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不安や恐怖を感じるたびに思い出す話がある。 安部公房の『日常性の壁』中学の教科書で読んでご記憶の方も多いだろう。人の蛇に対する嫌悪感が何に起因するかについて、安部公房は人類太古の記憶説、心理アレルギー説、さらに、《当然あるべきものが欠如しているゆえに、その日常生活が想像できない》という違和感説の三つの仮説を挙げて論を展開している。私はその当時でさえ、だからヘビは怖いのか、そして非日常的なものは怖いのかと、非常に関心というか納得した覚えがある。今でも何か自分の想像を超えるものと出会ったとき、言われようもない不安を感じるとき、ふとこの話を思い出す。嫌悪というのとはまたちがうのだけれど、ようするに「知らないから、こわい。わからないから、不安。」とビビっているということですね(^^;)ヘビと言えば、小学生の頃住んでいた自宅の裏に、池があった。(もちろん今でもあるのだけれど、大分変わってしまった。)底がどのくらいの深さなのかわからなくて、木がうっそうと茂っていて、近くに小さな観音様があって、昼間でも少し薄暗くて、子供ながらになんだか異様な、いや、神秘的な空間だと感じていた気がする。よくその池の周りで近所の子達と"かんけり"をして遊んだ。池で"よっちゃんいか"をエサにしてザリガニつりをしたこともある。同級生の男の子が池に落ちておぼれて、救急隊員の人に救出されていたのもいまだ鮮明に覚えている。ある日姉がその池をぐるりと回っている道を自転車で通っていると、幅4mくらいの道路いっぱいに大きな蛇がいたという。そして、そのままくるりと踵を返して逃げ帰ってきたと。その話を聞いてから、その道を通るたびに、池の横の茂みから日本昔ばなしに出てくるような大蛇が今にも飛び出してきて、私を丸呑みにしてしまうんではないかという恐怖を抱くようになった。そういう経験があるから余計に、『日常性の壁』を中学生になって読んだとき、恐怖・不安のシンボルとして記憶にしみついたのだろう。と、いつかどこかで書こうと思っていたこと。今日ふと思い出したので残しておくことにする。関係ないけれど、覚えているといえば、小学生の時に国語の教科書で読んだ「スイミー」。こちらもふと思い出したので、先ほどアマゾンで絵本を注文した。原風景、原体験というのは、現在の自分に非常に重要な意味を持つ。子供のとき何が好きだったか、何に夢中になっていたか、何を大切にしていたか、何を考えていたか、何を疑問に思っていたか。最近、そういうのをもっともっと思い出そうとしている。*****最近の私の弱音ブログを心配してくださったNさんが、とてもとても心強いメールをくださいました。もちろん、そんな心遣いに弱い私はパソコンの前で大泣きです。ありがとうございます。こうやって、人と人とのつながりで生かされているんだなとあらためて感じた次第です。M師匠も、S教授も、S社長も、ほとんど寝ずにお仕事に注力されていらっしゃいます。皆様のお体の調子を心配しつつ、私も今まで以上にパフォーマンスをあげていかなくてはと背筋の伸びる思いです。
May 8, 2006
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毎週日曜日に深層心理講座でお世話になっている吉本先生の『教師だからできる5分間カウンセリング』と、ブリーフセラピーの森俊夫先生、黒沢幸子先生の『解決思考ブリーフセラピー』『問題行動の意味にこだわるより解決思考で行こう』を読んで(からちょっとたっているけど)、感じたことを残しておこうと思います。でないと忘れちゃうから(笑)吉本先生の本では、リソースの発見、傾聴と共感、チューニング、ポジティブ・メッセージ、リフレーミング、メタフォリカル・アプローチの技法がそれぞれたくさんのケースとともに紹介されています。それらを現場で活用するとどうなるのかということが、とてもわかりやすく理解できます。日頃接している吉本先生自身がとてもやさしく、共感にあふれている方なので、しっかりと本の文章が頭に入ってきます。先生だけではなく、おかあさんにおすすめの本です。森先生の本は、夏休み中にワークショップに参加するため予習として読みました。森先生のブリーフセラピーでいう「解決」とは、「問題解決」のことではなく、「よりよき未来の状態を手に入れること」です。よりよい未来の状態が手に入った場合には、たいてい問題も解決しているという視点に立ちます。大事なルール(中心哲学)は3つ。 ルール1 もしうまくいっているのなら、変えようとするな ルール2 もし一度やってうまくいったのなら、またそれをせよ ルール3 もしもうまくいっていないのであれば、 (何でもいいから)違うことをせよそして、「問題の周辺にその人のリソースがあり、そこに能力がある」という考え方をします。これは究極のプラス受信ではないかと思います。いろいろボスの提唱してる内容とかぶることがありまた違った切り口のアプローチができそうなので、参考になります。さらに、4つの発想の前提というものの見方、考え方があります。 前提1 変化は絶えず起こっており、そして必然である 前提2 小さな変化は、大きな変化を生み出す 前提3 「解決」について知るほうが、 問題と原因を把握することよりも有用である 前提4 クライエントは、彼らの問題解決のためのリソース (資源・資質)を持っている。クライエントが(彼らの) 解決のエキスパート(専門家)である。 中心の考え方、基本姿勢をシンプルに言い切れるというのは、それだけその概念なり、メソッドなり、理論なりを実践し、最も大切な部分を抽出してきたからこそだと思います。最後に、解決思考ブリーフセラピーの創始者の一人スティーブ・ディ・シェイザーから「奇跡のプレゼント」Suppose that one night, while you were asleep,there was a miracle and this problem was solved.How would you konw?What would be different?How will your family know without your saying a wordto them about it?ある晩、あなたが眠りについている間に奇跡が起こり…そして、あなたの問題が解決してしまったとします。さて、眠っている間に奇跡が起こったことを、あなたはどのようにして知るのでしょう?何が違っているのでしょう?何も知らないあなたのご家族は、そのことをどのようにして知るのでしょう?私は今後メンタルヘルスに携わるのではなく、キャリア開発や組織開発の方に進んでいきたいと思っているのですが、根本には変わらぬカウンセリングマインドをもち続けるべく、様々な心理療法を学ぶことはずっと続けていきたいと思います。
Jul 26, 2008
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