Angelica Keiskei

Angelica Keiskei

2018.06.01
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カテゴリ: 観劇
東京、新国立劇場まで「ヘンリー五世」観劇に行ってきました。



シェイクスピアのこの史劇のシリーズ、ヘンリー六世から見に行ってるんですが、見るたびに良い意味で裏切られて、今回も予想もしていなかった感想に打ちひしがれっぱなしです。
シェイクスピアの史劇って難しそう…てイメージしかなかったけど、実際お芝居で見るとこんなに面白いのか!て初めて知った作品でもあります。
それより前はディカプリオのロミジュリぐらいしか知らなかったんじゃないかな…

最初のヘンリー六世は2009年。三部作なので二泊三日で見に行きました。
若かったですね、マチネ見て夜ディズニー行って、マチネ見てソワレでレミゼ見て、マチネ見て出待ちして帰った覚えが(笑)

もう今ではマチソワ観劇もほとんどしませんが。

そしてほぼ同じキャスト、スタッフでリチャード三世、ヘンリー四世(二部作)と続き、今回ヘンリー五世です。



ロビーにはヘンリー六世の時に使われていた王座が置いてあり、撮影スポットになっているのですが、あの舞台上にあった王座…!と思うと畏れ多くて近づくことすらできずに写真撮るのみです。


舞台裏見学ツアーとかはお客さんとして入るから平気なんだけど。
いやロビーだってお客さんとして入ってるんだけども。
何か聖域的な感じがしてるのかも。謎。



そして揃ったパンフレット。嬉しい。

ちょっと長くなりそうだけど感想を。

シリーズを通して全作、9列目あたりまで座席を潰して、舞台上を広々と取っている形でした。
最初にチケット届いた時10列目くらいだと思って気楽に行ったら二列目で腰抜かしそうになった覚えが(笑)

舞台の奥の方がせり上がって丘のようになっていて、手前に池もあって、色合いも含めてヘンリー六世の時の舞台と似た印象。
六世の時と違うのは人が死んでもバラが浮かばないことですかね。
浮かばせるチャンスないけど。
そして前作ヘンリー四世から使われている、木製のバリケードと玉座、王冠。



今回は冒頭から予想してた王と全然違いました…
私は最初から最後まで、浦井くんが演じるヘンリー王が怖くて仕方なかったんですよ。

ヘンリー五世はすごく人気のある王様だし演目でもあるから、無意識に冷酷さや荒々しさ、恫喝とは無縁だと思っていたのかも。
戯曲読んでる時もそのイメージはなくて、ホロウクラウンのトム・ヒドルストンも温厚で高貴な印象だと思ってたから。

浦井くんのヘンリー王は、一歩間違えたら暴君なのでは?と。

それでいて脆い部分もあって、いろんな意味で怖い。

若いうちに放蕩して民衆となれ親しみ、もちろん貴族の間で育ってるわけだから、すごい広い範囲の人に「届く」言葉を知っているのかもしれないな…と。
人に「逆らわせることをさせない」タイプの人。
孤独すぎて虚勢を張ってますます孤独になっていくんじゃないだろうか、と心配になる。
手袋のシーンで「あっこの人ハル王子だ」と思たけど、あれ戦争に勝って超テンション上がってた時だったしね。
バードルフが処刑されると知った時の動揺とか、なにかそれをやめさせる手はないかとすごい考えたんだろうけど、他の人たちの前では冷静な顔をして見せて、内心神を呪ったんじゃないだろうか。

二幕冒頭の説明役が王の弟たちで、セリフの陽気で元気な王の姿とは裏腹に、思い悩み疲れ切った王の姿があったの、すごくよかったなあ。
彼らはもしかしたら王のそんな姿を何度も見たのかもしれない、それでも彼の死後はそれを語らず、立派な王だったと伝え続けたのかな…とか。
それはあるいは六世にとって過剰なプレッシャーであり続けたかもしれないけれど。
弟たちが支えになっていたらいいなあ。

キャサリンも大きく印象が違っていた一人で、中嶋朋子さんがヘンリー六世、リチャード三世でマーガレット演じて呪いまくってたの思い出したらほんとに驚愕なんだけど、あまりに非力で運命に流されていて可哀想で仕方がない。

英語の勉強のシーンも、プロポーズのシーンもどこか可愛くてほっこりするシーンだと信じていたよ私は…
あんなに見ていてツラいと思わなかった…
彼女にしてみれば、幼い頃から知っているなんとかのおじ様とかどこそこのお兄様をたくさん殺した相手でしかないわけだし。

そして娘を気の毒に思いつつも、表立ってそれを伝えることができないフランス王妃ね。
彼女もまた政略結婚だったのだろうなあ。

フランス兵たちの徹底した軽薄さ、まとまりのないさも面白い。
ヘンリー六世の時もそうだったけど、シェイクスピアの時代のイギリスとフランスってほんとに仲悪いんだな、と。
そしてヘンリー六世の時のフランス皇太子とこの皇太子、さすが血縁だわ、ホント同じ血を感じるわ(笑)と思ってたら、同じ役者さんでしたね…
てことはそれを狙ってたってことですね。
ちゃんとひっかかりましたね。確かに親戚ですあの人たち。

そしてラストの説明役は女性3人なのがまたいい。
ヘンリー六世時代の話は以前この舞台でお目にかけました、て、マーガレット王妃とエリザベス王妃の中の人が言うって鳥肌出たわ…

このシリーズって父と息子の話であると同時に、時代に翻弄される女性たちの物語だと思っていたので。
そしてヘンリーとキャサリンが結婚して子供をもうけても、その子供も孫も殺されてしまうんだなあ…と哀しい。


連続するシェイクスピアの史劇で、あと上演していないのはリチャード二世だけなんで、数年後にきっとやってくれるだろうと信じてるんですが、今回のヘンリー五世を見て、すごく浦井くんのボリングブルックを見たいな、と強く思うように。

ハル王子はどのような父の姿を見て放蕩するようになったのかな…とすごく気になって。
彼は幼い頃はリチャード二世の元で暮らしていたそうなので、その辺も気になるところ…
だからリチャード二世のために教会建てたりしたのかな…とか。
ヘンリー四世見て、反発だけではないのを感じてたけど、四世の若い頃をすごく見たい…


残念ながら舞台は終演してしまうともう見れないけれど、それぞれ1、2回しか見ていないのに、強く印象に残る作品ってすごいですね…


この史劇のシリーズはホロウクラウンでも見たのですが、どちらも解釈全然違ってすごく好き。
シェイクスピアはセリフ以外には入退場と(死ぬ)とか以外の指示がないから、作品ごとに解釈が違ってすごく面白くてすっかりハマってます。
だってまったく同じセリフなのに、ちょっとした表情や動きで受ける印象が全く違うから。
戯曲で読んだら睡眠導入剤だけど(笑)、舞台なんかで見たら眠くなってる暇ないですね…

ちなみに個人的な印象、ホロウクラウンのハル王子はちょっと怖くて即位してからは温厚で、新国立のハル王子は可愛がられてて即位してから怖い感じ。
語り出したら長すぎるのでザクッと。


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最終更新日  2018.06.01 20:00:05
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