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花屋は「お彼岸モード」に突入なのです御徒町を訪れるお墓参り軍団に菊を売って売って売りまくるのですそれにしても、お彼岸に30度はないよね墓の下もビックリでしょなので、今夜は第四夜で少しだけ菊の海から抜け出したい読んで下さるいや、いや、せっかくだから読んでってでわでわ 彼女の笑顔に魅了されながらも僕はピアノに集中する。可愛らしい花の微笑みとは対照的に彼女の音は熱く、一音一音が明確な意志を持って語りかけてくる。意識を音に集中しないとヤケドしそうな勢いだ。ワンフレーズ演奏しただけで彼女がいかに優れたベース弾きかが分かる。音は深く、ウッドベースのような音色で的確にビートを刻んでくる。早いパッセージは少し走りすぎのような気もしたが、デュオのリズムの薄さを考慮して、弦を強めに弾き空間にアクセントを付けてゆく。僕はと言えば、可愛い女の子に良く思われたいという下手な意識が音を曇らせ、迫ってくる容赦のないレベルの違いに心は焦り、次第に両手の動きは鈍くなっていく。唇を固く結んで、少し歪んだ彼女の横顔が、そのまま鏡のように僕のピアノを現していた。固く閉じた彼女の心と歪んだピアノの音は僕を更なる袋小路に追い込んでいく。泣き入りギブアップ5秒前。その時、真っ白な迷宮入りの頭に聞き慣れたお師匠さんの声が聞こえてきた。「難しい事を考えることはない。ジャズってのは会話だよ。」「音階という言語とコードという文法を使った会話なんだ。」力強く、それでいていつものように優しく声は続く。「ジャズを演奏するときに大切なことは相手の話を良く聞くことさ。そして、誠実に答えることだ。」ピアノとベースの音を縫うようにお師匠さんの言葉が響いてくる。「きちんと相手の声を聞いていれば、相手の望むことも分かってくる。誠実に答えていれば自分のことも分かってくれるさ。」彼女のラインの早さに違和感を覚えながらも、僕の左手は必死についていこうと足掻き続ける。彼女は相変わらず唇を固く結んだままだ。「きちんと相手の声さえ聞いていれば・・・・」僕は自分に言い聞かせて、彼女の音に注意深く耳を傾ける。そして、自分の音と彼女の音の距離を確かめる。僕の心と彼女の心の距離を確かめる。「相手の望むことも・・・・」すると、彼女が意識的に早いラインを取ってることが分かってくる。もともと、アフタービートを意識しすぎて遅れ気味な僕の左手を考えて、彼女はラインのスピードを絶妙にコントロールしている。思いきって僕は左手のテンポを元に戻す。遅れ気味の左手と、絶妙に早いラインは繰り返すたびに微妙なズレを起こして、心地よいスイング感とスピードを生んだ。「いいかい、ジャズは1+1が無限の世界なんだ。じゃなきゃ、ジャズを演奏する意味なんてないよ。そうだろう。」彼女は顔を上げると、僕の顔をしばらく眺めて「うん!」と大きく頷き、微笑みながらウィンクをした。「だから、最低限のルールをしっかりと守りながら、色々な事に囚われるな。お前のギアは常にニュートラルにしておくんだ。ナチュラルに相手を心で感じろ。それが出来たら、お前の指は鍵盤の上で勝手に踊り出すさ。」お師匠さんの声が次第に小さくなってゆく。「いいかい、これは音楽に限った話じゃないぜ。」声は薄くなり、代わりに笑顔だけが浮かび上がる。「お前の人生の話だ。」 その瞬間、彼女のベースが僕の中で光の粒のように弾けだし、自由を手に入れた僕の両手は鍵盤の上を彼女の手を取り踊り始めた。彼女は本当に嬉しそうに何回も「うん。うん。」と頷きながら、僕たちの「ブルー・モンク」はエンディングへと向かっていった。・・・・・もう少し続きます。 今夜は、セロニアス・モンク!!アルバムは「セロニアス・ヒムセルフ」残念ながら、「ブルー・モンク」は入ってないのだけれど、ソロピアノの名盤です。ジャズピアニストで一番好きなピアノ弾きは?ジャズのアルバムで一番好きなアルバムは?答えはたくさんありすぎて言えません!になってしまうのだけれど、あえてソロピアノに限定ならばこのアルバム。僕はとにかくモンクが好きで、あまり楽しいことがなかった高校時代に救いのようになってました。モンクの音は、僕の心にいつも鋭角的に入ってくる。それは、あらゆるものの中心であり、また対極のよう。他のピアニストにはない一音の響きがあって、それは全ての異なる感情を内包して僕の意識に楔を打っていく。僕の心の中には今でも、そしていつもモンクの一音がある。なので、ソロピアノ!でも、最後の「モンクス・ドリーム」はコルトレーンのテナーとウェーバーのベースのトリオで、これはソロに負けないくらい素晴らしい演奏です。モンクの鋭角的な音にコルトレーンの繊細な音は非常にマッチしていて、ウェバーのベースがまとめるみたいな。言葉では言い尽くせないモンクの世界は、今でも僕の世界の一部になってます。というよりは、僕の中心になっている。ということで、今夜もお付き合いありがとう。そろそろ、秋の気配も感じる夜です。素敵な秋になりますように。
