成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.07.07
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カテゴリ: バス産業
毎年のことながら、夏休み前のこの時期、私たちには「1年で最も大変な2日間」が訪れる。一昨日は、全国からお取引先に集まっていただいての「戦略共有フォーラム」、昨日は、私たちが事務局を務めている「高速ツアーバス連絡協議会」の年次総会だったのだ。本来、この二つは全く別のイベントである。後者には私たちにとって直接の競合先に当たる高速ツアーバス受託販売会社(総合予約サイト)も理事や会員として数社ご出席になっているわけだが、高速ツアーバス企画実施会社の中には遠方から東京に足を運び二つのイベントに共通して参加する経営者、担当者が多いこともあり、競合先にも事前にご了解を得て両者を連続して開催する形が定着してきた。

まず一昨日の戦略共有フォーラムは、昨年までの「高速ツアーバス戦略共有フォーラム」から晴れて「ツアー」の3文字が消え、今年からは「高速バス戦略共有フォーラム」に改称となった。もちろん、新たに取引先となった数社の高速路線バス事業者の担当者さんたちもご参加いただいている。もっとも、まだ契約がない一部の高速路線バス事業者やその関係者に「聴講」という形で非公式に参加いただく形は今年で3年目だから、「高速路線バス事業者と高速ツアーバス企画実施会社が机を並べて勉強している」という図そのものは目新しいものではない。ただ昨年までの「聴講」者が、大都市圏のハブ的な大手系事業者が中心だったのに対し、今年は(「公式参加者」である弘南バスなども含め)地方の路線バス事業者の経営者、担当者の顔ぶれも目立ったのは印象的。大都市圏の大手事業者の一部には、私の顔を見るたびに「お前らが既存の高速バスから乗客を奪い、ウチの共同運行先各社のジリ貧にし、過疎地の路線バスを廃止に追い込んでいるんだ」と噛み付く方もいらっしゃるが、まさにその共同運行先たちが私たちの話を聞くために遠く東京まで足を運んでくださっている事実をどうお考えだろうか。

そう考えると、一口に「高速路線バス事業者」「既存事業者」と言ってもいくつかタイプ分けできそうだ。まず大都市圏の事業者だが、鉄道や他のグループ会社と人材が流動的に入れ替わる会社、あるいはグループの新卒社員のうち比較的優秀な人材がバス部門に投入されると言われている大手私鉄系事業者は、みなクレバーだ。他業種で「自ら集客する大変さと楽しさ」を学んだ人たちがバスの管理部門に順繰りに回ってくるので、変化の必要性もよくご理解なさっている。逆に鉄道や他のグループ会社と人材流動が少ない事業者は、そこだけ見るとバスに特化したプロパー社員が育ちそうに思えるのだが、何せ「今の上司とは、一生にわたって上司部下」という関係になりがちで、上司との関係維持に腐心する余り社員さんが自ら思考することを止めてしまうように見える。前者は総じて社内組織の適正化にも熱心で、いかにもマーケティングや新商品の開発が好きそうな顔ぶれを営業や企画チームに集め、オペレーション(運行)について責任を負う「運輸課」「乗客課」などと対置させている。逆にマーケティングもオペレーションも同じ部や課で責任を負う昔ながらの組織形態を保っている事業者は、変化への対応が遅いように思われる。

地方の事業者は、もっとわかりやすい。一度経営が行き詰まり何らかの形で経営者が入れ替わった会社かどうか、という一点がその境目だろう。しいて言えば、ダメになるならダメになるで経営が完全に入れ替わった会社の方が、周辺産業の企業が、バス事業への憧れ半分、地元への恩返し半分で経営に参画したケースなどよりも意識変革は速そうだ。いずれにせよ大都市の大手、地方の老舗に共通して言えるのは、 「会社」としてちゃんと組織が成り立ち、「経営」に携わる人と「現場」のマネージャーでちゃんと役割分担 ができている事業者とそうでない事業者に明確に差が出てきた、ということだろう。そんなことを、今回フォーラムにお越しいただいたお顔ぶれを見ながらあらためて実感したしだい。

一昨日のフォーラムで私たちがお示しした「これからの高速バス業界のあり方」が全て正しいと言い切るつもりはないが、過去4回のフォーラムで共有してきた内容はおおむね実現してきており、今回ご参加いただいた高速路線バス事業者の皆様にとっても、少なくとも今後起こりうる変化の可能性を事前に予知することができたという意味で、このようなイベントに関心を示さない他の事業者より一歩先んじたはずである。

一方、昨日の「高速ツアーバス連絡協議会」は、企画実施会社、運行会社、受託販売会社など合わせて80人を超える出席があり、私たちはその事務局として会場の手配やプログラムの準備、当日の司会進行などを一通り担当した。例年通り、NASVA(独立行政法人 自動車事故対策機構)の金澤理事長からご来賓挨拶をいただき、国土交通省自動車交通局の山崎・安全政策課長から『ツアーバスの安全対策』と題した講話をいただいた。山崎課長の講話にも当然出てきたが、本年から運輸安全マネジメントの評価義務付け対象事業者が拡大しており、「高速ツアーバス事業者」もその対象であると通達に明記されているので、今年は特に運行会社の真剣さが目立った。会としては、前期半ばから会長代行を務めていただいていたウィラー・トラベルの村瀬社長を正式に会長に、平成エンタープライズの田倉社長と桜交通の小櫻常務を副会長(田倉氏は留任、小櫻氏は新任)に選出して幕を閉じた。

事務局として一日中裏方で走り回っていたが(というか、総会準備にかけてきたリソースも計り知れないが)、それでも当日さりげなく手伝ってくれたり労をねぎらってくれたりするのは、意外にも直接の競合に当たる受託販売会社(予約サイト)の連中だったりしてちょっと嬉しい。取引先に当たる企画実施会社各社や、そのまた取引先に当たる運行会社よりは、「業界全体」の黒子的な意識が強いのかな。

また来年、「暑くて長い2日間」が訪れたとき、高速バス業界はどのように進化しているか。その図を想像しながら、また本日から通常の業務が再開する。





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Last updated  2010.07.07 18:25:15
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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