成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.04.12
XML
カテゴリ: 高速路線バス
先週土曜日はバイト時代の友人たちと千葉方面へ。一度乗りたいと考えながら、近すぎてついつい先送りにしていた京成バスの 「マイタウンダイレクトバス“ちばきたライナー”」 に初乗車。一般的な「都市間の高速バス」よりずっと短距離の、都心に出ようと思えば路線バスと通勤電車を乗り継がねばならない郊外から都心直通サービスを提供するという路線だ。私の実家近くでも神戸山陽バスの 垂水・三宮線 が好調だと言われているし、そもそも名鉄バスセンターから頻発する名鉄や三重交通の短距離路線、福岡県における西鉄の路線など、同種の路線は全国でけっこう見られるのに東京ではまだ数が少ない。慢性的な渋滞の影響もあろうが、東京や大阪では事業区域が細分化されており郊外の事業者は都心に自社バス停を持っていないし、かといって共同運行にすると便数が折半されてしまう。その意味では、東京駅などの「都心」は事業区域でなかったにもかかわらず様々な経緯から東京駅前の路上にバス停を持つ京成バスは比較的やりやすい立場ということか。

この種の路線は、ウェブマーケティングを導入することで乗客数が一気に増えるわけではないから直接的には今の私の仕事の範疇外だ。そもそも予約制ではないから今の事業モデルのままでは取扱さえできないし、ウェブマーケティングは何も代売モデルだけではなく非予約制路線であってもウェブがお手伝いできる範囲はあるとはいうものの、本路線のように観光客の送り込みを期待せず、現地側での集客だけで商売をしようとすると、ウェブよりもむしろ新聞折込やバスマスクそしてリアルなクチコミ(要するに井戸端会議や噂話による認知拡大)の方が効率がいい。なんらかの理由でこの路線に予約制を導入する(例:満席率が高くなり「多少高くてもいいから座席を確約して欲しい」というニーズが高まった、など)としても、事業者側からすれば私のサイトに「送客手数料」相当の費用を払う意義はなく、発車オーライネットなど基幹システムへの「システム利用料」で十分だ。ただ仕事では噛めないとはいえ、これまで高速バスなど乗ったことがなさそうな人が続々と高速バスに乗り込むシーンを見るのは素直に気分がいい。日ごろより、既存の路線バス事業者は「空中戦」に比べ「地上戦」の方が得意だと申し上げているが、全国へ向けて走る高速バスを大首都圏マーケット全域において認知させようとすると空中戦が必要だが、本路線のように特定の地域から東京都心への足ならば地上戦の方が都合よく、路線バス事業者の得意分野を活かして新しいマーケットを開拓したと言えるだろう。

そうなるとこの路線の今後は、商品そのものをどうブラッシュアップしていけるかにかかっているだろう。ダイヤやルートは十分に吟味して決めただろうが、とはいえ実際に運用してみると「この時間帯に1本あれば」など、事前には予測しなかった声も上がってきているだろう。もう少し便数が増えるようなら現地側で複数のルートを設定し、主要バス停ではフリークエンシーを確保しつつ末端部分では「面」を拡大することも有効かもしれない。そのような「声」をいかに多く集め商品にフィードバックさせていくかが鍵になろう。大切なことは「作りっぱなし」にしないことだ。

都心側のバス停についても、現在の東京駅八重洲口(と、待機場所を兼ねる潮見駅)がベストかどうか。たしかに東京駅は長距離交通の結節点だし八重洲口には百貨店があるとはいえ、平日ならともかく週末に「都心に行く」といった場合、年齢が高い層なら銀座、若い人なら渋谷、原宿、六本木あとは新宿だろうが、こういった繁華街への地下鉄との乗換の便など考えても、「東京駅」という名前の巨大さ?ほどには便利な場所とは思えない。もちろん現実にはバス停確保という別のハードルが存在するから簡単ではないだろうが、あきらめなければ何かアイデアは生まれるはずだ。

バス停といえば、本路線のために八重洲口で京成バス3つ目のバス停となる「3番乗り場」ができていたのには驚いた。高速ツアーバスの企画兼運行会社で高速路線バス業態に移行、また貸切専業事業者で高速路線バスへの参入を希望する会社は少なくないが、いずれの会社も大都市側でのバス停の問題で断念せざるを得ない状況だ。ここで詳しく書けないが、その状況は横で見ていて本当に歯がゆい。乗合バスの需給調整は撤廃されたはずなのに、事実上はバス停の権利の問題がネックで(高速路線バス業態での)新規参入がなかなか進まない。しかし京成バスともなると八重洲口という一等地に新しくバス停を確保できるのかと思うと、もちろん簡単なことではなかっただろうからそのご努力に敬意を払うと同時に、少し羨ましいというか複雑な気持ちになる。

ちなみに夕方、八重洲口に戻ってくると、鴨川、小湊方面の京成系高速バスが発着する「2番乗り場」のちょっと先で、高速ツアーバスの一種と言えなくもない 「鴨川・小湊温泉バス」 が満員の乗客の降車扱いをしていた。フルラッピングのクルマだったから最初は事業者名がわからず、高速バスターミナル勤務時代の癖が出て(つまり路線バス事業者の気分で)「ここは高速バスのバス停ですよ。貸切バスは出て行ってください!」と叫びたくなる衝動にかられた(←今でもこういったシーンでは本当にこんな衝動にかられる。「高速バスっぽい貸切バス」を追い出したくなるという感覚は体に染み付いていて、このような「現場」ではムクムクと頭をもたげるのだ・・・)。ただ、よく見ると企画実施は「京成トラベルサービス」、運行は「京成バスシステム」だと気づいた。すると今度は、高速ツアーバス連絡協議会事務局として、高速ツアーバス各社の集合場所の「正常化」のため関連各機関との調整に追われている今の自分の立場を思い出した。「大手私鉄系の会社でも堂々と路上で乗降扱いしてるじゃないか、なんだよ。みんな高速ツアーバスを悪者にするけど・・・」。と、そこまで考えてもう一つ大切なことを思い出した。京成バスシステムという会社は、 「あみプレミアム・アウトレット号」 既存事業者という「ムラ」の境界線 の今後も、一筋縄にはいかなさそうだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2010.04.12 18:51:12コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Profile

nalys

nalys

Comments

京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
京帝117@ Re:新宿高速バスターミナル(02/21) 私がカウンターに座っていた時は、空いて…

Calendar

Archives

2026.10
2026.09

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: