成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.02.24
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カテゴリ: バス産業
昨日は、ある既存事業者の課長さんとお打ち合わせ(提案営業)、その後遅くまで食事をご一緒した。明けて今日、その課長さんから「成定さんの話は、腹が立つけど勉強になるなあ」と厳しいメールをいただいた。単に「腹が立つ」としなかった分、やっぱり大人だと、課長さんのお人柄にあらためて納得。

このブログでもそうだし、実際に営業に伺っても、なにせ口が悪い方なので既存事業者の皆様には失礼なことをたくさん申し上げていることはよくよく承知している。もちろん、社長さんもご出席のプレゼンテーションのような場なら「よい子」に徹するが、本当に高速バスの最前線を切り盛りしている課長さんや若手社員が相手の場合は、思ったことをズバズバ言うようにしている。私のことをよくご存知の方はわかると思うが、ぱっとした見た目は大人しい印象(のはず)なので、私がずけずけ厳しいことを申し上げると皆さん驚くようだ。

最近はもう、私の会社はあくまでマーケットプレイスであって高速ツアーバスのみをお取扱するつもりはないことや、自分たちの販路だけでは届かない客層にまで販売力を提供できるので新規の送客を期待できること、こういった内容はおおむね皆さん既にご理解くださっている(コストとして発生する手数料をどう考えるかや、様々な「政治的な」問題など考慮しなければならないことはたくさんあるとしても)。昨日も、同席いただいていた紹介者の方から「成定さんの話は、“メリット”は極めてはっきりしてるんですよね。後は、その先に何が待ち構えているのかわからず、なんとなく不気味な感じで事業者さんは本能的な恐怖を感じるんでしょうね。そこを払拭しないと」とアドバイスというか、見事な「行事役」のコメントをいただいた。まあ、感覚的にはわかる気がするし、少なくとも先方にそういう印象を与えているのなら、それを払拭するのは営業パーソンとして当然の役割だ。その原因を見つけ出さないとならない。

その上で、冒頭に挙げたように私がどうしても黙っていられなくなるシチュエーションというのがいくつかある。最も黙っていられないのが、「地方の事業者は高速バスの黒字で平場の路線バスの赤字を…」という内部補助理論が出てくる時だ。このブログでは何度も繰り返しているが、国の方針は既に内部補助ではない。国交省や日本バス協会がそのように言っているにもかかわらず現場の事業者から未だ錦の御旗のようにこの理論が登場するのが理解できない。「本当は違うんだけど、過去の経緯から言って内部補助っていうのがあって…」という文脈なら私は気にしない。内部補助自体が絶対的に悪だとは思わないからだ。私が怒っているのは、地域独占認可による免許秩序とちょうど背と腹の関係にあるこの内部補助理論は、ある時期において日本の路線バスや高速バスの維持発展に大きな役割を果たしたが、今後、それでは公共交通のネットワーク維持が困難になることは明白だから国も大きく方向転換したにもかかわらず、各事業者がそれを認識していない、あるいはあえて認識しようとしていないことだ。昨日も書いたように、長期的な環境変化の中、本当に少しでも長い期間バスが市民の役に立ち続けようと考えるならば、「よかった頃」の考え方そのままでは通用しない。「悪くなった後」の実情に合わせたバス事業のあり方が求められているのだ。繰り返すが内部補助自体が悪とは思わないが、結局は「変化を拒絶し現状を維持するための錦の御旗」として使われる内部補助理論は、「気がついたら危機に陥っていた」今日のバス産業の象徴に思えて仕方がない。

「50年後のバス産業のあり方を考え、本当にバスの将来を憂え、そして本当にバスが大切なら、気軽に内部補助理論を持ち出すはずがない」などと酔っ払って大上段に構え、業界経験豊富な「行事役」から、「成定さん、バスにたずさわって何年? 50年後なんて見えるの?」とたしなめられた。もちろん50年というのは根拠があって挙げた数字ではないが、少なくとも私自身はあと20年30年、そして今バス業界に就職した若い人たちがリタイアするまでバスでメシを食っていくためにはバス産業はどのような変革をしなければならないか、誰かが考えないといけないはずだ。私が今後の人生の中でどのようなスタンスでバスに向かい合うことになるのかは未だ全く見えないが、高速バスに販売サイドからかかわる今の仕事においても、将来たずさわるかも知れない別の仕事においても、バス産業についてのロングスパンのビジョンは忘れないようにしたい。合わせて、既存事業者たちにとって「口に苦い」コメントを続けていきたいと思う(私のコメントが本当に「良薬」なのかどうかは歴史の判断を待つとして、だ)。既存事業者に厳しいコメントをする理由はただ一つ。今後においても彼らがバス産業に対し果たせる役割は大きいと信ずるからだ。

