*Muku* Blog
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六月初旬にしては真夏のような暑い日が続いています。病室の設定温度は25℃。昨日は23℃にしました。 窓辺にはツバメが飛び交っています。真夜中に『口腔ジェル買って来てください』という夫のケータイからのLINE。全身麻痺で指先さえ動かないのに。夜勤の看護師からなのか。返事を打つ。コロナ対策で15分しか面会出来なかった頃、口の中が乾ききって白いデキモノが舌の上に広がっていた。大学病院の放射線治療中に院内の薬局で買って使っていたら良くなったので、地元病院に転送されてからも使用している。でも放射線治療は結果的には好転せず、前立腺ガンからの骨転移の苦痛で話すことも困難になった。酸素吸入と心電図と膀胱に穴を開けたカテーテルの、配線だらけの夫が横たわっている。 胸には小さな麻薬が貼られている。貼るタイプの麻薬だと聞いている。私は毎日、ほぼ液体状の食事の介助と手足の血流マッサージ、口腔ジェルの塗布、水分補給や背中からオムツの中に溜まる汗を拭いたりしている。けっこうそれが重労働で・・気が付いたら眠ってしまってコケそうになった日もある。 患者の口元にセッティングされているマイクが、唸り声で何度も反応すると思うので夜勤の看護師さんは本当に大変だ。限られた命を懸命に支えていても、顔つきでさえ夫は見知らぬ人になって行く。『あなたは誰ですか。私たちの長い年月は無かったんですか。』 看護師さんに要求するのと同じ目で見ないでくれませんか。私も精一杯でやっと立っています。
2020.06.09