成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.11.11
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カテゴリ: 高速路線バス
事業者往訪の際にある大手私鉄の電車に乗ったら、その会社のグループ会社が運行する高速バスの車内吊りポスターが掲出されていた。最近は広告営業も厳しいだろうが、それでもその私鉄の中吊りというと、週刊誌など外部クライアントに販売すればかなりの金額になる価値ある媒体だから、何度も繰り返しているが既存の路線バス事業者は実は販売力という側面でも大きなポテンシャルを持っているなとあらためて再認識した。同時に、感じたことが二つ。

仮に私が、駅前で小さなお店を開いたとする。例えばクリーニング店とか居酒屋とか。遠方から客を集めるほど特別な店でもないし広告宣伝の資金も限られている。まあ、その辺でビラ撒きでもするか。では誰を対象にどのように撒くのがいいだろう。近所の家庭へのポスティング? 駅前でのティッシュ配り? 仮にクリーニング店ならポスティングが有効だろう。見込み客は店の近所の住人たちだからだ。居酒屋なら、周辺住民もターゲットに違いないが、会社帰りのサラリーマンにも立ち寄って欲しいから、朝の8時ごろや夕方以降の駅前で通勤客を相手に、チラシとか割引券を配るのがいいかも知れない。

決して、クリーニング店が駅前でチラシ配りを、また居酒屋がポスティングをしてならないわけでもない。もし私の友人がポスティング業者で<お前の居酒屋のチラシだったら無料で配ってやるよ。代わりにビールくらいサービスしてくれよな>ということだったら喜んでポスティングしてもらうだろう。上記の「クリーニング→ポスティング。居酒屋→駅前配布」は、使えるコストが限られている以上、少しでも効率のいい使い方をするべきだ、というだけの例え話だ。

となると、地方のある県において、地域全体に路線網を持つ路線バス事業者が車内吊りポスターで「○○県発の高速バス」を告知するのは効率的だ。見込み客のほとんどに、しかもその県から運行されている高速バス全てをまとめて告知できる。しかし首都圏の大手私鉄が高速バスの告知をしても、自社グループが走る「東京発○県行き」の告知しかできないばかりか、首都圏から○県に行く人は同社の鉄道沿線にだけ住んでいるわけでもない。親会社の鉄道車内で高速バスの告知をしてもらえるのは大変ありがたい話だが、それだけでは限界がある。友人が居酒屋のチラシを特別料金でポスティングしたとしても、やはり駅前でのチラシ配りも手を抜いてはいけないのだ。もっともこれが都市間ではなく、郊外の駅から羽田や成田空港行き、東京ディズニーリゾートやプレミアムアウトレット行きなどなら、ターゲットはぴたりと会うので車内吊りは最高の告知手法ということになる。

次にその広告を見て感じたのは、広告の内容が「○○グループの高速バスはコンビニ発券が便利です」という内容だった点。もちろん、予約や発券の便利さを訴求することで高速バスの需要喚起を図ることそのものは間違いではない。しかし各事業者は、そのようにポスターやチラシで(媒体料はグループ特別価格だとしても)コストをかけてコンビニ発券やウェブ発券の告知を図りつつ、コンビニやウェブ発券サイトに対しても発券手数料を支払っているのだ。ちなみに私たちのサイトは、ウェブ上で需要喚起から発券まで一貫して代行するのだから、他のウェブ発券サイトやコンビニとは明確に立ち位置が違う。私がご提案に伺うと「ウチもインターネット発券をやってるよ。コンビにもやってるし」と言われることがあるが、意味合いが全く違う旨、ご理解いただきたい。

私たちがいただく手数料も、だから、認知向上から予約、発券、クレジットやコンビニの決済にかかるコストまで全て含んだ額となる。他の予約・発券サイトの率と比べられ(というか、「業界の常識」と照らし合わせ)「なんとかならない?」と言われることもあるが、新規利用者の開拓にトータルでかかるコストで判断していただくしかない(もっとも、私が本ブログで高い高いと言い過ぎたのか、先日、初対面の事業者に現行の手数料率をお伝えしたら「その数字ならほっとしました」とおっしゃってくださったが)。

一方、私たちで販売させてもらう座席数は、繁閑に応じてしかもリアルタイムに事業者側でコントロールしていただいている。満席確実と判断した便はわざわざ余計な手数料を持ち出す必要はないからだ。私たちとしては、正直に言うと、例えば鉄道の車内吊りポスターで事業者自身が「高速バスの乗車券はコンビニで、○○サイトで」と宣伝してくれ、さらに各事業者のサイトからリンクで誘導してもらい予約と発券だけを請け負ってその手数料率なら、そして繁忙日も対象座席数を制限がかからない立ち位置なら、私たちの手数料率より低くても「おいしいなあ」というのが本音ではある。だが本来の立ち位置が他のサイトと違う以上、私たちとしては、事業者からいただく手数料以上のコストを新規需要の開拓に投下することもできないことを憂慮すべきだし、なにより、事業者のサイトからリンクで送客されたり繁忙日も無制限に座席を取扱いできたりすれば、私たちはどうしてもそれに甘え新規需要の開拓に手を抜くだろう。

お互いに高いハードル(私たちとしては、手数料率がネックとなって路線バス事業者との契約が進まない、あるいは今後も繁忙日に座席を提供してもらえないリスク。事業者にとっては、手数料負担と、それを最小限に抑えながらも売上を最大限にするための細かな座席コントロール)をかかげることでこそ、お互いにもたれ合う関係ではなく、お互いを高め合う関係になれると信じている。事業者自身が、手間とコストを従来よりかけ、新しい需要を自ら能動的に掘り起こしに行くことこそ、それによる成功体験を経営者も担当者も一人ひとりが感じることこそ、バス産業再浮揚の、小さくとも意義のあるきっかけになると信じている。板ばさみになる担当者の皆様には心苦しいが、生みの苦しみを避けて通るわけにはいかない。生みの苦しみを味わいたくないと考えていれば、そもそも私は何も今の会社に転職し、針の筵のようになりながら既存事業者に提案を続けるような生き方は選ばなかっただろう。この手数料率の問題は何かの象徴のように感じるだけに、簡単に妥協しないよう自らを律しながら、時間をかけてでも各事業者のご理解をいただくしかないのだ。それこそが、その事業者や業界の将来に必ずプラスになると信じているから。





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Last updated  2010.11.11 17:28:06
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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