高速バスを巡る制度のあるべき姿(端的に言うと、高速路線バスと高速ツアーバス双方の長所短所を比較し、なるだけ長所ばかりを集めた新しい高速バスの制度)が近い将来できあがればいいね、という私の意見に「えらく理想主義的というか、大掛かりな話だね」という反応をいただくことも多いが、高速ツアーバスが生まれた10年前に、やがて行政が高速ツアーバスの存在を追認し公的に認められた業界団体(高速ツアーバス連絡協議会)まで設立されることなどその時点で誰が予想しただろうか。いや、共同運行を前提とした免許秩序が生まれ各地域の路線バス事業者が高速バスに自ら高速バスに参入するようになってわずか30年、ダブルトラックが認められ始めて20年。「業界の常識」だと思われることでもその程度の歴史しかない。あるべき姿は追いかけ続けるものである。

今後、お取引先としてお付き合いさせていただく既存事業者はどんどん増えていくだろうが、私たちは、馴れ合いというか、居心地はいいがお互いの成長を促さない関係性を彼らと築くつもりはない。あくまで販売というパートのさらに一部分をお手伝いするだけの関係だが、もしも相手が進化をあきらめ立ち止まってしまえば「もっとがんばれ」とお互いに言える関係を作ることを、いつも心がけていこうと考えている。





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Last updated  2010.02.24 17:59:43
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夜明け前が一番暗い・・・のかな?  
経済人@尾張藩 さん
いつも、ブログを拝見しております。
さて、既存事業者への営業(=説得)を精力的にされている様子がヒシヒシと伺われるわけですが、その成果は・・・?という状況なのでしょうか。
ただ、こと高速バスに限った話をすれば、販売方法はウェブを前提に考えることが当然であるだけでなく、きめ細かい価格設定と広範な顧客層に応えるようバス車両(というか、端的に「座席」と言ってもようでしょう)もバリエーションを増やしていくことが常識化していると思います。
ただ、多くの既存事業者は平場の路線バスを数多く抱え、その部門が従業員、営業所、バス車両及び売上の面でも高速バス部門より大きいため、なかなか決断しきれないのではないでしょうか。
平場の路線バスを変革しようと考えた場合、一企業の取り組みだけでなく、その地域全体の取り組みとなるだけになかなか難しい問題です。
とはいうものの、規制緩和により、路線の退出が企業側から言えば容易になった分、内部補助理論は事実上考慮しなくてもよい状況ですから、地域に大きな影響が出ることを覚悟しつつ、大胆に変革を実行すべきだと考えます。
「バス」という交通モードには、それ相応の長所があるだけに、あとは知恵の出し方だけだと思うのは私だけではないと思います。 (2010.02.26 00:07:21)

続・夜明け前が一番暗い・・・のかな?  
経済人@尾張藩 さん
やや筆足らずで、誤解を生む表現がありましたので、解説します。
>さて、既存事業者への営業(=説得)を精力的にされている様子がヒシヒシと伺われるわけですが、その成果は・・・?という状況なのでしょうか。
と表現しましたが、これは、「その成果がよい方向に向かいつつあるのか、それとも依然として険しいのか、教えてほしいなぁ~」というものです。
文章の理解の仕方では、やや皮肉っぽく読めるので、より正確に表現しておきたいと思います。
・・・文章表現は難しいですね。 (2010.02.26 01:05:06)

Re:続・夜明け前が一番暗い・・・のかな?(02/24)  
コメント(あと今回はお気遣いも)ありがとうございます。
まず1つ目のコメントについては、おっしゃるとおりだと感じました。平場の路線バス維持の件については難しいことも多々ありますよね。1つ言える事は「これまでこうだったから」という仕事のやり方ではもう未来はないということかと。
2つ目のコメントへのお答えですが、事業者を回っていると2つのタイプの方とお会いします。高速ツアーバスの成長を(好き嫌いはともかく現実として)踏まえて高速バスの打ち手を考える方と、とにかく高速ツアーバスは許せないから前提として考えたくないという方です。ようやく私も後者の方ともみっちり商談ができるようになったというのが今回のお話で、その意味で大きな進歩です。この件は、「発表を楽しみにお待ちください」としか言えないですね(笑)。とにかく「立派な」会社ばかりで意思決定に時間がかかるのには閉口しておりますが(苦笑)。
またコメントをお待ちしております。 (2010.02.27 03:52:56)

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