成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2009.10.19
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カテゴリ: 高速路線バス
札幌出張で新千歳空港に降りると、一緒に乗ってきた乗客のほとんどが何の疑いも無くJRの駅に向かう。それでも、私と同様に何人かは空港連絡バス乗り場に現れるから、直接お取引のない事業者とはいえバスに携わるものとしてちょっとほっとする。ただやはり、羽田や伊丹からぞくぞくと到着する飛行機の数と比べるとさびしい。すすきの、大通り周辺の各ホテルや札幌駅などを回るから出張にも観光にも使いやすい路線なのだが。

ただ難点が一つあって、札幌駅までだとJRが30分台で着くのに対し1時間以上もかかる。高速道路を手前で下りて地下鉄福住駅など郊外の拠点を経由していくのだ。もちろん、札幌に住んでいる人が航空機を利用するケースでは、郊外の地下鉄駅を経由するのは便利だろう。札幌駅へ直行するJRとうまく住み分けているといえる。しかし札幌市民が新千歳を利用するのは、午前中の出発、夕方以降の到着が多い。逆に午前に新千歳に到着し札幌市内に向かうのは私のような出張客や観光客が中心で、午後の市内→空港もそうだろう。出張・観光客は福住、月寒といった郊外にはあまり用がない反面、大通りなど都心への流動が多い。JRで札幌駅まで30分台で着いても結局は地下鉄に乗り換え大通りに向かうのであれば、バスがあと少しスピードアップすれば対都心で十分な競争力がある。毎時4便運行するなら、午前と午後でパターンを分け、午前の「市内→空港」と午後の「空港→市内」は福住経由中心で、午前の「空港→市内」と午後の「市内→空港」は直行便中心で運行できないか。もっとも、千歳空港連絡バスの過去を紐解くと、中央バスと北都交通が共同運行している事実だけで十分に進歩といえるのだが。

最近、首都圏(羽田・成田)では、空港-都心を独占的に運行してきた東京空港交通らが、郊外の私鉄系事業者と共同運行という形を取り始めたことで路線数が増え、空港連絡バス全体の乗客数は順調に伸びている。東京空港交通単体で見れば、例えば単独運行である羽田・成田-新宿線の乗客が共同運行の調布線などにシフトすることで「取り分」が減っているというなんとも不条理な問題が起こっているかも知れないが、バス全体で考えればいいことに違いない。郊外に路線を増やすに当たって京王、西武、東武といった私鉄系事業者と共同運行という形になったのは、ご他聞に漏れず「路線権」(厳密には需給調整の撤廃で路線権概念は消滅したので、「バス停の権利」というべきか)の関係であるわけだが、結果として、私鉄沿線地域における私鉄系バス事業者の販売力を活用できたというのは意義が大きい。親会社の鉄道駅・車内でのポスター掲出などを広告費換算すればすごい金額になろう。よほどの大企業でないと広告費を払えないような規模のプロモーションを、ほとんどタダで行なえるのだ。

都内の私鉄系事業者の高速バス担当者が、「空港路線をやるようになって、初めて親会社の鉄道沿線で事業をやってるんだと実感した」とおっしゃっていた。「高速バスは現地会社(地方側事業者)の販売力で成長したのだ」といういつもの論理で言えば、京王や西武といった私鉄系事業者は、空港路線に限っては「現地会社」に当たる。ではなぜ最近までこの共同運行による郊外路線がなかったのかといえば、これまでは、制度的にもまた業界内の思い込みとしても「空港路線はリムジンさん(東京空港交通)のモノ」であったからだ。羽田、成田、あと伊丹にバスが走り始めた際はまだ「共同運行」という概念がなかったから、東京空港交通や大阪空港交通という事業者をわざわざ設立し、彼らのほぼ独占になった(その代わり都心路線が中心で郊外路線は少なかった)。だが関西空港が開港したとき、高速バスでは「共同運行」概念が既に成立していたから、それに従って関西空港交通は私鉄系各事業者と共同運行の形を取り(取らざるを得ず?)、結果として郊外路線が成功した。最近の羽田・成田線の好調さは、関空モデルに習ったものだ。制度も、業界内の思い込みも、変えていくことは可能だし、変えることで業界の成長につながるなら、変えていかなければならない。

結果として、東京空港交通単独の都心路線が少し取り残されている気がする。例えば京王線の電車内には調布や八王子などからの空港連絡バスのポスターが大きく掲出してある。調布や八王子に住んでいる人は満員電車の中で毎日このポスターを見て「次の出張の際はバスで」と思うだろう。居住エリアによってターゲティングした効果的な露出である。一方、新宿からすぐ近くの初台や笹塚居住者も毎日京王線を利用するが、見せられるのは調布や八王子発のポスターであって新宿発の空港路線ではない。従来からの東京空港交通単独路線である新宿線は京王が共同運行しておらず、京王が行なうプロモーションに入っていないからだ。住民の入れ替わりが激しい大都市で、成田エクスプレス開業前の「新宿から成田に直通で行けるのはリムジンバスだけ」という時代からバスのリピーターだというありがたい乗客だけに頼ってビジネスはできない。

商品そのもの(路線、ダイヤ、車両、運賃)と、プロモーションは、車の両輪である。せっかくいい商品を作っても消費者が知らなければ利用されない。消費者の認知度が上がっても、利便性や快適性が鉄道などに劣ればリピートされない。そしてそのバランスは、市場環境(空港利用者の増減など)、競合環境(鉄道の利便性向上など)、などによって常に変化していくものなのだ。いずれにしても、既成概念に囚われることなく(つまり「バス屋の常識」から離れ)利用者の目線で考えること。最後はそこに行き着くのである。





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Last updated  2009.10.19 19:34:26
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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