2010年09月17日
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そんな訳で、路上労働者には異常に辛い夏になっております。しかも、忙しいならまだしも。普通に考えたって、炎天下の中ですよ、庭いじりをしようという酔狂な人はそんなにいないわけです。そんな、花屋モンタの罰ゲームにも似た、安月給炎天下耐久一人我慢大会は果てしなく続くのです。ロマンチックな秋の夜を祈りつつの第三夜。でわでわ、お暇なら! 受け取った鍵を手の中で遊ばせながら、僕は部室へと向かう。この大学は都会の真ん中にあって、いわゆるキャンパスというものがない。だから、綺麗に刈り込まれた芝生に寝転んだり、爽やかな風の吹くベンチで愛を囁いたり、静かな木陰で思索に耽ったりというキャンパスライフを夢見てしまうと、かなりがっかりしてしまうことになる。悲しいくらいに特徴のないビルは、大学の名前が彫り込まれたプレートを見過ごしてしまうと、鳥の頭を持たずとも3歩目で忘れ去られるだろう。どちらかというと、入り口にタイムカードがないのが不思議なくらいだ。部室はこの悲哀に満ちた学舎の屋上にあった。お盆の時期もあって部室には人影もなく、備え付けのアップライトピアノだけが僕を歓迎してくれた。所狭しと置いてある楽譜や譜面台、アンプなどを掻き分けて窓を開けると屋上らしい涼しい風が入ってきた。さほど思い入れもないサークルだったけれど、誰もいない音に溢れた空間は悪くなかった。退部届を机に置いてピアノに腰をかける。キザっぽくて照れくさかったけれど、僕なりの「さようなら」をしようと思った。何を弾こうかとしばらく鍵盤の上に何も考えずに指を遊ばせる。しばらくして自然と浮かんできたメロディはセロニアス・モンクの「ブルー・モンク」だった。カーテンを揺らす夏の風がピアノに合わせてハミングしてるみたいで心地よかった。ふと、頬を撫でる風の流れが変わった。風の行方に目をやると、いつのまにか部室のドアが開いていて、そこにハードケースに抱えられるように立っている見知らぬ女の子がいた。その時、とっさに花を思ったのは、彼女の着ていたワンピースの柄のせいもあるが、短めの髪に大きな瞳でハードケースを背に凛と立つ彼女は確かに美しい花を連想させた。驚いた僕が腰を浮かせると、彼女は形の良い唇に右手の人差し指をあて、左手で”そのまま”と僕を制した。彼女は「タンタンタン」と、ピアノに合わせてリズミカルにつぶやき、近くのパイプ椅子に腰を掛けると慎重すぎるくらいの丁寧さでベースを取り出し、アンプを引き寄せてコードのプラグとヘッドフォンを差し込んだ。磨き上げられたサンバーストのフェンダー・ジャズベースは夏の空を美しく映し出し、彼女の膝の上で楽しそうに笑っている。どうみてもアンバランスな組み合わせも、まるで仲の良い双子のように見えた。相変わらず「タンタンタン」とリズミカルにチューニングを合わせると、今度は瞳を閉じて僕の音と自分の音の距離感を確かめるように細い指を太い弦に走らせる。そして、僕のピアノが佳境に入りかけた瞬間、首を左右に激しく振ってヘッドフォンを外すと同時に右足でコードを蹴り上げた。柔らかなワンピースの花が揺れると部屋の空気が重低音に弾けた。彼女は「良し!」と大きな声を出すと、僕を見て微笑んだ。その微笑みはハードな音色が一層引き立てる、美しい花そのものだった。・・・・・まだ、続く。 ということで、もう少し続くのですが・・・・・勘弁・・・・。今夜はパット・マルティアーノ「EXIT」から「COME SUNDAY」です。初めて「COME SUNDAY」を聴いたときに「40才くらいで、この演奏が似合う男になってればいいなぁ!」と真剣に、そりゃ真剣に思ったものです。数あるギタリストの名演の中でも、この演奏は特別なのです。聴いていると、あらゆる感情が波のようにやってくるみたいな。果たして、この演奏が似合う男になれる日は来るのか!!!う~~ん、まだ難しいね。と言うことで、秋の到来を期待しつつ眠るのです。まだまだ、罰ゲームは続きそうだけれど。それでは、続きはまた近々!読んで下さる方にはホントに感謝です。おやすみなさい。
2010年09月07日
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