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仕事で、最後のタイルカーペットを裁断してた時、
急に、仕事をする彼の姿が頭に浮かんだ。
もう、彼はかなり体を悪くしてて、それでも働こうと
大量の汗をかきながら、何枚も布を裁断していると電話で話していた。
体の痛みを抱えながら、布を裁断する彼の姿が、
腰の痛みをごまかしながらカーペットを切る自分に重なった瞬間、
私は彼になった。
それから、どうしてあの時、
いや、もっともっと前に、
彼の辛さを分かってあげられなかったんだろうって。
合わない労働。
延々と続く苦痛。
自分の中の眠る、光る種に水をあげる仕事は楽しい。
辛いことがあっても、その後ちゃんと達成感と共に幸福になれるけれど、
ただ、金銭のために動かす体も心も、苦痛でしかない。
しんどかったね。
やめていいよ。じゅうぶんだよ。って、言ってあげられなくてごめんね。
働くことに疲れたら、生きることにも疲れてしまう……
私にも経験があったのに。
でもこうやって生きていると、言葉や記憶は一瞬に時間を遡って、
ふっと、再会することが可能なんだと確認した。
時間って、何だろう。
その時々に交わした会話は、すれ違っていることの方が多い気がする。
あの時のこと!……を、話したがっていたあなたと、
聞きたくないと制した私。
今は、聞けていたら良かったなぁと思う。
すぎる時間の中で、私の言葉も、いつか、あなたに届くかな。
そう思って、ここに記録してる。