成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2009.12.25
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カテゴリ: バス産業
バスの乗務員になるためには大型二種免許がいるわけだが、逆に言うとバス乗務員の「それ以上」の実力や努力を表わす資格は、事業者ごとの内規を除けば、行政による「優良運転者(永年無事故)表彰」くらいだろうか。バスを運転するための最低限のハードルが大型二種だとすれば、「より素晴らしい接客を身につけた乗務員」とか「貸切バスの乗務員に求められる道路や観光地情報の知識を持つ乗務員」とか、その他、運転技能なども含め「より優れた(より努力している)乗務員」だけが持つことのできる資格がもっとあってもよいのかな、とも思う。そうすれば優秀な乗務員の流動性も高まるし、事業者側も乗務員の質を自社の強みとしてアピールできる。需給調整があった頃の「バス会社はみんな同じレベル」という状況からは明らかに変化しているのだし。それとも、もしかしたら、本来ならレベルの高い乗務員がそろっていそうな鉄道系事業者の方が、組合がこの手の話にネガティブで取り組めないのかな、よくわからないが。

私の前職であるホテル業界には、会社ではなく個人の資格でとることができる資格や賞がいくつかある。わかりやすい例で言えばソムリエ資格がそうだし、ホテル実技技能検定などホテルの「現場」における職人芸に対して与えられるものが多いのも事実だが、それだけではないところが、「ホテル業界、捨てたもんじゃないな」と懐かしくなってしまうところだ。より「マネジメント(経営)」に近い面でも、様々なプログラムが準備されているのである。例えば 「近藤マイク誠賞」 。近藤“マイク”誠氏は、若くして米国に渡り、皿洗いから始めて世界的ホテル企業の幹部にまで上り詰めた優秀なホテリエだ。宮崎の巨大リゾート「シーガイア」再生のために日本に赴任し、業界では「凱旋」と呼ばれたが、その宮崎で32歳の若さで亡くなった。私の家内は海外ホテル勤務時代に彼の部下だったこともあるらしく、まあ、一緒に働いた身としてはいろいろ複雑な思いもあるようだが、とはいえ、日本人であっても世界に通用するホテリエになれるということを証明してみせ日本の若手ホテリエに大きな希望を与えたことには間違いがない。その彼を記念した賞が設けられているのだ。

この「マイク賞」は、マネジメント(経営)と現場の中間あたりの賞だろうか。ホテル企業の経営に本格的にたずさわっている者は、早稲田大学をはじめとして各地の大学や大学院で開かれている「ホテル経営学」「ホスピタリティ・マネジメント学」の講座に学び、必要であれば論文を書く道を選ぶだろう。「マイク賞」は、それよりは少し手前、いまは現場でサービスに従事し将来はマネジメントにもたずさわっていくホテリエが対象だろうか。ホテルの現場にはいろんなスタッフがいて、もちろん給料さえもらえればと割り切っている者もいるだろうが、「とにかくゲストに対しいいサービスをし、かつホテルのマネジメントにも精通し、世界に通用するホテリエになりたい」という大きな夢を持っている者も多い。そういった希望あるホテリエに、自己の存在を業界全体に向けて発表する場を与え、また入賞賞品として海外におけるホテルマネジメントの勉強とインターンシップ経験を提供するこの賞の趣旨には、大いに共感する。

バス業界にもこのような動きがあればな、という思いである。まあ、そのためにはそもそも「バス事業者のマネジメント(経営)」について学術的な体系化が先に必要か。バスに関する研究をしている研究者は相応の数いらっしゃるが、例えば「公共交通」という社会的な側面からバスに入った方、「都市計画」からバスに入った方、または鈴木文彦先生のように「現場」に軸足を置いた方など、バックグラウンドが様々だ。またその結果、どうしても「公共交通のネットワークを維持する」「適切な規制と公正な競争を両立させる」「新しい運行システム(BRTなど)を作る」といった面での研究が先に立ち、「事業者の経営手法」という観点は後回しになりがちだ。またどうしても「平場の乗合バス」が優先され「高速バス」と、特に「貸切バス」については遅れてしまう。「ホテル経営学」は、アメリカにおいて大手ホテル企業たちが、自らの経営力を強化するために大学にお金を入れて研究させたことで大いに進化したわけで、本当なら、大手バス事業者らが自らのために研究を補助するくらいであってもいいと思うのだが。それとも、全国のバス事業者を対象にビジネスをする車両メーカーや機器メーカー、システムベンダーあたりがお金を出してくれないかなあ。

ただその前に、と思う。この賞の応募テーマは「ホテル業界の発展に、あなたはどう貢献していきたいか」である。ではバスの現場に「バス業界の発展に、自分はどう貢献していきたいか」を真剣に考えているバス屋はどれくらいいるのか。バス事業者で働く者に「バス好き」が多いことは事実だし、みな目の前の業務に対し誇りを持ってまじめにこなしていることを否定しないが、「バス業界の発展」を本気で考えている者はどれくらいいるのだろう。それとも「業界の将来」まで考えるようなヤツは、将来が暗いことを見通してしまうからバスの世界には入らないのかな。だとすれば、私はよっぽど変わり者ということか。

さて、この「マイク賞」の受賞者は鉄道系のホテル企業の若手が多い。相模鉄道、JR西日本、近畿日本鉄道などである。もしも、バス版の「マイク賞」が今あったとすれば、いったいどんな顔ぶれが受賞するのだろうか。





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Last updated  2009.12.25 18:48:53
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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