成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.02.28
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カテゴリ: バス産業
昨日は、「西口」(新宿高速バスターミナル)バイト時代の仲間たちと、1000円キャンペーン中の新宿-沼津線で1往復。「西口」から高速バスで出発するのも懐かしくて感慨深いが、バスが一般道に降りた後、沿道の商店のウィンドーやカーブミラーにスマートな京王カラーの車体が映りこんでいるのがふと目に飛び込んできたりすると、ちょっとハッとする。仲間との会話でも、つい「ウチのバス」というような表現が喉元まで出掛かって慌てる。子供のころ草野球をした実家近くの公園とか、楽しい数年間を過ごした大学のキャンパス(というより周辺の飲み屋?)とか、正社員として10年働いたホテルのロビーとか、懐かしいと思うところはたくさんあるけれども、「西口」と京王の高速バスはやはり別格。今回は沼津線ということで中央道ではないとはいえ、間違いなく私の高速バスビジネスにおける「本籍地」は西口であり、また大都市の大手事業者と地方の事業者との共同運行により高頻度で運行される昼行路線だ。私のサイトはいまは長距離夜行、それも高速ツアーバス業態中心だが、一刻も早くこのような高頻度昼行路線の販売(特に大都市側での需要喚起)をお手伝いさせてもらいたいと強く感じた。

さて話は変わるが、雑誌『鉄道ジャーナル』は、鈴木文彦先生が担当なさっている「バスコーナー」のページだけ(実は立ち読みで)目を通させていただいているが、 最新号(2010年 4月号) の別のページに掲載されている鈴木先生のコラム「鉄道の周辺でいま起こっていること」が面白いよ、と薦められそちらも読ませていただいた(鈴木先生がこのコラムも担当なさっていると実は知らなかった)。内容は地方の公共交通維持と「1000円高速」の問題について、主に西鉄の路線撤退問題を事例に考えているものだ。引用すると<ここからは私見で西鉄に本意を確かめたわけではないが、(中略)合理化計画を明らかにした背景には、こうした公共交通が直面している課題や、放置すれば公共交通網が崩壊しかねないという危機的状況を、地域や自治体に本気で考えてもらいたいという、戦略的な意味も含まれていたのではないか><(地域や自治体は)路線廃止などの現実を突きつけられると、あたかも事業者が公共的な義務を放棄するかのような言い方で、責任を事業者に押し付けがちである>

まったく同感である。そしてその後に多くの現場を回っている鈴木先生らしいエピソードが続く。<富士急行線の取材のために現地を訪れた際、鉄道担当者が「沿線に鉄道事業の厳しさや利用が減っている実態を説明してもなかなかわかってもらえない」と嘆いていたので、沿線でいろいろ聞いてみると、どうも「富士急ほどの会社が倒れるわけがない」「ほかで儲けているのだから利用が減っても富士急の鉄道が廃止になるわけがない」といった楽観的な思い込みが蔓延しており、危機感が全く感じられなかった>。別の県では<県はもちろんその県内の市町村も、それまでバスに補助金を出した経験もなく、バス路線がやっていけなくなるかもしれないという発想も、そうしたことへの対応策も(当時)全くなかった>のだそうだ。目に浮かぶようなシーンである。まず、全くもって同感である。同時に、なぜそうなってしまったのかは考える必要があるとも思う。鈴木先生は大人だから(あるいはお立場上か)あえて書いておられないのかな、と(勝手に)感じたことが3点ある。

まず1点目は、「○○バスほどの会社が倒れるはずがない」と思い込んでいる人はたしかに地域にも多いが、同時に当のバス事業者の社員にも多いのではないか。さらに最近、事実上倒産に追い込まれた事業者が、産業再生や民事再生などの手法で事業を継続していることが(そのこと自体はいいことには違いないが)「バス事業者は潰れない」という誤った誤解を社内にも与えていないか。事業継続とはいえ、多額の借金を「許してもらった」ことに違いなく、社会に迷惑をかけていることは事実としてバスにたずさわるものは認識をしないといけない。2点目は、バスが赤字でもなんとかしようとする事業者の努力が、結果として上記事態を引き起こしているのではないかという点だ。例えば私個人はいたって健康だが、明朝起きたらどうも胃の調子が悪いとする。だが「まあ、会社にいけないほどじゃないし」と我慢して生活し、そのうち取り返しのつかない胃の病気が進行していたとすれば、私がある日突然いなくなれば家族や会社はもっと困るだろう。悪いなら悪いでちゃんとそれを周囲にアピールしなければ、家族もお医者さんも何もできないのだ。3点目は、周りからそう思われるほど、ちょっと前まで路線バスは「儲かる」事業だったということだ。路線バスが余りに満員で窓ガラスが割れたとか、乗客の重みで車体が沈んで路面と接触して火花が散ったとか、そんな思い出話は既存事業者の古株社員からいくらでも出てくる。あるいは地元の名士企業としての地位が確立しており、「○○さんの息子さん、△△バスに就職したんだってねえ。昔からよくできたもんね」などという会話が地域で交わされたことだろう。それがいま、急激な環境変化にあえいでいる。

路線バス事業を投げ出せ、と言っているのではない。路線バス事業を継続させるためには、本来それが「公共」が担うべき分野であることを社会に説明しより多くの公的なお金を入れてもらうしかない。しかしいまのままの制度では補助金垂れ流しが増えるだけで逆に社会から「税金泥棒呼ばわり」されるリスクがある(現実に 北海道中央バスの路線廃止問題 ではバス事業者2社がかなり悪者扱いされた)。だから自分たちも身を切る姿勢を示し、公共交通網を維持しつつも独占から生まれる非効率さを招かないよう新しい制度をみなで考えるべきだ、と言っているのだ。鈴木先生は<何もせずに流れに任せていたら、バスや鉄道はなくなってしまいかねないという危機意識を、地域に持ってもらうことは大切だ。そして地域の公共交通のあり方を自治体も住民も、本気で議論すべき時がすでに来ている>とまとめておられる。繰り返すが、心底同意した上でなお、付け加えずにいられない。バスがなくなってしまう危機意識を持つべきなのは、そしてその上で地域を議論の場に引っ張り出す役割を担うべきなのは、他でもない、バスでメシを食っている張本人たちである。





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Last updated  2010.02.28 21:38:59
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
京帝117@ Re:新宿高速バスターミナル(02/21) 私がカウンターに座っていた時は、空いて…

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