成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2009.12.24
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カテゴリ: 高速ツアーバス
本日から、京成バスシステムの 「あみプレミアム・アウトレット号」 の取扱が始まった。 小田急箱根高速バスの「御殿場プレミアム・アウトレット号」 と同じパターンで、事業者こそ大手私鉄系だがあくまでも募集型企画旅行商品。そして、ウェブマーケティングのために私のサイトを活用いただくというよりは、基幹システムならびに自社サイトの予約エンジンとして私の会社が「システム提供」している、というイメージだ。

小田急と京成では同商品を以前は電話のみで受付していた。発車オーライネットなど高速バス用のシステムは、事業者の社員が使う業務用基幹システム(予約入力や在庫管理、売上管理など)としては乗合形式でもツアー形式でもなんとかなるが、利用者がUI(ウェブ上の一般利用者向けページ)から自ら予約情報を入力する「予約エンジン」としては、旅行条件書の手交など旅行業法に定められた受付手続きに対応していないためツアー商品には利用できない。一方、発車オーライ同様の「システム貸し」をしているツアー用システムの中では「Wecanシンフォニー」「WILL」「ドリームジャーニー」などが、高速ツアーバス各社が好んで導入しており管理側もUI(利用者画面)も募集型企画旅行形式のバス予約向けに作ってあるが、あくまで企画実施を本業とする会社向けの基幹システムであり、ツアーは副業的で他に基幹システムを持つ私鉄系事業者にはオーバースペックで結果として価格も高くなる。そのため、両社とも同商品のウェブ予約化はあきらめていたのだ。

ただ、アウトレットモールの利用者属性からみて、ウェブとの親和性は大きい。各アウトレットの公式サイトには相当数の訪問があり、公式アクセスとして小田急や京成の自社サイトにリンクされているので、かなりの数の「乗客候補」が事業者のサイトでアウトレット号の情報を見ている。しかし最後の最後に予約方法が「電話または窓口」となっていると、それが面倒で予約(つまり乗車)自体をあきらめてしまう。「導線切れ」というヤツだ。非常に「もったいない」状態である。本来、私たちの役割は「バスの認知を広め新しい乗客候補を連れてくる」「その上で予約・決済をウェブで行なう」ことなのだが、この商品に関しては前者の役割はアウトレット側がやってくれており、せっかくアウトレット側が集めてくれた乗客候補を、ウェブ予約ができないという一点だけで逃しているのは見ていて悔しい。私たちでは、このアウトレット号に限って「集客」という役割をいったん放棄する形で小田急箱根高速バスに提案した。私のサイトでは原則的に集客をしない。小田急のサイトから予約ページへ直接リンクを張ってもらう。予約センターに電話予約が入れば、私のサイトの業務用画面に小田急のオペレータが入力する。あくまでも発車オーライ等と同様の「システム貸し」に徹することで低い利用料(送客手数料ではなくシステム提供料)を提案したのだ。

したがって、高速路線バス事業者が既に自社サイトから発車オーライネットや楽バスなど予約エンジンにリンクを張っていたり、高速ツアーバス各社が上記「シンフォニー」などを使って自社予約エンジンを用意していたりするのと全く同様であって、別に自慢できるような内容ではない。しいて言えば、高速路線バス事業者の自社サイトから予約エンジンへ飛んで希望の路線を予約しようとすると、導線上の隋所に、まるで障害物競走をしているかのような「難関」があってかなりストレスがかかるのに比べると、利用者には優しい導線を用意できているかな、くらいの話だ。

小田急の場合、ただただ上記のことをしただけで乗客数は一気に伸びたらしい。それを見たアウトレット側が他の事業者にも積極的に説明してくれている。その第一号が京成なのだ。アウトレット側にすれば、ライバルチェーン等との集客競争も過熱しており自分たちの数字に直結するから一生懸命だ。その「1人でも来店者数を増やしたい」というアウトレット側の熱心さと、各事業者側の「今でもほどほど乗ってるから」「ホントに乗りたい利用者は、電話でも予約するんじゃないの」という感覚には差があるようだが…。アウトレット側からすれば、本当は私のサイトの集客力も活用しさらに集客できればベストということであり、そうなるとコスト増を気にする事業者との間でさらに話がかみ合わないのだが(コストは増えるが売上も増える、という当然のことがなかなか伝わらない)、何とかそれも乗り越えられそうで各社で最後の調整中だ。「本当に乗りたい乗客は何とかして予約してくれるはず」と言うのなら、例えばトヨタがクルマを作っていることは日本人全員が知っているわけで、いまさら多くの販売店もテレビなどでの宣伝も必要ない。パナソニックも資生堂もコカコーラも、みんなそうだ。十分な認知があってなお、消費者との接点をさらに増やすため各企業はリソースとコストを使っている。

考えてみれば、このアウトレット号、非常におもしろい商品だ。アウトレットモールは、様々な理由から郊外立地が多い。商圏は、御殿場やあみで言えば首都圏全域からその周辺と非常に広い。したがって経営会社は、マス媒体(テレビや雑誌)を、有料広告もパブリシティ(無料掲載の広報)も上手に使って広い商圏から来店客を集めるプロフェッショナルだ。つまりマーケティング面では「空中戦」を得意とする。その彼らが小田急、京成や阪急、西鉄といった鉄道系事業者と組むことで、各鉄道の車内や駅にポスターを掲出するなど、狭域マーケティング、すなわち「地上戦」も低コストで行なえる。どの旅行会社でも「アウトレット往復バスツアー」を企画はできるが、アウトレット側に不足している地上戦の力を提供できる鉄道系だから公式アクセスとして認められ安定した集客が見込める。事業者側は意識していないのかも知れないが、既存事業者の「強み」を最大限に活かした商品である。自社の強みが「沿線での地上戦」であり、同時に「広域での空中戦」に弱みがあることやそれをうまく補完する方法など、既存事業者が自身の特徴と課題にあらためて気付くきっかけになればいいのだが。





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Last updated  2009.12.24 18:44:28コメント(0) | コメントを書く


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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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