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January 27, 2014
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カテゴリ: よしなしごと
古典の世界の倫理観は、今とは違うもののはずです。

だから、我々の感覚からすると突飛な内容であっても、
それがテキストに書いてあったら「 正しい 」のです。
もっと言えば、現代国語でも、感情移入できるかどうかは別問題で、テキスト通りに登場人物の心情を読むことが基本です。

さて、 前回 からの続きで、2013年度センター試験から、
古文の問4の選択肢を見ていきましょう。

雲居雁 (くもいのかり)」の夫である「 夕霧 (ゆうぎり)」は、妻子を愛する実直な人物で知られていたが、別の女性(「 落葉宮 (おちばのみや)」に心奪われ、 落葉宮 の意に反して、深い仲となってしまった

以下は、これまでにない夫の振る舞いに衝撃を受けた妻が、子供たちのうち姫君たちと幼い弟妹たちを連れて、 実家へ帰る場面から始まる

これを読んで、次の問いに答えよ。


こんなシチュエーションを前提に、
夫の心情について選ぶのですが、

===========

(1) をずっと実家に居座らせるわけにもいかず、
   一方でおとなしく自宅に戻りそうにもないので、
どうしてこんな女を良いと思ったのか と、
をいまいましく思っている

(2) には出ていかれ、 落葉宮 落葉宮 で傷ついているだろうと想像され
   心労ばかりがまさるため、
恋のやりとりを楽しいと思っている人間の気が知れない と、
   嫌気がさしかけている。

(3)眠っている我が子の愛らしさに、
   この子を残して家を出ていった の苦悩を思いやって心が痛み、
   自分はつくづく恋愛には向いていないのだと悟り、
   自分の行動を反省している。
   (※ 妻が連れて行ったのは小さい子らで、大きい子たちは家に残っています。)

(4) 落葉宮 と深い仲になったものの、
   不思議と 落葉宮 との間で心が揺れ、
の乱れる心の内を思うと、気持ちが落ち着かず、
   自分の行動を後悔して、死にそうなほど苦悩している。

(5) 落葉宮 を愛していても、 がいる限り先が見えず
落葉宮 も現状に悩んでいるかと思うと心穏やかではなく、
世間の目も気になって
との生活が嫌になり、 別れたいと望んでいる




まずからもって、(1)の選択肢。
自分が不倫しておいて、「 いまいましく思う 」ってどうなのよ、って話ですが、世の中、自分勝手な人はこんなことを思ったりしなくはないのでしょう。
でも、それを高校生に選ばせるの?って思います。

(2)も、「 恋のやりとりを楽しいと思っている人間の気が知れない 」って、ただの八つ当たりですし、自分が不倫愛にうつつを抜かしておいて、何を言っているんだ、と思います。

(3)(4)は、まぁ、身勝手は身勝手ですが、現代でも通じる反省かな、と思います。



答えは、前後の文脈と、傍線部の訳からして、(2)なんですけどね。
心労の種を蒔いたのはお前だろ、って話です。

==========
しかも、この 夕霧 (夫)、 落葉宮

その後も拒否する 落葉宮 に、「 もう噂になっているから、僕を拒否したら、余計に世間体が悪いよ 」と言ってのけます。

そんな野郎に「 恋のやりとりを楽しいと思っている人間の気が知れない 」って言われてもね。

===========
『源氏物語』を書いた紫式部はもちろん女性ですが、当時の倫理観がどうであったのか、誰にどんな感情移入をしながら書いたのか。

また、当時読んでいた女性がどう感じたのか、「このクズ」なのか、「私もこんな人に言い寄られたい」なのか。

まぁ、現代の倫理観に照らすのは、古典の理解の仕方としては、良くないこと、なんですけどね。
このお話は、問5に続きます。


前回 と同じく、わかりやすくするために、選択肢に少し手を加えています。





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Last updated  January 28, 2014 11:28:47 PM
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RonaldBus@ Transforming your landscape with gorgeous blue stone slabs. Understanding the Benefits of Choosing …
mrtk@jp @ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
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