成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.02.16
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カテゴリ: 高速路線バス
私が既存事業者に営業に伺って申し上げている内容を端的に言うと「高速路線バスを私たちのサイトでも取扱させてください」ということだ。今現在は、彼らの基幹システム(「発車オーライネット」など)と私たちのシステムは連動していないから、座席の一部を基幹システム上でブロックし、その席を私たちのシステムに投入してもらうことになる。ホテルや航空会社や高速ツアーバス各社なら販路毎に在庫を分けるというのはごく普通だが、高速路線バスには従来なかったオペレーションなのでその部分は運用面で新たにご負担をおかけすることになる(ただ、ホテル・航空・高速ツアーバスは、予約時点では全ての座席・部屋番号を確定させない運用なので「在庫数(ぶっこみ)」で管理できる。日本の鉄道と高速路線バスは予約時点で座席番号を確定させる運用なのでより細かい対応をせねばならず、そこは確かにお手数だと思う)。ただ運用でワンクッション置くことで、対象座席数を事業者側がリアルタイムにコントロールできる強みがある。週末など、黙っていても満席になる便までわざわざ手数料を払って販売する必要はないので登録座席数を減らせばいいし、それでも続行便が設定されればまた増やす必要が出てこよう。事業者自身が細かくその見極めをやるようになって(高速ツアーバス各社は専任の在庫・料金コントローラーを置いている場合が多い)初めて、各事業者に「自分たちで席を売る」という姿勢が強まるのを期待している。

この件は、私がお目にかかる既存事業者の皆様にはおおむねご理解をいただいた印象がある。まあ、既存バス事業者というのは「立派な」会社が多く意思決定に時間がかかるのは仕方なく、今のところご契約いただいている会社は多くないが、少なくともご担当者レベルではおおむねご理解いただいたようだ。で、「では具体的にどの路線から」というような話になると、そこで私たちの感覚と未だ齟齬が出る印象である。

私のサイトに登録すれば必ず乗客が増える、と感じてくださるのは光栄だし、私も営業マンとしてはそういう言い方をするわけだが、登録すればさえ予約が勝手に空から降ってくるわけではない。私たちが「インターネットは自動販売機ではない」と主張するゆえんだ。例えば高速バスというのは習慣性が非常に高いので(私たちのサイトでも8割がリピータだ)一人の利用者が同じ区間を何度も繰り返し利用する。先月は青森に行った利用者が今月は秋田、という例は極めて少ない。だから「路線を大事に育てる」という考え方は、既存事業者がこれまでやって来られた道と何ら変わらない。ウェブの場合その速度が異常に速いだけだ。したがって、足元から数字を上げようとするなら、私のサイトで既に十分な実績がある路線ということになる。

となると、 昨日書いた ように、「大都市>地方都市」「長距離>短距離」「夜行>昼行」という傾向だ。高速ツアーバスは、首都圏~京阪神のような主要路線でこそ3列シートなど「特車」比率が上がったものの、その次に位置する首都圏~地方都市の長距離夜行路線ではまだまだで、利用者から「なぜ3列シートがないのか」というお小言を頂戴することも多い。だから、既に高速ツアーバスが一定の規模まで育った区間に高速路線バスが登場すると足元の数字で十分な貢献ができる。現に、 弘南バスの「津輕号」 は(価格施策も同時に打ったこともあり)順調な滑り出しだ。

それとともに、観光地(特に温泉)に向かう路線なら、旅館を予約しようとしている利用者に対し、合わせてバスも勧めることがウェブでは簡単である。 九州産交バスの「九州横断バス」 については足元の数字は弘南バスほど大きくないが、宿泊予約部門との連携により黒川や由布院への宿泊客の送客を集中的に増加させることで、結果としてバスへの送客も大きく育つことが期待できる路線だ。 東京空港交通のリムジンバス は、海外旅行予約部門との相互送客の形が早々に確立しており、まずはテスト的に4路線のみお取扱させていただいているものの、今後、取扱路線数が増えればさらに数字に貢献できるだろう。



商品そのもの、競合の状況、消費者の志向の変化…そういったものを全体的に把握しながら1路線ごとに「処方箋」を書いていく……普通の企業なら普通にやっていることだが、もしかしたら、バスという産業全体に欠けている要素かも知れない。





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Last updated  2010.02.16 19:03:12
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既存事業者の本音を代弁すれば・・・  
経済人@尾張藩 さん
いつも、ブログを拝見しております。
さて、誠に失礼ながら、本日と昨日の内容をまとめてコメントさせていただきます。
既存事業者への営業(=売り込みというか、説得?)が活発に行われているようですね。
ただ、既存事業者の立場になってみると、楽天トラベルさんは失礼ながら「業界の秩序を乱したヤツ」という印象が強いために、バス業界で長く働いている人(=各事業者の偉い人)からは煙たい存在だと思います。さらに「軒を貸して母屋を取られる」という印象を持っているかもしれません。まぁ、誰でも理路整然とした内容でも、感情的に納得したくない場合はあるわけで、説得も粘り強く、既存事業者と「Win-Win」の関係が構築できるように心がけてほしいと思います。頑張ってください。
あと、釈迦に説法ではありますが、まずは、各社の「昨年の売れ残り相当分」を確実に完売する実績を積み上げていくことが重要かもしれませんね。個人的には「販路の拡大」と「空席ロスの解消」が両立するわけですから、既存事業者にもメリットが十分にあると思います。 (2010.02.16 23:05:59)

Re:既存事業者の本音を代弁すれば・・・(02/16)  
いつもコメントをありがとうございます。「本音」の件、よく伝わってきます。そして「軒を貸して母屋を取られる」というのも感覚的にはよくわかるんですよね。製販分離がされていない業界で、販路もブランドも運行も全部自前でやってこられたので、「販売のお手伝いをする」というこちらの希望がうまく伝わらないもどかしさはあります。
ご指摘のとおり、実績でお示しするしかないですよね。
一点。既存事業者の皆様の反応は当然予想されました。それでも「やっぱりバスの仕事に携わりたいなあ」と数年前から考えていた私が、バス事業者や、極論すれば「発車オーライネット」の営業マン(例えば、の話です)とかでなく今の会社を転職先に選んだのは、前の会社も老舗企業で「中から変革する」ことの難しさを痛感させられたからです。だから「外から」の方が結果としては速いだろうと。
少しずつですが、手ごたえを感じています。おっしゃるとおり事業者さんにも私たちにも、そしてお客様にもメリットがある形を心がけて営業(説得?)をがんばります。 (2010.02.18 06:52:30)

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