成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.07.20
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カテゴリ: バス産業
西日本の既存事業者数社を回った後、先週土曜日は 「Qサポネット」第1回勉強・交流会 に参加させていただいた。会場の九州大への路線バスは、貴重な「バス専用道」を経由しその時点で気分は盛り上がる(?)。約60人もの参加ということで、代表世話人の大分大・大井先生をはじめ世話人の皆様の熱意とご努力に敬意を払いつつ、なにより「成功おめでとう」と「お疲れ様」を申し上げたい。私自身、高速バス(「路線」「ツアー」両方)にたずさわる若手を集め小規模ながら勉強・交流会を開催したこともあるのだが、二度目が実現しないまま「忘れたフリ」をしている身である。これだけの規模でのイベント成功の裏側には相当のご苦労があったものだと想像する。

「地域交通」をテーマとするイベントに、直接は地域交通にタッチしない私が出てもいいものか迷ったのだが、大井先生から「多様なバックグラウンドを持つ人が集まることに意義がある」と熱心にお誘いいただいて出張を組んだ。せっかく「異なる立場」から参加させていただくのだから、グループ討議や発表の機会では、なるだけ、あえて私なりの視点に立って(既存事業者からは出てこなさそうな)意見を申し上げようと思い参加した。「公共交通とは?」「路線バスとは?」「バスを守るには?」という本質的な議論になろうから、あえて申し上げようと事前に準備したのは次の2点である。一つは「高速ツアーバスを育て既存事業者の高速バスの収益を圧迫し、過疎地の路線バスを廃止に追い込んでいる」と非難されがちな私の事業そのものについて。もう一つは、消費者ニーズを吸い上げることを仕事とする今の立場に基づき「地域交通は本当に地域住民のニーズを把握、あるいはニーズを創出できていますか?」という疑問だ。

一つ目の「内部補助理論」の件については、グループ討議(各グループは、行政、コンサル、事業者からバランスよく構成)に入ってすぐ、あえて一石を投じる必要が無いことに気づいた。そこにいた誰もが、旧来の内部補助理論で過疎地のバスを維持できないことをよく理解なさっていた。他グループの発表を聞いてもそのような議論は無かったようだ。懇親会の場である先生がおっしゃっていたが、<地域交通は「社会インフラ」の一種。そこに議論の余地なし。地域交通が民間で「成り立ってきてしまった」のは、様々な好条件に恵まれた「日本の奇跡」。 「阪急モデル」 を作り上げたのは立派だが、今後それでは地域交通を維持できない>という考えに全く同感。「奇跡」が今後も続くのではないかという淡い願望にすがり付くことが許されるほど、地域交通はどうでもいい存在ではないはずだ。

二つ目の「ニーズの把握と創出」という点は、<公共交通にそもそもニーズ把握は必要ない>という意見をいただいたりもしつつ、私なりのメッセージをお伝えすることはできたと思う。バス事業者や行政にニーズ把握の能力が無いと言っているのではなく、無競争状態(実際にはモータリゼーションの進展や人口減、少子化などの外部環境とは競争状態なのだが)となることが多い路線バス事業においては、どうしても「目に見えるニーズ」(いま使ってくれている乗客の苦情。政治家や有力者の声の大きさなど)にのみ焦点が当たり、潜在的なニーズやウォンツは忘れがちになる。これが競争状態なら「トヨタが掘り起こし忘れている潜在需要があればニッサンが掘り起こす」ことで一件落着するのだが。

また、ふだん会えない地方自治体の皆様のご意見を多くお聞きできたのも収穫が大きかった。本来なら行政が担うべき地域交通の設計・維持機能を、この国では民間が担当してきた。上記の通り、それはある時代には意味があったにせよ、もう限界だ。一方、ある日突然、事業者側から行政に「赤字だから補助金ちょうだい」ではうまくいくはずもない。これはある事業者さんが別の場でおっしゃっていた言葉だが「ウチの社員が役所に顔を出すのは、路線を廃止するときだけ」というのは、あながち誇張ではないのだろう。今後は、「カネ」を出しその分「意思決定」も求められる行政と、ここまで数十年間の「データ」や「経験」を持つ事業者との、より緊密な信頼関係が求められていくのだろう。それを単に「信頼関係が大事だ」という精神論に止めず、お互いに緊密な関係を持つことが双方にメリットをもたらすような「仕組み」作りが肝要だと感じた。

さて、今回「考えるきっかけ」として北九州市の百武係長がご紹介くださった 北九州市の「おでかけ交通」 は、狭隘地のためバスが運行していなかった(しかしほどほどの人口規模はある)地域に乗合タクシーを導入した例として(趣味的?にも)興味深かったが、成功したのはおそらく既存のバス路線がない地域での「新規サービス」だったからで、その点は何かを象徴していると思う。(あくまで仮定の話だが)地域独占の既存バス事業者という存在がそもそも無かったとしたら、各地域に合ったサービスがもっと柔軟に多様に展開されていたかも知れないのだ。もちろん、地域全体の交通ネットワーク維持に責任を果たしてきた既存事業者の存在意義もまた大きく、一概に既存事業者の存在を良し悪しするつもりは毛頭無いのは当然だが。少なくとも、既存のネットワークをなるだけ効率よく維持するという短期的な観点と、「白紙」からこの国の地域交通を設計した場合の「あるべき姿」を描く長期的視座とを、並行して追いかけることを忘れてはいけないと感じた。






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Last updated  2010.07.20 17:53:48コメント(0) | コメントを書く


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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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