成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2009.02.25
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カテゴリ: 高速路線バス
もう一人、飯田行きのお客様で印象に残っている人がいる。こちらも中年の女性。夕方の飯田行きの乗車券をお持ちだったが、昼前にカウンターにお越しになり「すぐに出るバスに変更できますか?」。5分後に出る12:00発の飯田行きに乗車券を変更処理し、それを手渡しながら「2番乗り場の京王バスにご乗車ください」と伝えた。

そのとき、お客様の顔がぱっと華やぎ「あら、京王バス。私、京王バスに乗ってみたかったの」

たしかに、飯田線は主に午前の新宿発が京王便、その車は午後に飯田を出て戻ってくる。逆に午前の飯田発は信南交通や伊那バスが担当し、午後に新宿発で折り返す。だから飯田に住んでいる人は、意外と京王バスに乗る機会は少ない。このお客様は、純白のボディに赤いラインをスマートにあしらった京王のカラーリングが、都会を象徴するように見えていたのだろう(座席間隔等、実際の快適性は変わらないのだが)。

飯田市をはじめとした南信地域(伊那谷)は、交通が大変不便な地域だった。名古屋へ出るのも東京へ出るのも「山越え」という印象だった。そこに中央自動車道が開通し、いちやく東京と名古屋・大阪を結ぶ大動脈上に位置することになった。伊那谷の人の生活、特に東京の企業との取引やショッピングの習慣は大きく変化しただろう。ストロー効果という副作用を考慮した上でも、伊那谷の生活は(単に経済面だけでなく)豊かになっただろう。あのお客様にとっては、京王のスマートなカラーリングが、その象徴だったに違いない。

ちょうど私が西口でバイトしていたとき、飯田線が開業10周年を迎えた。アルバイトの分際で、勝手に飯田行きの車内に入って「おかげさまで10周年を迎えました。ただ、伊那飯田のお客様には5年とか10年とかそういうことではなく、ずっとずっとお付き合いいただきたいと思います」などと挨拶したこともある。飯田市をはじめとした伊那谷の住人にとって高速バスは貴重な足であり、生活を豊かにしてくれた恩人である。乗車券を売って運賃をいただいた際、逆にお客様の方から「ありがとう」と言われたことも多い。

私が西口時代を思い出すとき飯田線のお客様の顔が多く浮かぶのは、単なる「金儲け」「ビジネス」ではなく「地域の役に立っている」飯田線の立ち位置(スタンス)が理由だろう。鉄道と競合している松本線や甲府線では、もう少し「ビジネス」色が強くなる。鉄道や「平バス(地域の路線バス)」など公益性の高い許認可事業を基幹事業とする鉄道系バス事業者の社員にとっては特に「地域の役に立っている」感触は居心地がいいだろう。

しかし、飯田線のような高速バスは極めて特殊で、ほとんどの高速バスは、価格の安さや快適性を武器に鉄道や航空から乗客を奪取し、バス事業者の利益に結びつける、収益事業なのである。私自身、飯田線的スタンスの居心地のよさをよく知っている。だからこそ、そこに安住していては高速バスが成長しないと強く感じているのである。








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Last updated  2009.02.25 19:22:54
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
京帝117@ Re:新宿高速バスターミナル(02/21) 私がカウンターに座っていた時は、空いて…

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