成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.05.17
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カテゴリ: 高速路線バス
ホテル勤務時代に私はウェブマーケティングとレベニューマネジメントに出会い、この二つの新しい概念を高速バスに持ち込めば高速バスはさらに拡大するだろうと感じた。大学を(すなわち高速バスターミナルでのバイトを)卒業するに当たって高速バスを一生の仕事とすることをあきらめて(理由は簡単。いくら私がバスを好きでも、規制に強く守られた業界に就職すれば私自身がその「枠」に収まりきらないだろうと危惧したから)から10年が経過していたが、忘れられない高速バスへの強い思いと、ホテルの仕事を通じて出会ったこれら二つの新しい概念とが私の中で何となく焦点を合わせ始めたその時、まるで誰かが見ていたように今の私の会社が高速バス予約に参入することを決め、それを聞いて私は転職を決めた。当時私は筋金入りの「アンチ・ツアーバス」論者。迷いに迷ってそれでも転職を決めたのは、当面は高速ツアーバスのみを取扱うとしても時間をかければ、それがどんなに困難でも必ず高速路線バスも取扱をさせてもらえると信じたからだし、逆に、いったん高速ツアーバスという「敵」を育て上げて既存事業者の危機感を醸成することこそ、既存事業者の重い腰を上げさせる唯一の方法だと思えたからだ(一時は、「ウチの会社もあえてツアーバスを相手にせず最初から高速路線バス一本に絞っておけば」と考えたこともあるが、仮にそうしていたら高速路線バスを未だ1路線さえ扱えていなかっただろう)。

その後、仕事として高速ツアーバスの企画実施会社と付き合う中で、あれほどバカにしていた高速ツアーバス各社の、非常に強い成長意欲とそれ故の実は非常に真摯な仕事ぶりを見るにつけ、「当面は我慢して高速ツアーバスの連中と付き合う」というネガティブな感情は消え、「路線かツアーかといった業態を問わず、既存か新興かといった事業者の性格は問わず、ウェブマーケティングを通して高速バス市場全体を大きくする」という現在のビジョンへと私自身の考えも変化した。ただ、それは必ずしも既存事業者や高速路線バスへの思いが小さくなったことを意味するのではないつもりだ。だからこそ、足元の収益を上げるためだけなら成長率の大きい高速ツアーバスだけを徹底的に育て上げるという選択肢があったにもかかわらず、経営陣に了解を得て3年間も結果の出ない既存事業者への営業を続けてきたのだ。

その、高速路線バスにもウェブマーケティングを持ち込めば彼らもまた高速ツアーバス同様の成長を成し遂げることができるという信念(当然、そうなれば私の会社の成長にもつながる)を、理屈として間違っていたとは思わない。感情としても、関西出身の私がいま東京に住んでいても阪神タイガースを応援するのと同様、学生時代以来の高速路線バスへの思いが急に消えるはずもない。そして、「敵」呼ばわりされて最初は名刺を受け取ってさえもらえないといった状況から3年間営業を続け、昨年末、わずかな会社数ながら高速路線バスの取扱を開始することができた。来月にかけ、さらに新しくご契約いただく事業者たちもいる。業界を知る関係者は「ここまで来たら、あとは時間の問題だよ」と声をかけてくださる。契約してくださった事業者の担当者たちは社内外の調整が本当に大変だっただろうし、経営者の方もよくぞご決断いただいたし、ここまで来られたのは様々な関係者のご協力があってこそだから、その皆さんにはいくら感謝してもし足りることはない。

一方、悲しいことも多い。「ここまで来たら時間の問題」とおっしゃってくださる方がいる一方で、今日の高速バスを巡る環境を一切理解せず、未だ「ツアーバスは違法だ」と(それもかなりの屁理屈で)主張しておられる事業者があるのは事実だし、そうやって目の敵のように言う割には「敵」である高速ツアーバスのことを何も把握、分析していない事業者とはしょっちゅう出会う。彼らは本気で自分たちの事業を守ろうと、それを育てようとしているのか、正直なところ疑問に思えてしまう。自分たちの成長を望んでいない人たちのために、なぜこちらが一生懸命にならないといけないのか。

そんなことを思い始めたのは、これまでは「高速ツアーバスは大都市間路線では成長できても地方路線では(条件が揃った宮崎~福岡などを除き)苦戦するだろう。結果として両者はおおむね住み分けるだろう(ただし、高速ツアーバスが地方路線での勝ちパターンを見つけるより先に高速路線バス各社が本気になればさえ)」と考えていたにもかかわらず、このままだと高速ツアーバスの勝ちパターンが地方路線でも確立しそうな気配がしてきたからだ。営業的な側面だけではない。関係諸機関が、従来では考えられなかったくらい高速ツアーバスの存在を前提に各種対応を行なってくれる(こればっかりは、国土交通省にご協力いただき高速ツアーバス連絡協議会を設立して本当によかったと満足している)。

私もマーケティングにたずさわる者の端くれである。もしも「高速ツアーバスをさらに成長させるには」というお題であれば、その回答はいくらでも用意できる。販売手法はもちろん、事業そのもののあり方まで踏み込んで「ここをこう変えれば」「この点をもうちょっときちんと対応すれば」と伝えたい点がたくさんある(その意味では高速ツアーバスの課題は山ほどある)。逆に言えばこれまで私は、高速ツアーバスの成長支援に「本気」だったか。もちろん、人並み以上のパワーを彼らの成長のために(単に販売面のサポートのみならず、業界全体の「黒子」として)割いてきたつもりもある一方、私の意識はどこかで常に「高速ツアーバスを大きくして既存事業者に危機感を与えることで彼らの目を覚まさせる」というように高速路線バスの成長だけを願ってきたのではないか。そしてこの状況で、一部の理解ある事業者や(会社としてはダメでも)理解ある担当者を除き、昨日までと同じように毎日を過ごそうと市場環境の変化に目を背け続ける既存事業者やその高速路線バスのためにがんばらないといけない義理は本当にあるのか。

「ミイラ取りがミイラに」と嗤われるならそれも結構。会社としても私としても進むべき道を決める基準は「高速バスマーケット“全体”の成長、最大化」につながる道かどうか、という点のみ。その原点に戻って今後進むべき道をもう一度、イチから考え直す時期に来ているのかも知れない。





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Last updated  2010.05.17 19:24:24
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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