へそまがりの読書日記

へそまがりの読書日記

2013年12月13日
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カテゴリ: 読書記録

夏と花火と私の死体


とても印象的なタイトルですね。語呂もいいです。

この時期にホラー小説を読むなんて…

これ以上寒くなってどうする???と思ったけど、杞憂に終わりました。



この作品は乙一さんのデビュー作で、その時若干17歳(執筆は16歳の時)。

驚嘆の一言です。

そして、「わたし」視点で書かれているのですが、

その「わたし」というのが殺された女の子・五月なのです。

大概は殺した者の目線で語られるのに、

死体になった側が語り役になるというのは斬新です。



この先ネタバレあります。







九歳の夏休み「わたし」は友達・弥生と木に登っていて、

弥生に背中を押され、転落して死んでしまいます。

弥生は「わたし」が滑って落ちちゃったと嘘をつき、兄・健に相談します。

健は「わたし」を隠し、その時頻発していた誘拐事件に偽装することを提案します。

死体が見つかりそうになると場所を変え、

大人たちの追及から逃れながら死体を隠そうとする幼い兄妹。

しかし、兄妹の従妹・緑に死体を運んでいるところを見られてしまい…





弥生の兄・健くんは「わたし」たちより2つ年上の11歳。

この11歳の少年がやたら落ち着いているのです。

目の前に死体が転がっていたら誰でも腰を抜かすほど驚き、





「そうか、滑って落ちちゃったのか。それじゃあ仕方ないさ。」



“どんだけ死体慣れしているの?”と勘ぐってしまうほどの落ち着きよう。

母親に知らせようとする健を、弥生は必死にとめます。

「お母さんが知ったら哀しむから」

それに健が答えます。



そうして兄妹は死体を隠し始めます。

体中の穴から赤黒い血が流れ出し、変な方向にねじ曲がった死体。

とてもじゃないけど触るのを憚られる「わたし」を、

まるでそこら辺に転がっている空き缶を始末するような感覚で運ぶんです。

これは怖い。

この感覚は怖い。



見つかりそうになっては死体を動かして隠し、

また見つかりそうなっては…を繰り返し4日間。

ある時は兄妹の自室の押し入れに隠しますが、

真夏なんだから腐敗臭とかし始めるんじゃないの?

布団だって汚れるから、親にばれちゃうんじゃないの?

…でもばれないんですね。



警察が捜査してそうなものだけど、「わたし」に最後に会っていた弥生に

何も聞かないのもおかしな話ですよね。



そして、最後に「わたし」がたどり着いたのは…

こういった小説ではお馴染み、現実世界でもよく使われるあの場所です。



途中でもう展開が読め、ついでに誘拐事件の犯人もわかってしまいます。

弥生の無邪気な悪意、健の得体の知れない不気味さなど確かに怖い。

死体を隠すことがまるでゲーム感覚なんだもんね。

そりゃ怖いに決まってます。

でも、後ろから忍び寄ってくるじわ~~っとした恐怖感は皆無でした。

これだったら夜中一人で読んでもな~んも怖くないもんね。





もう一つ『優子』が併録されています。

私はこちらの方が面白かったです(まぁ、表題作と比べたら…)。

きちんと現実を見ているのは誰なのか、誰の言うことが本当なのか。

最後まで引っ張るだけ引っ張って、「ほら!!」というこの感じ。

“あぁ、あれが伏線だったのか”と唸ってしまいました(ちょっとだけね)。





くだらない、本当にくだらない余談

私には人名や地名その他もろもろを「自分が読みたいように」読む悪い癖がありまして、

乙一さんのことも勝手に「おといつ」さんと読んでおりました

(人様の名前を間違えるなんて失礼なことです。本当に申し訳ございません)。

ここまでくると悪癖ではなく、ただの無知露呈です。

それに加え、記憶の書き換えが円滑に進まないことが多々ありまして、

「おといつ」さんが「おついち」さんになるにはまだ時間を要します…





九歳の夏休み、少女は殺された。

あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなくー。

こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄妹の悪夢のような四日間の冒険が始まった。

次々に訪れる危機。

彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか?

死体をどこへ隠せばいいのか?

恐るべき子供たちを描き、斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、

早熟な才能・乙一のデビュー作、文庫化なる。

第六回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞受賞作。


【目次】

夏と花火と私の死体/優子








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最終更新日  2013年12月13日 19時00分08秒


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