成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2009.12.08
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カテゴリ: 高速路線バス
東京空港交通と九州産業交通の件が影響している、のだろうか? 私としては従来どおり既存事業者にお邪魔しているつもりなのだが、各社の反応が明らかにこれまでと異なる。こちらから恐る恐る「今すぐ何かというわけじゃなくても、今後長い目でお付き合いさせていただければ」というのが決まり文句だったはずなのに、むしろ先方から質問攻めにあったりする。特に初めてお伺いする事業者にお持ちするパワポ資料は、高速バスにおけるウェブマーケティングの重要性と、それぞれの事業者の主要路線についての市場分析(どこにマーケット開拓の余地があり、それに対して私たちならどのようにアプローチするかという分析と戦略)を解説したような概念的なものしか持参しないから、突然「実際のところ、どれくらいの費用を考えておけばいいの?」などと具体的な話にまで進んでしまってこちらが慌てたりする。もちろん、どの事業者でも社内そして共同運行先との調整など課題は多いからすぐにご契約いただけるわけではないが、手ごたえは以前とは大きく違う。

先日驚いたのは、ある既存事業者の言葉。同社の公式サイトで本社の代表番号を調べ、本当に恐る恐る「飛び込み」でアポイントを申し込んだ。近県の既存事業者にお邪魔するアポイントが決まったので、言葉は悪いが「ついで」のつもりだった。電話口の若い担当者の方に会社名を告げ「おそらく御社では、弊社に対しいい印象はお持ちではないと思うんですが、実は以前から各地の既存事業者にお邪魔してご提案を続けており、このたび東京空港交通様と九州産業交通様の乗合商品の取扱が始まったものですから御社にもご挨拶にお伺いしたく」と伝えたところ、電話口で管理職の方に確認していただき「管理職の者が、こちらからも尋ねたいことがあるのでお越しください、とのことでした」。うーん、「尋ねたいこと」って。高速ツアーバスは違法ではないのか、とか尋問されるのかなあ。

実際にお伺いして名刺交換を済ませ、上記の通り恐る恐る切り出した。遠くない将来、全国の高速バスや定期観光バスを私のサイトで取扱させていただこうと思えば最終的には全ての事業者にお邪魔しないといけないわけだし、この事業者の共同運行先の顔ぶれを見る限りいずれにせよ近々お伺いすることになるのは間違いなく、まあ「先に挨拶だけでも済ませておけば後が楽かな」というつもりだった。ところが、先方がこうおっしゃったのだ。「ツアーバスはけしからん、と思うことは思う。だけど、まずはわれわれも『同じ土俵』に乗らないと」。同じ土俵、という言葉に、私の頭の中で色んな「?」が飛び交った。これまで既存事業者の方が「同じ土俵」という言葉を用いる際には、必ずと言っていいほどネガティブな意味だった。「高速ツアーバスは、われわれ乗合と基準が異なって不公平だ」「地域の路線バスの赤字補填や安全性の確保など、高速ツアーバスもわれわれと同じ土俵に乗るべきだ」

しかし、「われわれの方から同じ土俵に乗るべきだ」とおっしゃったのだ。肯定していいのか否定した方がいいのか、様々な「?」が頭の中を飛び交う中、先方がこう続けた。「地元からの信頼とか安全とかは自信があるんだけどね。でも、いつも乗り場を見に行くけど、正直、車両もサービスも価格も負けてる。アイツらがここまで育ったおおもとの理由は」と言って、私の方を指差した。「あそこまで彼らが大きくなったのは、インターネットをうまく使って多くのお客さんを集めたから。われわれも同じ土俵に乗らんと。いつまでも前の通りにお客さん待ってても何も変わらん」

たぶん、私が待っていたのはこの言葉だったと思う。地域での存在感の大きさとか安全性への配慮など、既存事業者の高速路線バスの方が高速ツアーバスより格上であることなど、百も承知している。逆に高速ツアーバスに課題が無いなどと口が裂けても言う気はない。しかし、今後もバス産業を引っ張っていただかないといけない老舗の既存事業者が、「われわれは地元の役に立っている。他の事業の利益で路線バスの赤字を補填してまで身を粉にして働いている」とばかりに、「地域への責任感」とか「安全」を錦の御旗に、従来の成功体験(企業としては コングロマリットとしてのビジネスモデルそのもの がそうだし、高速バス事業としては 「第2フェーズ」における高速バスの成長 がそうだ)にしがみついている以上、進歩はないのだ。時代は流れ、消費者のニーズは大きく変化しており、かつその変化が、どちらかというとバスにネガティブな流れにある以上、自分たちのよかった点はよかった点、しかし足りなかった点は足りなかった点として客観的に認識し、必要な変化をしていただかなくてはならない。

先週の出張はおおむね皆さん好意的な印象だった。別の事業者では「まずはお試しに定期観光バスあたりから」とこちらからご提案したのに対し、「まあ、定観も売ってもらえれば嬉しいけど、とにかく高速バスを何とかしないといけないので」と、正直なところ当面は無理だと考えていたメインの路線についてご検討くださることになった。共同運行会社との調整やオペレーション面の対応などハードルはまだまだ高いのだが、以前とは違う手ごたえを感じている。「もう少し具体的な資料を」「実際の管理画面の操作イメージを見せて欲しい」、宿題はたまる一方だが、今が踏ん張りどころ。まずは高速バスにおいて既存事業者が「新しい成功体験」を手にすれば、必ず「平場」の路線バス事業へも影響を与えるはず……需給調整が撤廃されたとはいえ少なからず参入障壁が残る乗合バス事業において、参入したくても叶わない新規事業者がもし参入できれば取り組むであろう新しい挑戦までをも彼らの分まで取り組まなければ、既存事業者としての責任を果たしているとは言えないはずである。





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Last updated  2009.12.08 18:10:41
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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