ある日の塾の風景から。 思春期の子どもが困難を乗り越えるのはどういう時か。
中高生たちが、今週から来週にかけて、期末テスト期間に入っていることは前回の日記に書いた。我が塾もそのため、日頃より子供たちの出入り多く、それなりにみんな頑張っている。
しかし、私は、昨夜久しぶりに、腹の底から怒れて切れた。部屋中に響き渡り、空気が震えるほどの大声で怒鳴りに怒鳴った。
(怒鳴られた生徒は、机をけって家に帰った。私は引き止めていない。そのまま放置。以後も引きとめるつもりはない)
子供たちには、結構、粘り強く接して、忍耐強いことを自認している私としては、何年ぶりのことなのである。物静か穏やかと思われている私なので、子供たちも一瞬驚きたじろいだ。
こういう時、公立の学校だったら「子供たちに暴言、暴力をふるったとして、父母から摘発されるのだろうか」
ではなぜ、子供たちに腹をたて怒ったか。
中学生のひとりの女子、この女子がいなければ、その集団はそれなりに、学ぶことに、勉強すること、新しいことを知ることに、謙虚で真剣になれるグループである。
この問題をかかえたひとりの女子中学生は、学力が低く、私としては、個人的に少数のグループで、丁寧に教えたいのであるが、それを本人は嫌って避けている。仲良しグループをつくって、群れて勉強したがる。
(実際は勉強などしていない。ただ、おしゃべりして、勉強ごっこをして、気持ちよく楽しく暮らしている。今の子供はこんな勉強が多い)
私は、この生徒の対応に苦慮して、それなりに色々試みているのだが成功していない。
この生徒は中学3年生で、高校受験を控えて、内心はかなり悩んで、孤立しているはずだ。そのためにも、節々では励ましてきた。
母親にも、現状を訴え、私の方針を示してきた。
この女子生徒の今、やるべき事は、勉強の基本となる技能の粘り強いトレーニング。その積み上げが大切だ。これは苦しくとも通過しなくてはならない道すじだ。
テストで70点とらなくとも、この生徒の目指す高校は合格できる。40点とれば充分だ。
そのためには、基本的な事柄の習得をきっちりとやることである。これは、その高校に入学した時にも高校生活を充実したものに維持して、青年期へと飛躍するためにも大切なことである。
高度な入試問題的な難問など、今やる必要のない生徒なのだ。これは、差別ではなく、その子どもの現在の到達点、現在の超えなければならない課題を明確にしたとき、必然的に導き出された課題なのだ。この課題を克服していく取り組みをしないで、この子どもは大人になった時、大人として、強く生きていけるだろうか。
要するに、私には、この子どもは、自分の目の前の克服すべき課題を、私から指摘されることを、とても嫌い、私と真正面から向き合うことを避けようとしている。
そして、気楽な方、おしゃべりして、他の子どもと勉強しているふりをして、楽しそうにやっている。まだ、本当の意味での社会的審判が下されていないので、自己満足的に他の友だちを道連れにして、ほんわかとやっているのである。
この子どもの10数年の人生は、いつもこうであったのではないか。
親が、わが子の成長にとって必須なものは何かというところで、常に甘やかし、回避させてきたのだ。その子どもの成長のペースにみあった成長を子供に要求していないのだ。
学校の要求するペースについて行くことを幼い時から、親が要求するので、こどもの心や体は空回りしたまま、中学生になったのである。
学力だけでなく、心においても、子どもらしい成長は空転したまま今日に至っている。
私は、このような子供には、受験勉強を取り組む過程で、その子どもがどう成長するか大切に考えて、子どもの勉強計画を立てている。生きる力の素となる能力をどうすれば獲得していけるかを大切にしている。
この子どもは、私の考える「学びを通して子を成長させる」という方針を受け入れることが出来ない子どもである。
今の学校の「皆がいっしょ」であれば、イジメのない楽しい明るい学校だとみなされる現場から生まれた子供たちの姿なのかもしれない。
点数の取れない子どもは、かっこうだけ勉強したふりをしておれば、気楽に過ごせる現代の日本の学校の現実から生まれた子ども像かもしれない。
このような子供たちが大人になった時、社会には「消費」することだけは達者な、「口先」だけの達者な若者が、仕事もせずにうろつくのではないか。
私が、腹の底から怒りがこみ上げてきたのは、その女子生徒の子どもらしい素直な心のないことへの憤りであると改めて思う。大人気ないことであったか。
子どもとして、能力は空っぽなのに「小手先で泳ぎまわる」ことに明け暮れるのに、私は、怒ったように思う。私はこのような子供には妥協したくない。
このように立ち回らないと、今の学校は「仲間はずれ」にされるのだろうか。イジメのターゲットにされるのだろうか。
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