成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2009.07.17
XML
カテゴリ: 高速路線バス
週明けに、ある大手既存事業者向けのプレゼンテーションが待っているので、いまその資料を作っている。営業担当の役員の方以下、営業部長さんら対象の大きなプレゼンだ。もしかしたら、私がいま最優先で取り組んでいる件(既存の高速路線バスを私のサイトで取扱いすること)の帰趨を決めるプレゼンになるかも知れない。これが成功して最終的にこの事業者の商品が私のサイトに並べば業界には大きなインパクトになるだろうし、私がいまの会社に転職してから3年と少しだが、その時点でやっと私の「転職」が完了するというか、ようやく、私がこの会社で実現したい「夢」のスタートラインに立てるということになる。

とはいえ、営業資料づくりというのは、大きな案件だろうが小さな案件だろうが何も変わらない。一言でいえば「相手をハダカにする」それだけである。相手の会社を客観的に眺め、分析し、その会社の現状では「足りない」点を抽出する。そして不足を埋めるために自分なら、あるいは自分の会社なら何をお手伝いできるか、ご説明する。それだけである(もちろん、大手既存事業者の乗合商品を私のサイトで取り扱うというのは極めてデリケートな問題を孕むわけで、「理屈ではこうなのに、なぜそうしないの?」という言い方は控えないといけないのは確かだが)。

私たちが既存事業者のお手伝いをしたいのは「販売」という側面だから、販売面について「相手をハダカにする」ことになる。相手の路線の乗客群(いま現在利用している乗客群と、今後利用する可能性がある乗客群)を、属性(居住地や年齢、性別など)や利用目的(観光、出張)などで細かくセグメンテーションしていく。そしてそれぞれのセグメントに対して、その事業者がいったいどのようなアクションをしているか、書き出していく。すると、高速バスの場合は、大変恐縮だが、適切なアクションが取れている例は多くない。

例えば、東京に居住し近郊の観光地へ向かう観光客というセグメントに対しどのようなアプローチが必要か。まず、「高速バス」という輸送モードの「知名度」自体は決して低くない。世の中の人に「高速バスって知ってますか?」とたずねると、「イエス」という答えがほぼ100%だろう。しかしながら、「○○温泉まで高速バスが走っていることを知っていますが?」という質問になると「イエス」の率は格段に落ちるだろう。さらに「絶対知名度」ではもっと低くなる。つまり「○○温泉までの交通機関を挙げてください」と自由に答えさせると「電車、あとは、ええーっと・・・自家用車」となるだろう。

では、その「知名度」なかでも「絶対知名度」を上げさせるにはどうすればいいか。もし広告宣伝費が潤沢であれば何も臆することはない。鉄道や航空であれば吉永小百合さん(JR東日本の場合)や石川遼くん(ANAの場合)のようなイメージリーダーを起用したテレビCMをどんどん放映すればよい。しかし高速バスの場合はそうはいかない。「効率よく」というのが必須である。その効率よいアプローチを、私のサイトならこのようにしてお手伝いできますよ、というシナリオをわかりやすく説明するのが、私のプレゼン資料ということになる。一番わかりやすい例を挙げれば、まさに○○温泉の宿泊予約をしようとしている、またはしたばっかりのお客様に「宿までの足はお決まりですか?」と、高速バスの情報をサイト上で自動的にお見せしますよ、ということだ。マクドナルドの「ご一緒にポテトはいかがですか?」作戦である。もちろんこれ以外にも、プッシュ型、プル型あわせて多数の手法が考えられる。

効率のよさが求められる高速バスの販売だが、他の商品より簡単な点が二つ。一つは、皮肉な話だが、これまで、高速バスの存在や利点が十分にマーケットに認知されておらず、かつ予約しようとすれば事業者別に窓口が分かれていて予約しづらいなど、既存事業者には失礼ながらネガティブな要素が多かったので、それを取り除いてあげれば簡単に予約数を伸ばせると考えている。もう一つ、高速バスは鉄道などからシェアを奪う挑戦者だから、これもまた伸びしろの大きさを示している。具体的には、例えば小田急ロマンスカー(鉄道)の乗客数をこれ以上増やそうと考えれば、箱根というデスティネーションの価値そのものを上げないといけないが、高速バスの予約数を増やすには、○○温泉に行こうとしている旅行客に「そこに行くなら高速バスもありますよ」と耳元でささやいてあげればそれで十分なのである。

そんなわけで、いま私は、ある大手事業者をパワポ資料上で「ハダカ」にしようとしている。マーケティング担当者は皆そうかもしれないが、この瞬間は本当に甘美である。「ああやって、こうやって」というアイデアがどんどん生まれてくる。そしてこのプレゼンがうまく通れば、それを実現する困難が待ち受ける。だが、その困難を乗り越える努力や工夫もまた甘美である。早くその困難を味わいたく、正直に言うと資料を作りながら気がはやっている。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.07.17 17:41:39
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Profile

nalys

nalys

Comments

京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
京帝117@ Re:新宿高速バスターミナル(02/21) 私がカウンターに座っていた時は、空いて…

Calendar

Archives

2026.10
2026.09

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: