*Muku* Blog

0.5ミリ　（2014日本）

   監督：脚本　安藤桃子　　　主演：安藤サクラ　　介護ヘルパーの山岸サワが派遣先の寝たきり老人宅で、とんでもない災難に見舞われてしまうのがこの物語の始まりだった。父とひと晩だけ添い寝をしてほしい、拝むように頼み込む娘の雪子が突然の自殺、そしてその夜の火事、取り残された一人息子のマコト。不登校で自閉的な生活をしている。　寝たきりで認知症の父親の果てしない介護と不登校で自室へ籠る息子への雪子の絶望感と孤独。この事件で仕事を失ったサワは、本能的にいわくありげな老人を見つけては付きまとい、弱みを握り無理やり家政婦として同居するという生き方をしていく。普通の介護ヘルパーではなくなったサワの人生をコメディタッチにもシリアスにも描いた展開が観る側を飽きさせずに面白かった。老人役の役者さんたちも秀逸だった。生き残り、実の父親と暮らし虐待を受けるマコトを放っておけないサワの人間味と、関わった老人からもらったコートや車をアイテムにしていくのが印象的だった。　　主人公のサワは孤独な老人の心に入っていくことで自分の居場所を見つけようとする。どうも実生活では幸せを掴めなかった悲しい事情があるようだ。映画ではその背景は描かれていない。シリーズ２が観たくなる映画だった。　　　　　　　　　　　　著者：安藤桃子