成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2011.06.16
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カテゴリ: 高速ツアーバス
「バス事業のあり方検討会」中間報告についての第3回。

業界メディア以外で書いてくれたのは、今のところ 『朝日』 のみのようだ。この記事、大枠は正しい内容なのだが、なぜか見出しが「高速ツアーバスに下限運賃制検討」となっている。議事録や報告書を読めばわかるが、そんな議論をしたことは一度もない。しいて言えば、一般論として<極端な安売りはよくない>という話が出た記憶があるのと、<高速ツアーバスの価格の柔軟性を「乗合」の制度で実現するとすれば、例えば上限認可、下限届出とした上でその範囲であれば事業者の裁量を認める、というのはどうかなあ>という案が非公式に出た程度だ。

おそらく、後半の「貸切バス」のパートと混同して記者さんが1行だけ「下限運賃検討」と付け加えたものを、今度は整理部が見出しとして切り出した、というのが真相だろう。報道に接する際の難しさをあらためて実感する。同じことは先日の「高速ツアーバス回数券」のときもあった。関係書類をよく読むとわかるが、<高速ツアーバスの回数券を販売することそのものは直接的には旅行業法上の問題はない。ただそうすると、資金決済法など配慮すべき他の要素があるので、そこはちゃんとやりなさい>という方向性が明確に示されたという話が、<ツアーバス回数券は法律違反>と全く正反対の見出しがついてしまったのだ。私自身はこの回数券の販売にかかわっておらずまあどっちでもいいのだが、何社かの路線バス事業者に上記の話をしたら<ぬか喜びだった>と苦笑しておられたので、別に高速ツアーバスの回数券が無くなるわけでない点は、お伝えしておきたい。

もっとも、今回の制度改正でそもそも高速ツアーバスというものそのものが無くなる予定なのだから(そもそも回数券のシェアなど微々たるものだし)、この問題も霞んでしまっただろう。本日は、高速ツアーバス側から見た「新高速」について見てみよう。

昨日書いたように1日単位、1台単位で事実上「車両の手配」が可能で、運賃もほぼ事業者の裁量でコントロールできるようになるので、高速ツアーバス企画実施会社が育て上げてきたノウハウはそのまま活用できる点は有利だ。だが考えないといけない点もある。

まず、「新高速」では、現在の企画実施会社の役割は「委託者」としてのバス事業者に変わる。つまり、純粋な旅行会社として(同一法人、グループ内にバス事業を持たずに)高速ツアーバス事業を営む企画実施会社は、自らバス事業に参入することがほぼ要求される(または「リテーラー」に移行し他社の代売に徹するか)。これには二つの意義がある。

一つは、バス商品の企画、運営する企業は、実際にバス事業そのものを営んでいた方が、知識の面でも意識の面でも感覚の面でもプラスだろう、という判断だ。バス事業者に求められる制度の知識や安全意識くらいは、企画側も持っておけ、ということだ。

そして二つ目の方が重要で、受託者の選定、管理を委託者が責任持って行なうようにする意義だ。旅行業法は、<旅行に使う交通機関や宿泊施設などは、彼ら自身がちゃんと法令遵守しており安全だ>という原則に立っている。文字で読むと何か無責任に見えるかも知れないが、交通機関にも宿泊施設にもちゃんとした業法がある以上、当然のことだ。旅行会社がツアーを企画する際、ANAやJRに法令違反がないかとか、ホテルが旅館業法はもちろん食品衛生法、消防法(非常階段を荷物置き場として使っていないか、など)に抵触していないかいちいちチェックしていたら仕事にならない。別に旅行業に限らず、<取引先に法令違反があったからお前にも罰則だ>などと言われたのでは世の中成り立たない。



そうなると、貸切バス事業者のあり方にも変化がもたらされるかも知れない。貸切バス事業者が「新高速」の運行を受託するためには、委託者に対し、積極的に、コンプライアンス体制や具体的な安全確保策をわかるように伝えないと、委託者は怖くて委託できない。一方、同一路線に複数の事業者が高速バスを運行するとともに、ウェブ時代に入って消費者側が手にする情報量が一気に増加した今日、営業主体(すなわち委託者)から利用者に対し「具体的に、わかりやすく」情報を提供することで他社との差別化を図ることが求められている。受託者から委託者へのセールス活動の目玉として提供されるコンプライアンスと安全に関する情報は、そのまま、委託者から利用者に提供される情報の最大のコンテンツになりうる。「お客様自身が、バスを選んで乗る時代」が、ここでも実現するのである。

「新免」の貸切バス事業者にとって「移行組の新高速」受託が一つの目標に、そして中堅以上の貸切バス事業者にとっては「既存組の新高速」を受託することが経営者から従業員まで共通のゴールになるようなら、需給調整撤廃後の貸切バス事業において初めて「企業としての成長の姿」が目に見えるようになる。

では次に、「新高速」に『移行しなくてはならないのかどうか』だ。明日以降、その点をご説明する。





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Last updated  2011.06.16 05:24:13
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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