成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2011.05.22
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カテゴリ: 高速ツアーバス
今週は、(飲み会も含めて)バタバタと忙しかった。忙しかったと言いながら、対価をいただける本当の意味での仕事よりは、業界や親しい会社のために手弁当で働いている時間の方が長い気がするが。早く、正当な売上をいただける仕組みを作ることと、事務作業などを「外出し(アウトソース)」することかな。クライアント企業(バス事業者)にはそれらの重要性など説いていたりするのに自分ではできていないということか。

親しい人はよくご存じだと思うが、私の場合、ガツガツがんばってお金を儲けたいという願望が人より明らかに小さく(コンサルタントの大先輩からは、お前は「お布施タイプ」だと言われた。困っている人がいたら助けて、もし後からお布施を差し出されればありがたく受け取るお坊さん、という意味らしい)、その意味では、好きなことをして(かつ、皆さんの役に立って)自分一人が食っていければ十分、というつもりで作った会社だ。ただ、その「好きなこと」が、「いろんな会社(私の場合はバス事業者)の売上や利益を最大化するための戦略を考えること」だから話がややこしい。クライアント企業に話している内容をそのまま自分の会社にあてはめると、<お前、もう少し戦略的に事業をやれよ>ということになるし、会社を大きくしたいとムラムラくることもある。まあ、長い人生だから将来はわからないけれども、現在のところは、人をたくさん雇って企業規模を大きくするよりは、「ピン」でメシを食えるよう各社のお手伝いを続けていきたい。

話を戻すと、忙しかった中でなかなか楽しい仕事だったのは、日本自動車工業会で講演をさせてもらったこと。バス車両メーカー幹部の皆さんとお話しする機会などめったにないから、彼らがどう考えているのかをお聞かせいただいたのも意味があった。

テーマにもよるが、私の講演では高速ツアーバス誕生の背景を説明する一節がある。募集型企画旅行(旧:主催旅行)で二地点間輸送を行なう先例として北海道の事例や「帰省バス」などがあるが、今日の高速ツアーバスはそれらとは関係ない。過去の話はいっさい端折って、<スキー人口低落によるスキーバス事業不振と、貸切バス需給調整撤廃や旅行の個人化などによる通年での貸切バスチャーター代下落の結果、スキーバス旅行会社は関西からTDR、首都圏からUSJといったテーマパーク直行バスを新施策として企画した。パーク周辺ホテルは満室で都心のホテルを手配したためバスも都心に停車し、そのうち利用者から都心間のみ乗車したいと要望が増え、自然発生的に誕生した>とごく簡単に説明する。

この部分を、さらっと簡単に済ませるのには理由がある。2001年にそのようにして誕生した業態ではあるが、その後4年間はニッチ商品の枠を出なかったのに対し、ウェブマーケティングと出会った06年から急激に成長カーブを描いているため、05年と06年の間に大きな断絶があり、その断絶こそ本質的な意味で「誕生」だと考えるからだ。

ただ今回、そんな話をしながら、あらためて自分が高速ツアーバスに出会った頃を思い出した。私が楽天に転職し高速ツアーバス各社(といってもその頃はまだ9社)と出会ったのは06年の春。今思えば、成長カーブの角度を正に上げようとした瞬間である。私はその時点ではまだ「アンチ・ツアーバス」であり、きわめて「既存事業者的感覚」を持っていたといっていい。私は、高速ツアーバス各社の経営者たちについて、きっと、熱い、暗い情念のようなものを持って、路線バス事業者の既得権益に風穴を開けることを目指しているんだろうと想像していた。それとも、よほどの金儲け主義者なんだろうと。

ところが、実際に会ってみるとそうではなかった。彼らは、旅行会社として、利用者のニーズに応えそれを創造することに喜びを感じている人たちだった。彼らの屈託のない笑顔に拍子抜けしたのを覚えている(なお、需給調整撤廃前に貸切バス事業に参入し規模を拡大させてきた貸切専業者の経営者たちには既存事業者への反発心もあったが)。品質が覚束ない状態で本質的には輸送サービスに当たる事業を行なったことに賛否はあろうが、本人たちは、目の前のお客様の声に応えていたらこうなったと、ごく自然体だったのだ。

あのとき私が感じた違和感が、既存事業者をして高速ツアーバス各社への理解を妨げる要因などだろうと、あらためて思う。既存事業者のメンタリティとしては、安全・安定に万全の配慮をしながら公共交通を守る使命感やプライドがほとんどを占める一方、心のどこかには既得権益と非難される恐れもまた、うすうす持っているというあたりだろう。それに対し「既得権益打破」とムシロ旗を掲げられるならまだしも、「お客様のために」などと正論を吐かれると、自分たちが守ってきたもの(あえて言葉にすれば「安全・安定」)の価値を認めない異国人と話すような気分になるに違いない(少なくとも私は最初そうだった)。

既存事業者が高速ツアーバス各社に対し生理的に感じてきた違和感、嫌悪感は私にはよくわかる。最近、多くの事業者、担当者が勇気をもってその嫌悪感を飲み込み、高速ツアーバスの手法のうち盗めるモノは盗もうとするようになった。そういう前向きな人たちの前では、その嫌悪感の話は「わかります」と言うのに留め、より有益な情報提供に話を切り替えるのに対し、なかなか自らを変えることのできない人たちには、わざと「マーケットのニーズ」とか「バス産業全体の将来」とか正論をぶって余計に嫌な気持ちにさせたりして内心は楽しんでいるけれど。

かつて書いた ように、両業態の関係者や行政によるラウンドテーブルの実現を望んできた。昨年、「バス事業のあり方検討会」として実現し、私自身もその委員に選んでいただいた。半年の議論も終わろうとしているが、最後まで、その無理解を埋める努力を続けていきたい。





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Last updated  2011.05.22 17:29:52
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
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