安心下さい。自分はこれでも口が堅いんですよ」
「信用しているわよ。じゃ、早速通信つなげて!」
 ネリュートの前に大き目のスクリーンが発生し、どこかで見覚えのあるカエル面が映し出された。
「あら、嫌だ。どこかの水族館と繋がったみたい」
 そう呟いて画面を消そうとしたので、カエル面の戦艦ウッズの艦長、ケネスは慌ててソレを止めた。
『おイ! こラ! 切るんじゃなイ! ソレよりなんダ! その破廉恥極まりない格好ハ!』
(絶対わざとだ……)
「はいはい。私がそんな格好をしていても、あなたに関係ないでしょ? それよりも、近所迷惑だから、広域に毒電波を流すの止めてくれない?」
 ケネスは一瞬不機嫌そうな表情をしたが、すぐにソレを飲み込んだようだ。
『残念だが、今回貴様に用はなイ。そっちにツクモ・ベルソードがいるナ?』
「いたら何?」
『身柄の引渡しを……』
「嫌。じゃ、交渉は決裂ね。さ、もう用はないでしょ? 切るわよ」
『待テ! 話はまだ終わってなイ! 最後まで聞ケ!』
「えぇ~? 私の精神衛生の観点上、これ以上あなたとお話することは、全力で拒否したいのですけど」
『いいから、ツクモ・べ……』
『ツクモ兄様ッ! そこにいらっしゃるのでしょうッ!』
 ガマカエルを押しのけて、どう見ても中学生ぐらいの女の子が画面いっぱいに映し出された。
「ア、アイク? なんでそんな所に?」
『兄様の馬鹿! この恥さらし! 兄様の考えなしの行動で、ベルソードの家が……あぁッ! オジサン邪魔! あっち行っていて! ――私達がどれだけの汚名をかぶったか分かっているのですかッ?』
 主導権を取り戻そうと割り込んできたケネスを押しのけ、アイクと呼ばれた少女は画面にかぶりついてきた。
「あぁ、そうか。そりゃ申しわけない」
『謝ってすむ問題じゃありません! お父様から伝言です!』
「おやまぁ、勘当かな?」
『ツクモ兄様の今の刀席を除するって! 今ならまだ間に合うかもしれないわ! 私と帰ってお父様に謝りましょう!』
「そうか……父上は“今の刀席”と言ったんだな?」
『えぇ! ツクモ・ベルソードの持つ現在の刀席を序する。羽織を着たければ誰かに譲ってもらえ! だそうです!』
「……まいったな……アイク、悪いが親父様に『マジッスか?』と聞いてきてくれ」
 九十九の小馬鹿にした返答に、アイクと呼ばれた少女の顔は真っ赤に染まった。怒りが頂点まで来た、そんな感じだ。
『私は伝書鳩じゃないのよ! 自分で言いなさいよ!』
「……悪いな。アイク。それは出来ない」
『な! 何で? なんでよ兄様!』
「理由は言えない。だが、親父には『マジッスか? でもしょうがないッスね』と……おっと、そうだ。『しょうがない』というのは、生姜が無いという意味じゃないからな?」
『ツクモ兄様ッ!』
「あ、もう、簡単に了解した。と言っておいてくれ」
 九十九に戻る意思が無いことを悟ったのか、彼女は溜息を吐くように呟いた。
『……分かったわ。実はもう一つ、お父様から言付かっているの』
「おや?」
『ベルソードの名を汚す輩を野放しには出来ないわ! ツクモ兄様! せめて私の手で……って、ちょっと! オジサン、邪魔だって、キャァァッ! どこ触っているのよ! この変態ッ!』
 アイクが懐から剣の柄のようなものを取り出すと、即座に光刃を発生させケネスに振りぬいた。
 さすがに守護システムに阻まれたが、その衝撃で散った多大な火花が通信機器に影響したのだろう、そこで通信が途絶えてしまった。
「……ツクモンも大変ね……」
「えぇ、まぁ……それより実はお話があるのですが」
「何?」
「ちょっと防音壁を張っていただけますか?」
「あぁ、うん、了解」
 二人の周囲に半透明の光の壁が発生した。防音壁というだけあって、二人は中で何かをしゃべっているが、全く聞こえない。
「ベルソードの刀席、刀番の剥奪……重罪ね」
「?」
「あぁ、棚加君が知らないのもしょうがないわ。ベルソードというのはね、サンクロバを発祥とする宇宙一の剣術道場、それがベルソード流剣術。彼はそこの跡取り」
