『「羅生門」「河童」 他』
羅生門、鼻、地獄変、舞踏会、薮の中、将軍(抄)、トロッコ、河童(抄)
たった35年間という短い生涯ではあったが、
芥川龍之介が日本近代文学史に残した業績は、限りなく大きい。
大正時代を代表する芥川の文学は、
成熟と破綻の間で苦悩した時代の象徴であり、芥川の自死とともに、
昭和という激動の時代がはじまった。
各時期を代表する8編の作品をとりあげ、作品の書かれた背景、
作品を読むヒント、コラム、エピソードを豊富に織り込んだ。
映画 『トロッコ』
を観て、教科書に載ってたはずだけど、
どんな話だったっけ?と忘れていたので、読んでみました。
『鼻』や『蜘蛛の糸』も、もちろん読んだことはあったけれど、
あれ、こんな話だったけな?なんて思ったり。
読んだ年齢によって、感じる部分、思うところが違ってくるのかしら。
という、芥川作品のみならず、その作品が書かれた背景、
時代考証や、作品を読んだ世間の評価、同期に活躍した文化人たち、
芥川自身の生活や心象をも、詳しく述べられている。
著者の私生活や思想が著書に現れるのは自然なことであって、
当然芥川作品にも、その時々の芥川の生活や思考が現れている。
伯父伯母に引き取られ、養子として育てられた子供時代、
成績優秀だった学生時代、同時代の文芸人たちと切磋琢磨し、
夏目漱石に認められ、精力的に活躍する20代、病を得て、
心身ともに弱り、発狂して亡くなった母の遺伝に怯える後半生。
追われるように書き続けたと言う彼の作品には、どこか、
禍々しいものがあるように感じるのは、そういった背景のせいか。
そして時代も激動の時を迎え、その激流に否応なく飲み込まれた、
芥川龍之介。
命を絶つにはあまりにも早すぎたけれど、流れのあまりの強さに、
そうするしかなかったのか。
もう少し長く生きていたら、一体どんな作品を書いたのだろう。
そんなことを思った、一冊でした。
メイキング・オブ・マッドマックス 怒り… 2015.07.24
『家族の言い訳』 著:森浩美 2015.02.07
『あなたに褒められたくて』 著:高倉健 2015.02.05
PR
キーワードサーチ
カレンダー