「あ。俺四男だから。道場は兄貴達の誰かが継ぐだろうから跡取り問題には関係ないから」
 ネリュートとの内緒話がすんだのか、九十九が会話に割り込んできた。
「で……さっきのが妹のアイクだ。普段はおとなしいのだけど、たまにな」
「それはあなたの言動が原因じゃなくて?」
「だろうなぁ……兄三人は道場を告ぐべく、稽古ばかりの毎日だったし、一番下のアイクは俺と遊ぶしかなかったから。昔は懐いていたんだけどなぁ……最近じゃ、あの調子さ」
「ツクモンって、女心をわかっていそうで、わかっていないのよね~」
「はは、これは手厳しい」
「宇宙一と名高いベルソード流、正規の門下生は数千人単位」
「数千?」
「これでも少ない方よ? だって流派に入門するには、厳しい試験があるもの。誰でもは入れるわけじゃないのよ」
「へぇ……」
「で、貴方の刀番は? あ、刀番というのはね、ベルソードの番付けね。当主の一番を筆頭に、順番がついているの」
「ハハハ……四一六八番です」
 決してそれは高い番号じゃないことぐらい保持にも分かった。そしてリアクションに困った。
(一体どう言えばいいんだろう……?)
「それって、本家の人間としてどうなの? アイクちゃんがあぁなるのもわかるわぁ」
 保持が言えなかった事を、ネリュートが何の抵抗もなく口にした。
「ははは、これは耳に痛い」
「でも、厳密に言えば、欠番があるじゃない? 順位はもう少し上なんでしょ?」
「欠番? さぁ? 数えたことないので」
「ふうぅ~ん。そりゃまぁ、そうよね。四一六八番もあれば、どれだけ開いているかなんてね」
「欠番というと、偉い人とか出たからとかですか?」
「相変わらずの着目点というか……いや、別に責めているわけじゃなくてだな……野球の背番号じゃないんだ。刀番は頻繁に入れ替わるんだよ。特に後ろの方の番号なんかはな。だから俺みたいな番号だと、あまり執着はないんだな」
「その辺がアイクちゃんのお気に召さない点じゃないの?」
「ハハハ、でしょうね。当主である父が一の太刀、叔父が二の太刀、一番上の兄から順番に三,五、九の太刀、叔父の所の従兄弟で四、七と上位はほぼウチで占拠していますからね。実質、一桁台はベルソード家の者が受け継ぐのが定例ですから」
「六、八番が抜けていたよね?」
「お、鋭いな……さっきの欠番にも関係あるんだが、うちの流派は“裏がない”事を精神論として前提にしているわけなんだな。だもんで裏から……あ、ウチの流派の正装は、道着もしくは袴に陣羽織なんだよ。羽織の背中にでかでかと自分の番号の入った、な。それで背中に背負うその数字が裏返しても読める数字は欠番になっているんだ。六とか八は裏からでも読めるだろ?」
「あ、漢数字なのね。それじゃ、一、二、三……無理すれば四もそうなんじゃないの?」
「一から五……まぁ、実質はその一、二、三、四なんだが、それは例外。そうじゃないと番号つける意味がないだろ? 五番だけど、実際は一番上です。と言うのもあからさまに変だろ? しかし、そんな理由で結構番号は抜けているんだよ。全く誰がそんな面倒な事考えたんだか……」
 色々面倒な事があるようだ。しかしそれが古くからの伝統なのだとしたら「ぶっちゃけぇ~ それって、ちょ~面倒なんでぇ~ やめま~す」というわけにもいかない。
「あ……敵艦から小型艇が射出されました。形状からして小型連絡艇です」
 イリーアがポツリと言った。正にそんな程度の出来事だったのだ。全員が九十九の話に耳を傾けていた事もあるが、この状況で救命艇が発射されるような状況を予測できるはずがない。
 しかしその状況が起こってしまえば、おおよその予測を立てることも可能だ。
「まぁ、この状況じゃ、キマリよね……」
「……あの馬鹿……」
 あの小型艇にはさっきの女の子……九十九の妹のアイクが乗っていると考えて間違いないだろう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009年08月23日 01時12分11秒
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: